2026/01/21
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アセットマネジメントとは?不動産・資産運用の役割とPMとの違い

アセットマネジメントとは?不動産・資産運用の役割とPMとの違い

アセット・マネジメント(AM)とは、投資家から預かった資産の価値を最大化する専門的な活動を指し、日本語では「資産運用」と訳されます。
この役割は不動産分野と金融分野で異なる意味合いを持ちますが、本記事では特に不動産におけるアセットマネジメントの具体的な業務内容や、プロパティマネジメント(PM)との違いを簡単に解説します。AMと略されるこの仕事は、資産全体の経営を担う重要な役割を果たします。

アセットマネジメントの定義は、投資家やオーナーの代理人として、資産全体の価値を最大化させるための戦略的な管理・運用を行うことです。その基本的な意味は、単に資産を保有・維持するだけでなく、積極的に利益を生み出すための経営活動にあります。この活動の最大の特徴は、対象資産から得られるキャッシュフローを分析し、最適な投資判断を下す点です。具体的には、どの資産を購入し、どのように運用し、いつ売却するかのすべてを計画・実行することで、投資家へのリターンを最大化します。

アセットマネジメントの定義は、投資家やオーナーの代理人として、資産全体の価値を最大化させるための戦略的な管理・運用

2. 【分野別】アセットマネジメントが持つ2つの意味

アセットマネジメントは、対象とする資産の領域によって大きく2つの分野に分けられます。一つはビルや商業施設などを対象とする「不動産分野」、もう一つは株式や債券などを扱う「金融分野」です。両者は投資家から資産を預かり価値を最大化するという目的は共通していますが、具体的な業務内容や専門知識は大きく異なります。それぞれの分野の例を比較することで、アセットマネジメントという言葉が持つ多面的な意味を理解できます。

2-1. 不動産分野:投資用不動産の収益性を高める運用業務

不動産分野におけるアセットマネジメントは、投資用不動産の収益性を最大化するための一連の運用業務を指します。主な対象はオフィスビル、商業施設、マンション、物流施設など多岐にわたります。アセットマネージャーは、物件の購入から管理、そして最終的な売却まで、すべてのプロセスにおいて投資家の利益を最大化するための意思決定を行います。具体的には、プロパティマネジメント会社の選定・監督、大規模な改修計画の立案、有利な条件でのテナント誘致戦略の策定など、不動産の価値を高めるためのあらゆるビジネスを手がけます。時には、土地の仕入れや建物の建設段階から関わることもあります。

2-2. 金融分野:投資信託などを通じて資産を運用する業務

金融分野におけるアセットマネジメントは、投資家から集めた資金を株式、債券、デリバティブといった金融商品で運用し、そのリターンを投資家に還元する業務です。この業務は「投資運用業」とも呼ばれ、主に投資信託や年金基金の運用を担います。例えば、野村アセットマネジメントや三菱UFJアセットマネジメント、みずほ証券などの大手金融機関や保険会社がこの役割を担っています。
ファンドマネジメントとも密接に関連しており、専門家が市場を分析し、ポートフォリオを構築・管理することで、個々の投資家では難しい高度な資産運用を実現します。

3. アセットマネジメント(AM)とプロパティマネジメント(PM)の具体的な違い

不動産業界における資産管理では、アセットマネジメント(AM)とプロパティマネジメント(PM)という2つの重要な役割が存在します。両者は連携して業務を進めますが、その立ち位置と責任範囲には明確な違いがあります。AMが資産全体の価値を最大化する「経営的・マクロ的視点」を持つのに対し、PMは個別の物件の運営を最適化する「現場的・ミクロ的視点」を持ちます。この比較を通じて、それぞれの専門性を理解することができます。

3-1. 役割の違い:AMは「経営的視点」、PMは「現場視点」で資産を管理する

AMとPMの最も本質的な役割の違いは、その視点にあります。AMは投資家(オーナー)の代理人として、資産全体の収益性を高めるための投資戦略や売買判断など、経営的な意思決定を担います。いわば、不動産投資事業の「司令塔」のイメージです。一方、PMはAMが策定した戦略に基づき、個別の不動産物件の日常的な管理運営を担当します。具体的には、テナント対応、賃料の回収、建物の保守・点検、設備の修繕計画の実行など、現場レベルでの価値維持・向上に努める「現場監督」のような役割を担います。

