2026/02/10
お役立ちコラム

井戸の埋め戻し手順を解説!土地購入後のお祓いや費用、注意点

井戸の埋め戻し手順を解説!土地購入後のお祓いや費用、注意点も

購入した土地に古い井戸が見つかった場合、安全な土地利用のためには「井戸の埋め戻し」が必要です。
この工事は、単に土で埋めるだけでなく、古くからの慣習であるお祓いや息抜きといった儀式的な工程と、地盤沈下を防ぐための専門的な土木作業を組み合わせたものです。
本記事では、井戸の埋め戻しにおける正しい手順から、お祓いや工事にかかる費用の相場、そして将来的なリスクを避けるための注意点までを網羅的に解説します。

1. 土地購入後に見つかった古井戸、埋め戻しは必要?

土地購入後に古い井戸が見つかった場合、法的な義務はありませんが、安全面や土地活用の観点から埋め戻しを行うのが一般的です。
井戸をそのまま放置すると、子どもや動物が転落する危険性があるほか、蓋が腐食して事故につながる恐れもあります。
また、井戸があることで建物の配置が制限されたり、土地の資産価値に影響したりする可能性も否定できません。
将来的なトラブルを未然に防ぎ、土地を有効に活用するためにも、適切な手順で埋め戻しを実施することが推奨されます。

土地購入後に見つかった古井戸

2. 井戸の埋め戻し工事の全手順|お祓いから整地まで5ステップで解説

井戸の埋め戻しは、単に穴を埋める作業とは異なり、精神的な儀式と物理的な工事から構成される一連の工程です。
古来より水神様が宿るとされる井戸に感謝を伝え、安全に土地を利用できるようにするため、お祓いから始まります。
その後、井戸内部の清掃、息抜きパイプの設置、地盤沈下を防ぐための段階的な埋め戻し、そして最終的な整地という5つのステップを踏むのが一般的です。
ここでは、それぞれの工程を具体的に解説します。

2-1. ステップ1:水神様への感謝を伝えるお祓い(魂抜き)を行う

井戸の埋め戻しを始める前に、まず「お祓い(魂抜き)」の儀式を行います。
これは、長年にわたり水の恵みをもたらしてくれた水神様に対して感謝を伝え、井戸を閉じることへの許しを得るための大切な工程です。
一般的には、近隣の神社の神主に出張を依頼し、井戸の前にお供え物(米、塩、酒など)を準備して祝詞をあげてもらいます。
この儀式は、工事の安全を祈願する意味合いも持ち、施主や工事関係者の精神的な安心を得るためにも重要な役割を果たします。
必ず行わなければならない法的な義務はありませんが、古くからの慣習として広く行われています。

2-2. ステップ2:井戸の水を抜き、底のゴミなどをきれいに清掃する

お祓いが終わったら、物理的な作業に移ります。
最初に、井戸の内部を清浄な状態にするため、ポンプなどを使用して井戸に残っている水をすべて汲み出します。
水がなくなった後、井戸の底に溜まっている落ち葉やヘドロ、その他のゴミを可能な限り取り除きます。
長年使われていなかった井戸の場合、予期せぬ廃棄物が投棄されていることもあります。
井戸をきれいな状態に戻してから埋めることは、水神様への敬意を示すとともに、不純物による将来的な地盤沈下や土壌汚染のリスクを低減させるためにも重要な作業です。

2-3. ステップ3:神様の通り道を作る「息抜き」のパイプを設置する

井戸の清掃後、埋め戻す前に「息抜き」と呼ばれる処置を施します。
これは、井戸の底から地上まで続く塩化ビニル製のパイプや竹筒などを設置する作業です。
この工程には二つの意味があります。
一つは、井戸を塞ぐことで水神様の行き場がなくなるのを防ぎ、神様が呼吸するための通り道を確保するという伝統的な風習です。
もう一つは、地中から発生するメタンガスや湿気を外部に逃がすという物理的な役割です。
ガスが地中に溜まると内圧が高まり、地盤に影響を及ぼす可能性があるため、安全性の観点からも息抜きは重要な工程とされています。

