2026/01/21
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不動産を5年以内に売却すると税金で損?待つべきか判断する特例を解説

不動産を5年以内に売却すると税金で損?待つべきか判断する特例を解説

不動産を5年以内に売却すると、売却益にかかる税金が高くなるため「損をする」といわれることがあります。しかし、税率が高くても特例を利用できたり、不動産価格が上昇していたりする場合には、早期の売却が有利になるケースも少なくありません。この記事では、5年以内の売却でかかる税金の仕組みや、売却タイミングを判断するための基準、税負担を軽減できる特例について解説します。

不動産を5年以内に売却すると損だといわれる理由は、売却によって得た利益(譲渡所得)に対して課される税金の税率が、5年を超えて売却した場合に比べて格段に高くなるためです。この税率は不動産の所有期間によって異なり、5年を境に「短期譲渡所得」と「長期譲渡所得」に区分され、適用される税率が大きく変わります。この税率差が、手元に残る金額に直接影響を与えることから、5年以内の売却は慎重に判断すべきだと考えられています。

不動産を5年以内に売却すると損だといわれる理由

1-1. 所有期間5年が境目!短期譲渡所得と長期譲渡所得の税率の違い

不動産を売却して得た利益である譲渡所得にかかる税金は、所有期間が5年以下の場合「短期譲渡所得」、5年超の場合「長期譲渡所得」として扱われます。短期譲渡所得の税率は合計39.63%(所得税30.63%、住民税9%)であるのに対し、長期譲渡所得の税率は合計20.315%(所得税15.315%、住民税5%)です。このように、所有期間が5年を超えるだけで税率が約半分にまで軽減されるため、売却タイミングを検討する上で非常に重要な分岐点となります。

1-2. 要注意!不動産所有期間「5年」の正しいカウント方法

不動産の所有期間における「5年」のカウント方法は、単純に購入日から売却日までが5年経過しているかではありません。正しくは、不動産を売却した年の1月1日時点で、所有期間が5年を超えているかどうかで判断されます。例えば、2020年4月1日に購入した不動産を2025年5月1日に売却した場合、実際の所有期間は5年を超えていますが、2025年1月1日時点ではまだ5年に満たないため「短期譲渡所得」に分類されます。この物件が長期譲渡所得として認められるのは、2026年1月1日以降の売却からです。

2. 【税額比較】所有期間5年以内の売却と5年超の売却で手取りはいくら変わる?

譲渡所得が2,000万円の場合で、税額と手取り額がどれほど変わるか比較してみましょう。所有期間5年以内の短期譲渡所得では、税率が39.63%なので税額は約792万円、手取り額は約1,208万円です。一方、所有期間5年超の長期譲渡所得では、税率が20.315%なので税額は約406万円、手取り額は約1,594万円となります。この例では、売却のタイミングが違うだけで、手取り額に約386万円もの差が生じることがわかります。

3. 5年以内の売却でも使える!税金の負担を軽減する4つの特例

所有期間が5年以内の短期譲渡となり、高い税率が適用される場合でも、税金の負担を軽減できる特例がいくつか用意されています。これらの特例は、主にマイホームとして使用していた不動産の売却や、相続した不動産売却などが対象です。条件を満たせば、課税対象となる譲渡所得を大幅に圧縮したり、損失が出た場合に他の所得と相殺したりできます。自身の状況がどの特例に該当するかを事前に確認しておくことが重要です。

3-1. 居住用財産の3,000万円特別控除

マイホーム(居住用財産)を売却した際に利用できる制度で、譲渡所得から最高3,000万円を控除できます。この特例の大きな特徴は、不動産の所有期間に関わらず適用できる点です。そのため、5年以内の短期譲渡であっても、売却益が3,000万円以下であれば、この控除を適用することで譲渡所得税はかかりません。適用には、自分が住んでいる家屋であることや、売却相手が親子や配偶者などでないことといった一定の条件を満たす必要があります。

