2026/02/02
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古い店舗付き住居の建て替えを検討しているが、立退き費用はいくら位見ておくべき?

店舗付き住居の立ち退き料はいくら?建て替え時の相場と内訳を解説

古い店舗付き住居の建て替えを計画する際、大きな課題となるのが賃借人への立ち退き交渉です。
特に店舗部分は、住居のみの立ち退きと比べて補償内容が複雑で、費用も高額になる傾向があります。
本記事では、店舗付き住居の立ち退き料について、住居部分と店舗部分それぞれの相場目安から、金額を構成する具体的な内訳、大家側の正当事由、費用を抑えるための交渉術まで、網羅的に解説します。

古い店舗付き住居の建て替えを検討

1. 店舗付き住居の立ち退き料|相場の目安

店舗付き住居の立ち退き料は、住居部分と店舗部分の補償を合算して算出します。
住居部分は比較的相場が見えやすい一方、店舗部分は業種・設備・営業年数・立地などで大きく変動します。
まずは「目安」を押さえつつ、内訳を積み上げて総額のイメージを作るのが近道です。

区分 相場の目安 ポイント
住居部分 家賃の6ヶ月〜1年分 引越し実費・新居初期費用・家賃差額を積み上げる
店舗部分 家賃の2〜5年分(それ以上も) 移転費・休業損失・場所的利益(借家権)で高額化しやすい

1-1. 住居部分:家賃の6ヶ月〜1年分が目安

住居部分の立ち退き料は、一般的に現在の家賃の6ヶ月分〜1年分程度が目安とされます。
ただし「月数だけで決める」のではなく、引越しや新生活の立ち上げに必要な費用を個別に算出し、合算して妥当性を確認するのが基本です。
具体的には、引越し費用・新居契約の初期費用・家賃差額などが中心になります。

1-2. 店舗部分:家賃の2〜5年分が目安

店舗部分は住居部分よりも高額になりやすく、家賃の2〜5年分(場合によってはそれ以上)になることがあります。
背景にあるのは、単なる引越し実費だけではなく、事業継続に関わる損失を補う必要があるためです。
とくに、飲食店など内装・設備投資が大きい業種は高額化しやすい傾向があります。

2. 立ち退き料を構成する5つの内訳

立ち退き料は法律で金額が一律に決まっているものではなく、立ち退きによって生じる損失を補填する考え方で決まります。
店舗付き住居は、生活と事業の両方に影響が出るため、補償項目が多くなりがちです。
ここでは代表的な5項目を、住居・店舗に分けて整理します。

2-1. 住居:引越し関連費用

● 引越し業者への支払い(梱包・運搬など)
● 家具処分費用(交渉次第で対象になる場合あり)
● エアコン移設・購入費用(交渉次第で対象になる場合あり)
まずは複数業者の見積もりを取り、客観的な金額に近づけるのがポイントです。

2-2. 住居:新居契約の初期費用

● 敷金・礼金・仲介手数料
● 前家賃・火災保険料・保証会社費用(利用時)
一般的に賃貸契約の初期費用は家賃の4〜6ヶ月分程度と言われ、ここが補償の大きな柱になります。

2-3. 店舗:移転・内装・設備の費用

店舗は移転先での営業再開が前提になるため、費用のレンジが一気に広がります。
● 新店舗の内装・外装工事費
● 厨房設備・業務用機器などの移設・購入費
● 看板・各種工事(回線敷設など)
可能な限り見積書ベースで整理すると、交渉もスムーズになります。

2-4. 店舗:休業期間の営業補償

移転のために一時休業が必要になる場合、休業中に得られたはずの利益や固定費を補償するのが営業補償です。
● 休業期間の粗利益(売上総利益)
● 休業中も発生する固定費(人件費・家賃・リース料など)
休業期間は、物件探し〜工事〜許認可〜再開準備まで含め、数ヶ月〜1年程度で算定されることがあります。

2-5. 店舗:場所的利益(借家権)補償

同じ場所で長く営業しているほど、立地・顧客・認知といった無形価値(場所的利益)が積み上がります。
立ち退きによって場所が変わると、将来的な売上減につながる可能性があり、その損失が補償の対象となる場合があります。
明確な算定は難しいものの、交渉の重要論点になりやすい項目です。

3. 建て替えは正当事由になる?(大家向け)

大家から賃貸借契約の解約を申し入れるには、借地借家法上の「正当事由」が必要です。
単に「建て替えたい」という希望だけでは足りず、双方の事情を比較衡量して判断されます。

3-1. 老朽化・耐震性不足は正当事由を補強

建物の老朽化が著しい場合や、耐震診断で倒壊リスクが高いと判断された場合などは、正当事由を補強する材料になります。
重要なのは、築年数だけでなく「客観的に使用が困難な状態」かどうかです。
専門家の診断結果や修繕費の見積もりは、交渉・手続きの根拠資料として有効です。