3-2. 業務内容の違い:投資戦略の立案と日常的な物件管理

AMとPMでは、具体的な業務内容も大きく異なります。AMの主な業務は、市場分析に基づく投資戦略の立案、物件の購入・売却(アクイジション・ディスポジション)、資金調達計画、そしてPM会社の選定と監督です。対してPMは、AMの方針に従い、テナント募集の営業活動(リーシング・マーケティング)、賃貸借契約の管理、修繕工事の実施、コスト削減など、物件の日常的な運営管理を行います。つまり、AMが「どの物件で、どのように利益を出すか」という戦略・手法を考えるのに対し、PMはその戦略を実行する役割を担います。

3-3. 報告相手の違い:投資家とアセットマネージャー

AMとPMでは、業務報告を行う相手(レポーティングライン)が明確に異なります。PMは、担当する物件の日々の運営状況、稼働率、収支状況などをまとめ、AMに対して定期的にレポートを提出する責任を負います。この報告は、AMが物件の状態を正確に把握し、次の戦略を立てるための重要な情報源となります。一方、AMはPMから上がってきた報告内容を含む、資産全体の運用状況や投資成果を分析・評価し、最終的な責任者として投資家(オーナー)に直接報告します。このように、PMはAMに、AMは投資家に対してそれぞれ報告義務を負うという階層構造になっています。

4. 不動産アセットマネジメントの主な仕事内容5つ

不動産アセットマネジメントの仕事は、単一の業務ではなく、投資の入口から出口までの一連のプロセスから構成されます。これらの業務は投資家(オーナー)の利益を最大化することを目的としており、各フェーズで高度な専門性が求められます。多くの専門企業が、これから紹介する5つの主要な業務内容を担い、不動産投資の成功を支えています。この一連の流れを理解することで、アセットマネジメントの全体像を把握することができます。

4-1. 1. 投資戦略の策定と投資対象物件の選定

アセットマネジメントの最初のステップは、市場動向や経済情勢を分析し、投資家の意向に沿った投資戦略を策定することです。どのエリアの、どのような種類の不動産に投資するかを決定します。戦略が固まると、次はその戦略に合致する具体的な物件を探し、詳細な調査を行います。
建物の物理的な状況、法的な権利関係、周辺の市場性などを厳密に評価し、将来的な収益性やリスクを分析した上で、最終的な投資判断を下します。

4-2. 2. 資金調達(ファイナンス)の計画と実行

投資対象となる不動産を選定した後、その購入に必要な資金を調達します。アセットマネージャーは、投資家からの出資金(エクイティ)と、金融機関からの借入金(デット)の最適なバランスを検討し、資金調達計画を立案します。金融機関との交渉を通じて、できるだけ有利な条件(金利、返済期間など)で融資を引き出すことが重要な役割です。不動産の価値や将来の収益性を/的確に説明し、円滑に資金を確保する能力が求められます。この資金調達の成功が、投資プロジェクト全体の成否を大きく左右します。

4-3. 3. プロパティマネジメント会社の選定と監督指示

物件を無事に取得した後は、その不動産の日常的な管理運営を委託するプロパティマネジメント(PM)会社を選定します。候補となる複数の企業の実績や管理体制を比較検討し、物件の特性や投資戦略に最も適した会社を選びます。選定後は、PM会社に対して運営方針を明確に伝え、テナント誘致の目標や予算などを指示します。また、PM会社から定期的に運営状況の報告を受け、そのパフォーマンスを監督し、必要に応じて改善策を指示することも重要な業務です。適切なパートナー企業を選び、その能力を最大限に引き出すことが求められます。