3-2. 特定の居住用財産の買換えの特例

マイホームを売却し、新たにマイホームを購入(買い換え)する場合に利用できる制度です。この特例を適用すると、売却した不動産の譲渡益に対する課税を、買い換えた不動産を将来売却する時まで繰り延べることができます。あくまで課税が先送りされるだけで、非課税になるわけではありません。適用には、売却した不動産の所有期間および居住期間が10年以上であることや、売却代金が1億円以下であることなど、3,000万円特別控除よりも厳しい条件が定められています。

3-3. 売却で損失が出た場合の損益通算と繰越控除

不動産を売却して利益が出るどころか、損失(譲渡損失)が発生した場合に適用できる特例です。住宅ローンが残っているマイホームを売却して損失が出たなどの一定の要件を満たすと、その損失を給与所得や事業所得といった他の所得から差し引く(損益通算)ことができます。損益通算を行ってもなお控除しきれない損失額は、売却した年の翌年以降、最大3年間にわたって繰り越して控除(繰越控除)することも可能です。これにより、所得税や住民税の負担を軽減できます。

3-4. 相続した不動産を売る場合の取得費加算の特例

相続によって取得した不動産を、相続開始のあった日の翌日から相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までに売却した場合に利用できる特例です。この制度では、納付した相続税額のうち一定の金額を、売却した不動産の取得費に加算できます。取得費が増えることで、課税対象となる譲渡所得が圧縮され、結果的に譲渡所得税の負担が軽減されます。この特例は、相続した土地や建物の売却時に大きな節税効果が期待できる制度です。

4. 税金だけで判断は禁物!5年待つべきか売るべきかの判断基準

不動産の売却タイミングを検討する際、税率の違いは重要な要素ですが、それだけで判断するのは危険です。税率が低くなる5年超まで待つ間に、不動産の価値が下落してしまっては元も子もありません。築年数の経過による価格下落リスクや、不動産市況の変化、住宅ローン金利の動向など、複数の要素を総合的に考慮して、最適なタイミングを見極める必要があります。

4-1. 判断基準1:築年数の経過による売却価格の下落リスク

不動産、特に建物部分は、築年数の経過とともに価値が下落していくのが一般的です。特に「築浅」と呼ばれる物件は市場での人気が高く、高値で取引されやすい傾向にあります。長期譲渡所得の低い税率が適用されるまで数年間待つという選択は、その間に建物の資産価値が大きく下落し、結果的に税金の差額分以上に売却価格が下がってしまうリスクを伴います。現在の査定価格と、数年後の想定下落価格を比較検討し、どちらが最終的な手取り額で有利になるかをシミュレーションすることが求められます。

4-2. 判断基準2:不動産市況や周辺エリアの需要の変化

不動産価格は、経済情勢や金利動向といったマクロな要因だけでなく、周辺エリアの再開発計画や新しい駅の開業といったミクロな要因によっても大きく変動します。現在は不動産市況が良く、高値での売却が期待できるとしても、数年後もその状況が続く保証はありません。特に土地の価格は景気の影響を受けやすいため、市況が悪化すれば価格が下落する可能性があります。将来の不確実性を考慮すると、需要が高まっているタイミングで売却し、利益を確定させることも有効な戦略の一つです。

4-3. 判断基準3:住宅ローン金利の今後の変動

売却する不動産に住宅ローンが残っている場合、売却を待つ期間中も元本と利息の返済は続きます。
もし将来的に金利が上昇する局面になれば、毎月の返済額が増加し、総支払額も膨らんでしまいます。
また、不動産の買い替えを検討している場合、次に購入する物件の住宅ローン金利が現在よりも高くなっている可能性も考慮しなければなりません。
金利の変動は、保有し続けるコストや、次の住まい探しの資金計画にも直接影響を与えるため、長期的な視点で判断する必要があります。

5. 税率が高くても5年以内に売却した方が良い3つのケース

短期譲渡所得の高い税率を考慮しても、5年という期間にこだわらず売却した方が良いケースが存在します。例えば、税金の負担をゼロにできる特例が使える場合や、それを補って余りあるほどの売却益が見込める場合です。また、ライフプランの変化によって、税金の損得勘定よりも現金化を優先すべき状況もあります。ここでは、具体的な3つのケースについて解説します。

