2024/05/22
お役立ちコラム

相続した土地が管理できない!相続放棄はできる?

相続した土地を管理することは、多くの場合、予想以上に複雑で困難な課題となることがあります。特に所有者が地理的に離れている場合や法律や税金について知識が不足している場合は、さらに問題が複雑化します。その結果管理や維持が困難になり、負担やストレスを引き起こすことも少なくありません。こうした状況に直面した場合、相続放棄という選択肢が考えられます。放棄に関する問題についてしっかりと頭に入れておきましょう。

相続放棄はできるが、特定の財産のみの相続放棄はできないので注意

相続放棄は相続人が財産を受け取る権利を放棄することを意味します。しかし、特定の財産のみはできません。つまり、すべての財産について放棄する必要があります。これは個別に選ぶことができないということを意味します。
このルールにはいくつかの理由があります。まず、その人が法的な責任を負うことを避けるために全てを放棄することが求められます。さらに特定の財産のみ放棄することができるとすると、他の人や債権者に対して不公平な状況が生じる可能性があります。法的な混乱を避けるためにも、全体にわたって行われる必要があるのです。
手続きは時間的にも費用的にも労力を必要とすることが多く、土地の相続を検討する際には、十分な情報収集と専門家の助言を求めることが重要です。また、他の人や債権者に影響が及ぶ可能性があるため、その影響も注意深く検討する必要があります。

相続人全員が相続放棄した場合は相続した土地の管理はどうなる?

全員が放棄した場合、その土地は「空き家」として扱われる可能性があります。具体的な処遇は地域や国によって異なりますが、一般的には以下のような手続きが取られます。
まず、地方自治体や裁判所などの機関が介入し、土地の管理に関する責任を負います。これには土地の維持管理や関連する税金の支払い、周辺住民とのコミュニケーションなどが含まれます。
その後、土地の処分方法が検討されるでしょう。これには公売や競売、無償譲渡、市町村による取得などが含まれ、地域の土地利用計画や規制、市場の需要なども考慮されます。
一部の地域では空き家対策として、空き家バンクや再生プロジェクトが推進されています。これにより空き家の再利用や再生が促進され、地域の景観や経済にプラスの影響を与えることが期待されます。
ただし、放棄した土地が債務を伴う場合、その債務は放棄した人にとって依然として責任があります。したがって、土地の処分後も債務の清算が必要となる場合があるでしょう。

相続放棄に必要な手続き

では具体的に相続放棄にはどのような手続きが必要か解説していきます。

法務局への相続放棄届の提出

居住している管轄区域の法務局に、意思を記した書面を提出します。この届出は未成年の場合は法定代理人が行います。相続放棄届の内容は、氏名、住所、相続権の内容などを記載します。また理由も記載することがありますが、法的な要件ではない場合もあります。

承諾者の確認

その相続分を受け取る予定だった他の人の同意が必要な場合があります。これは他の相続人に移るため、その同意が必要になります。

財産の登記簿の閲覧

放棄を行う際には、遺産の詳細を確認するために、財産の登記簿を法務局で閲覧する必要があります。これにより遺産の詳細や負債の有無を把握します。

手続き料の支払い

手続きには、一定の手続き料がかかる場合があります。手数料の支払い方法や金額は、管轄の法務局によって異なりますので、事前に確認する必要があります。

届出の受理

法務局が届を受理し手続きが完了します。これにより放棄者は権利を放棄し、遺産を受け取る権利を放棄します。このように様々な手続きが行われることになるため、慎重に検討しましょう。

今回のまとめ

財産放棄は個人が所有する権利や財産を放棄する一般的な行為であり、相続放棄は特定の権利を放棄することを指します。両者は異なる文脈で使用されますが、どちらも個人が自らの意思で手放すことを意味します。財産放棄との違いは主に対象となる権利や財産が違う点にあります。
手続きは遺産相続に関する法的な手続きであり、丁寧な対応と正確な書類の提出が必要です。また個々のケースによって異なる要件や手続きがあるため、専門家の助言を受けることが重要です。