4-4. 4. 投資家(オーナー)への定期的な運用状況報告

アセットマネージャーは、投資家(オーナー)に対して、資産の運用状況を定期的に報告する重要な責任を負います。この報告は、通常、四半期ごとや半期ごとに行われます。レポートには、物件の稼働率、賃料収入、運営費用、キャッシュフローといった財務状況に加え、実施した修繕や今後の市場予測などが詳細に記載されます。PMから受け取った情報を基に、資産全体のパフォーマンスを分析し、投資家が納得できるように分かりやすく説明します。この運用報告を通じて、投資家との信頼関係を維持・強化します。

4-5. 5. 物件の売却(出口戦略)の立案と実行

不動産投資の最終段階は、保有している物件を売却し、投資した資金を回収して利益を確定させることです。アセットマネージャーは、常に不動産市場の動向を注視し、物件の価値が最も高まるタイミングを見計らって売却戦略(出口戦略)を立案します。購入希望者を探し、交渉を行い、最も有利な条件で売買契約を成立させることが目標です。物件の魅力を最大限にアピールするための資料作成や、売却手続きのクロージングまで、一連のプロセスを主導します。この売却の成功によって、投資プロジェクト全体の成果が最終的に決まります。

5. なぜ今アセットマネジメントが重要視されるのか?

近年、アセットマネジメントの重要性は、従来の不動産や金融分野にとどまらず、社会インフラの領域でも高まっています。その背景には、日本が抱えるインフラの老朽化問題があります。高度経済成長期に建設された道路、橋、水道管、トンネルといった公共施設が更新時期を迎え、限られた予算の中でいかに効率的に維持・管理していくかが大きな課題です。そこで、自治体などが保有する公共資産を「アセット」と捉え、長期的な視点で計画的に保全・更新を行うアセットマネジメントの手法が必要とされています。東京都など多くの自治体では、ITやソフトウェアを活用した管理システムを導入し、インフラの長寿命化とコストの最適化を図る取り組みが進んでいます。これは、持続可能な社会を維持するための重要な効果・メリットをもたらします。

6. アセットマネジメントに関するよくある質問

ここでは、アセットマネジメントに関して多く寄せられる質問について回答します。

6-1. Q. アセットマネジメントの仕事に就くにはどんな資格やスキルが必要ですか?

必須のライセンスはありませんが、不動産や金融に関する高度な専門知識、論理的思考力、交渉力が求められます。「不動産証券化協会認定マスター」などの資格は評価されやすいです。特に金融工学を駆使するクオンツや、リスク管理を担うミドル部門など専門職は未経験から就くのは難しい傾向にあります。経営的視点で物事を考え、数字に強い人が向いている仕事といえます。

6-2. Q. 個人投資家がアセットマネジメントを依頼することは可能ですか?

可能です。ただし、不動産アセットマネジメントは大規模なファンドが中心のため、個人が直接依頼するハードルは高いのが実情です。多くの個人投資家は、投資信託や不動産投資信託(REIT)を購入することで、間接的に資産運用を専門家に委託しています。保有資産の規模が大きい場合は、プライベートバンクなどが個別の運用相談に応じることもあります。

6-3. Q. BM(ビルマネジメント)とAM・PMはどのように違いますか?

BMは、建物の設備管理(電気・空調)、清掃、警備といった物理的な維持管理に特化した業務を指します。AM(経営)、PM(運営管理)と比較すると、BMは「現場の作業」を担う最も具体的な役割です。一般的に、PMの業務の中にBMが含まれるか、あるいはPMがBM会社に業務を委託する関係にあり、役割のレイヤーに明確な違いがあります。

アセットマネジメントとは、投資家の代理人として資産の価値を最大化するための専門的な活動

7. まとめ

アセットマネジメントとは、投資家の代理人として資産の価値を最大化するための専門的な活動です。不動産分野と金融分野で具体的な業務は異なりますが、どちらも経営的な視点から戦略を立て、利益を追求する役割を担います。特に不動産においては、現場の運営管理を担当するプロパティマネジメント(PM)との違いを理解することが重要です。アセットマネジメントは、投資戦略の策定から資金調達、物件の売却まで、資産運用における一連のプロセスを主導します。

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