5-1. ケース1:3,000万円特別控除で譲渡所得税が非課税になる場合

売却する不動産がマイホームであり、売却によって得られる利益(譲渡所得)が3,000万円以下の場合、このケースに該当します。
居住用財産の3,000万円特別控除は所有期間に関わらず適用できるため、短期譲渡であっても譲渡所得の全額を控除でき、結果的に譲渡所得税が非課税になります。
税金が一切かからないのであれば、短期譲渡の高い税率を心配する必要はありません。
したがって、無理に5年を超えるまで待たずに、市場の状況が良いタイミングで売却する方が賢明な判断といえます。

5-2. ケース2:不動産価格の上昇で税金を払っても利益が大きい場合

購入時よりも不動産価格が大幅に上昇しており、今後価格が下落するリスクが考えられる場合も、短期売却を検討すべきケースです。例えば、短期譲渡の高い税金を支払った後の手取り額が、5年超まで待って価格が下落した際に得られる手取り額を上回ると試算される状況です。不動産市況が活況なうちに高値で売却し、確実に利益を確保する方が、将来の価格下落リスクに怯えながら待つよりもトータルで得をする可能性があります。税額だけでなく、売却価格の変動も視野に入れたシミュレーションが重要です。

5-3. ケース3:離婚や転勤など、やむを得ない事情で現金化を急ぐ場合

離婚による財産分与や、急な転勤、親の介護、あるいは住宅ローンの返済が困難になるなど、ライフステージの変化によって不動産の売却を余儀なくされることがあります。このような状況では、税金の損得を計算する余裕がなく、何よりもまず現金化を優先させる必要があります。所有期間が5年に満たない場合でも、生活上の必要性から売却せざるを得ません。税制上の有利不利よりも、個々の事情に応じた最適なタイミングでの売却判断が求められるケースです。

6. 不動産を5年以内に売却する際に関するよくある質問

不動産を5年以内に売却することを検討する際には、所有期間の計算方法や税金の申告手続きなど、さまざまな疑問が生じます。特に相続した不動産や、賃貸に出すという選択肢については、判断に迷うことが多いようです。ここでは、そうした疑問の中から特に代表的な質問を取り上げ、簡潔に回答します。

6-1. 親から相続した不動産の場合、所有期間はいつから数えますか?

被相続人がその不動産を取得した日から所有期間を計算します。相続が発生した日や、相続登記が完了した日から数え始めるわけではありません。そのため、親が長年所有していた不動産であれば、相続後すぐに売却しても長期譲渡所得として扱われます。

6-2. 売却益が出た場合、確定申告はいつまでに必要ですか?

不動産を売却して利益(譲渡所得)が出た場合、売却した年の翌年2月16日から3月15日の間に確定申告を行う必要があります。この期間内に、必要書類を揃えて税務署に申告し、納税を完了させなければなりません。特例を適用する場合も、確定申告の手続きは必須です。

6-3. 売却せずに賃貸に出して5年経過を待つのは得策ですか?

必ずしも得策とは限りません。賃貸に出せば家賃収入は得られますが、空室リスクや管理コスト、固定資産税、設備の修繕費などがかかります。また、他人に貸している期間は「居住用財産」と見なされなくなり、3,000万円特別控除などの有利な特例が使えなくなる点に注意が必要です。

不動産を5年以内に売却すると、譲渡所得にかかる税率が高くなるのは事実

7. まとめ

不動産を5年以内に売却すると、譲渡所得にかかる税率が高くなるのは事実です。しかし、「居住用財産の3,000万円特別控除」などの特例を適用できれば、税負担を大幅に軽減、あるいはゼロにすることも可能です。また、税率が下がるまで待つ間に不動産価格が下落し、結果的に手取り額が減ってしまうリスクも存在します。税金の問題だけでなく、不動産市況や築年数、個人のライフプランなどを総合的に考慮し、売却のタイミングを慎重に判断することが求められます。

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