2-4. ステップ4:地盤沈下を防ぐため、清潔な砂や砕石で丁寧に埋める

息抜きパイプを設置した後、いよいよ井戸を埋める作業に入ります。
この際、最も重要なのは将来的な地盤沈下を防ぐことです。
そのため、埋め戻しにはゴミなどが混入していない清浄な砂、砕石、再生クラッシャーランなどを使用します。
まず、水はけを良くするために井戸の底に粒の大きな砕石を敷き、次に砂利、砂と、徐々に粒の細かい材料を層状に入れていきます。
一度にすべてを埋めるのではなく、30cm程度の厚さで層を重ねるごとに水を撒いて締め固める「水締め」や、転圧機で圧力をかける「転圧」を行いながら、密度を高めて慎重に作業を進めることが不可欠です。

2-5. ステップ5:井戸の枠を解体・撤去し、土地を平らに整地する

井戸の内部を地表近くまで埋め戻したら、最後の仕上げとして地上部分の構造物を撤去します。
コンクリートや石で造られた井戸枠を、重機やハンマーなどを使って解体します。
撤去する深さは、地面から下の一定の範囲までとするのが一般的ですが、建築計画によってはさらに深く撤去する場合もあります。
井戸枠を撤去した後は、埋め戻した箇所と周辺の地面に高低差ができないように、土や砂利を足して平らにならします。
最後に転圧機で地面を固め、全体の整地が完了すれば、井戸の埋め戻し工事はすべて終了です。

3. 井戸の埋め戻しにかかる費用の内訳と相場

井戸の埋め戻しに必要な費用は、主に「お祓いの謝礼」と「埋め戻し工事費用」の二つに大別されます。
工事費用は、井戸の直径や深さ、構造、使用する材料、そして重機が現場に入れるかといった立地条件によって大きく変動します。
総額を把握するためには、これらの内訳を理解し、それぞれの相場を知っておくことが重要です。
正確な金額については、専門業者に現地調査を依頼した上で、詳細な見積もりを取得する必要があります。

3-1. お祓いの謝礼(初穂料)の目安

井戸のお祓いを神主に依頼した場合、謝礼として「初穂料」または「玉串料」を納めます。
この費用の相場は、一般的に2万円から5万円程度です。
金額は神社や地域によって異なり、お供え物を自分で用意するか、神社側で準備してもらうかによっても変わることがあります。
出張費が含まれている場合も多いため、依頼を検討している神社へ事前に金額の目安や詳細について問い合わせておくとスムーズです。
謝礼は、白い無地ののし袋に「御初穂料」または「御玉串料」と表書きをして渡すのがマナーです。

お祓いの謝礼(初穂料)

3-2. 埋め戻し工事費用の相場

埋め戻しの工事費用は、井戸の状況によって幅がありますが、一般的な大きさの井戸であれば3万円から10万円程度が一つの目安です。
ただし、これは基本的な埋め戻し作業のみの費用であり、井戸枠の解体・撤去や、重機を使用する場合の費用、発生したコンクリートがらなどの産業廃棄物処分費が別途加算されることがほとんどです。
そのため、総額としては10万円から20万円以上になるケースも少なくありません。
特に、重機が入れない狭い場所で手作業が多くなると、人件費がかさむ傾向にあります。
複数の業者から見積もりを取り、作業内容と費用を比較検討することが重要です。

4. 井戸の埋め戻しはDIY可能?専門業者に依頼すべき理由

費用を節約するために井戸の埋め戻しをDIYで行うことを考える人もいますが、専門的な知識と技術を要するため、専門業者に依頼することが強く推奨されます。
最大の理由は、不適切な埋め方による地盤沈下のリスクです。
単に土や砂を入れるだけでは内部に隙間ができ、数年後に地面が陥没する可能性があります。
特に井戸の上に建物を建てる計画がある場合、不同沈下を引き起こし、建物に深刻なダメージを与える危険性があります。
専門業者は、適切な材料を選定し、層ごとに転圧をかけながら密度を高めるなど、地盤沈下を防ぐためのノウハウを持っています。

5. 井戸の埋め戻し後に後悔しないための3つの注意点

井戸の埋め戻しは、一度行うとやり直しが非常に困難な工事です。
そのため、安易に進めてしまうと、後々「こんなはずではなかった」と後悔する事態を招きかねません。
工事が不適切だった場合に起こりうる地盤沈下のリスクや、昔ながらの慣習である「息抜き」を省略した場合の影響、さらには将来土地を売却する際に発生する法的な義務など、事前に知っておくべき重要な注意点が3つあります。これらを理解し、適切な対応をとることが大切です。