3-2. 正当事由があっても「立ち退き料ゼロ」は稀

正当事由が強くても、立ち退き料が完全にゼロになるケースは多くありません。
裁判実務では、立ち退き料は正当事由を補完する要素(最後の調整弁)として扱われることが多いためです。
つまり、正当事由が強いほど減額の余地は増える一方、支払い自体は必要になるのが原則です。

4. 立ち退き料の計算方法(概算)

立ち退き料には一律の計算式はなく、損失項目を積み上げて概算するのが基本です。
ここではオーナー側が把握しやすいよう、3ステップで整理します(最終判断は専門家相談がおすすめです)。

4-1. ステップ1:住居の補償額を積み上げる

● 引越し費用(見積もり)
● 新居の契約初期費用(家賃4〜6ヶ月分が目安)
● 家賃差額(新居が高い場合):(新居家賃−現家賃)×補償期間
これらを合算し、住居部分の目安を作ります。

4-2. ステップ2:店舗の移転費用を見積もる

店舗は専門業者の見積もりが不可欠です。
● 内装・外装工事
● 設備の移設・新規導入
● 看板・回線工事など
可能な範囲で項目別に見積もりを揃えると、交渉の根拠が強くなります。

4-3. ステップ3:休業期間の損失(営業補償)を計算

● 月平均の粗利益(決算書・確定申告などの資料)
● 月々の固定費(人件費・家賃・リース料など)
補償額の考え方: (月平均粗利益+月々の固定費)×休業月数
休業月数は、移転準備に必要な実態ベースで双方協議になります。

5. 立ち退き料を抑える交渉術3選

立ち退き料は高額になりやすい反面、交渉の進め方次第で負担を軽減できる余地があります。
金銭だけで解決しようとせず、賃借人の負担を下げる代替案をセットで提示するのがコツです。

5-1. 代替物件を積極的に紹介する

賃借人にとって移転先探しは大きな負担です。大家側が条件に近い物件情報を複数提示できると、交渉が前に進みやすくなります。
「立ち退きによる不利益を減らす姿勢」が伝わること自体が、交渉材料になります。

5-2. 建て替え後の再入居を提案する

立地が重要な業種ほど「同じ場所で再開できる価値」は大きいです。再入居の約束ができれば、設備投資や場所的利益の補償が圧縮でき、立ち退き料の総額が下がる可能性があります。
可能なら条件(賃料・区画・時期)を整理して提示すると、信頼感が増します。

5-3. 余裕のあるスケジュールで誠実に進める

交渉は感情面がこじれると長期化しやすいです。解約希望の1年〜1年半前には説明を始め、賃借人側の事情にも耳を傾ける姿勢が重要です。
結果として、円満で早い合意につながるケースが多いです。

6. 交渉が難航したら専門家への相談も検討

当事者同士では合意に至らないケースもあります。早い段階で不動産に強い弁護士等へ相談すると、方針が整理でき、交渉が進みやすくなります。

専門家への相談も検討

6-1. 弁護士に依頼するメリット

● 過去の裁判例などを踏まえた適正額の見立てができる
● 不当な高額請求への対応がしやすい
● 当事者の精神的負担が軽くなる
合意できない場合の調停・訴訟まで、一貫して相談できる点もメリットです。

6-2. 相談のおすすめタイミング

「こじれてから」ではなく、できれば申し入れ前の準備段階で相談するのがおすすめです。
また、話が噛み合わず感情的な対立の兆しが見えた時点で専門家を入れると、関係が悪化しきる前に整理できます。

7. よくある質問

7-1. 営業補償に固定費は含まれる?

はい、含まれるのが一般的です。休業期間中に得られたはずの粗利益に加えて、人件費・家賃・リース料など「休業中も発生する固定費」も補償対象となることが多いです。

7-2. 造作(内装・設備)は補償対象?

原則として補償対象になります。賃借人が自費で設置した内装・設備(造作)が移転先で活用できない場合、その価値が補償される(造作買取請求権)ことがあります。

7-3. 立ち退き料は経費になる?

立ち退き料は状況により扱いが分かれますが、一般的には「新しい建物の取得価額」や「土地の取得価額」に算入される形で処理されることが多いです。税務上の判断は個別事情によるため、税理士へ確認するのが確実です。

8. まとめ

店舗付き住居の立ち退き料は、住居部分(家賃の6ヶ月〜1年分目安)と店舗部分(家賃の2〜5年分目安)の合算で考えるのが基本です。
店舗部分は移転費・休業損失・場所的利益の補償が関わるため、高額化しやすい点に注意しましょう。
老朽化などで正当事由が補強されても、立ち退き料がゼロになるわけではありません。
代替物件の紹介や再入居提案なども活用し、早めに誠実な交渉を進めることが重要です。
交渉が難航する場合は、早期に専門家へ相談することも検討しましょう。

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