5-1. 不適切な工事による地盤沈下のリスク

井戸の埋め戻しで最も警戒すべきは、不適切な工事が原因で発生する地盤沈下です。
埋め戻しの際に使用する材料にゴミや木の根などが混入していたり、締め固める「転圧」作業が不十分だったりすると、時間とともに内部で材料が腐敗したり、隙間が生まれたりして空洞化が進みます。
その結果、地面が陥没する地盤沈下を引き起こす可能性があります。
特に、埋め戻した井戸の上に建物の基礎や駐車場を設置する計画がある場合、不同沈下によって建物が傾いたり、基礎にひびが入ったりするなど、深刻な被害につながる恐れがあるため、信頼できる専門業者による確実な施工が不可欠です。

5-2. 「息抜き」を省略した場合に起こりうること

「息抜き」のパイプ設置は、昔からの風習として行われていますが、これを省略すると問題が生じる可能性があります。
一つは精神的な側面で、水神様の通り道を塞いでしまうことへの懸念や、工事関係者の不安につながることが考えられます。
もう一つは物理的なリスクです。
地中では、地下水位の変動や有機物の分解によって、メタンガスなどの可燃性ガスや湿気が発生することがあります。
息抜きのパイプがないとこれらの逃げ場がなくなり、地中に溜まったガスの圧力で地盤が不安定になったり、ガスが思わぬ場所から漏れ出したりする危険性もゼロではありません。慣習と安全の両面から、息抜きは実施することが望ましいです。

5-3. 将来の土地売却時に必要となる「告知義務」について

井戸を埋め戻した土地を将来売却する場合、その事実を買主に対して伝えなければならない「告知義務」がある点に注意が必要です。
過去に井戸があったという事実は、買主が土地の安全性を判断する上で重要な情報であり、宅地建物取引業法における「物理的瑕疵」に該当する可能性があります。
この告知を怠った場合、契約後に買主から契約不適合責任を問われ、損害賠償請求や契約解除といった深刻なトラブルに発展する恐れがあります。
そのため、いつ、どのような方法で埋め戻し工事を行ったのか、工事中の写真や施工業者との契約書といった記録を大切に保管し、売却時には不動産会社を通じて買主に正確な情報を提供する必要があります。

6. 井戸の埋め戻しに関するよくある質問

ここまで井戸の埋め戻しの手順や費用、注意点について解説してきましたが、ほかにも細かな疑問点が出てくるかもしれません。
ここでは、井戸の埋め戻しを検討している多くの方が抱く、よくある質問とその回答をまとめました。
最終的な判断を下す前に、これらの情報を参考に、疑問点を解消しておきましょう。

6-1. 井戸のお祓いをしないとどうなりますか?

お祓いは法的な義務ではないため、実施しなくても罰則などはありません。
しかし、井戸には水神様が宿るという古くからの風習や信仰を重んじ、工事の安全祈願や関係者の精神的な安心感を得るために行うのが一般的です。
感謝を伝え、けじめをつける意味でも実施が推奨されます。

6-2. 埋めずに井戸を再利用する方法はありますか?

水質検査で安全が確認できれば、庭への散水や洗車、災害時の生活用水として再利用可能です。
そのためには専用の電動ポンプを設置する必要があります。
ただし、飲用とするには、より厳密な水質検査と定期的な保守管理が不可欠となり、専門家の判断を仰ぐことが重要です。

6-3. 埋め戻し工事にはどのくらいの期間がかかりますか?

井戸の直径や深さ、現場の作業環境によりますが、一般的な戸建て住宅の敷地内にある井戸であれば、お祓いを除いた工事自体は1日から3日程度で完了することが多いです。ただし、重機が入れない場所での手作業や天候不順などにより、工期が延長される場合もあります。

7. まとめ

購入した土地にある井戸の埋め戻しは、安全な土地利用のために重要な工程です。
この作業は、水神様への感謝を伝えるお祓いから始まり、井戸の清掃、息抜きパイプの設置、そして地盤沈下を防ぐための適切な材料と工法による埋め戻し、最終的な整地という手順で進められます。
費用はお祓いと工事費を合わせて数万円から20万円以上かかる場合があり、井戸の状況によって変動します。
不適切な工事は地盤沈下などの深刻なリスクを招くため、信頼できる専門業者に依頼することが不可欠であり、将来の土地売却時には埋め戻しの事実を告知する義務が生じます。

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