2025/12/18
お役立ちコラム

自社ビル購入のメリット・デメリットとは?融資を受けるコツも解説

自社ビル購入のメリット・デメリットとは?融資を受けるコツも解説

自社ビルの購入は、企業にとって大きな決断の一つです。
自社ビルとは、企業が事業活動のために所有する建物を指し、毎月の賃料負担がなくなるだけでなく、会社の資産形成や社会的信用の向上にも繋がります。
しかし、購入には多額の資金が必要であり、維持管理のコストも発生します。
この記事では、自社ビル購入のメリット・デメリットを詳しく解説するとともに、購入時に後悔しないためのポイントや、金融機関から融資を受ける際のコツを紹介します。

1. 自社ビル購入がもたらす5つのメリット

自社ビルを本社として購入することは、企業経営に多くのメリットをもたらします。
賃料支払いが不要になり、会社の資産として計上できる点は大きな利点です。
さらに、企業の社会的信用度を高め、金融機関からの融資や取引先との関係構築において有利に働くことも期待できます。
その他にも、レイアウトの自由度向上や、空きフロアを貸し出すことによる収益確保など、事業運営の安定化と多角化に寄与する様々なメリットが存在します。

自社ビル購入がもたらす5つのメリット

1-1. メリット1:毎月の賃料支払いがなくなり会社の資産になる

賃貸オフィスの場合、毎月支払う賃料は費用として計上されますが、会社の資産にはなりません。
一方、自社ビルを購入すれば、月々の支払いはローン返済となり、完済すれば建物と土地は完全に会社の資産となります。
賃料の支払いが不要になるため、長期的に見ればキャッシュフローの改善が期待できるでしょう。
ローンの返済期間中は金利負担が発生しますが、支払った元本分は着実に自社の資産として蓄積されていきます。
これにより、企業の財務基盤が強化され、安定した経営に繋がります。

1-2. メリット2:企業の社会的信用度が向上する

自社ビルを所有している事実は、企業の財務的な安定性や事業基盤の確かさを示す客観的な指標となります。
金融機関は不動産という確固たる資産を保有している企業を高く評価する傾向があり、新たな融資を受ける際に有利に働くことがあります。
また、取引先や顧客に対しても、長期的に安定した経営を行っているという信頼感を与える効果が期待できます。
特に本社ビルを構えることは、企業の顔としてブランディングにも寄与し、人材採用の面でも好影響を及ぼす可能性があり、最大のメリットの一つと言えます。

1-3. メリット3:空きフロアを貸し出して賃料収入を得られる

自社ビルの規模に余裕がある場合、使用していないフロアや区画を他の企業にテナントとして貸し出すことで、安定した賃料収入を得られます。
この不動産収入は、本業の収益とは別のキャッシュフローを生み出し、経営の安定化に大きく貢献します。
得られた賃料収入をビル購入ローンの返済に充当すれば、実質的な負担を軽減することも可能です。
将来的な事業拡大を見越して広めのビルを購入し、当面は余剰スペースを賃貸に出すという戦略的な活用も考えられます。

1-4. メリット4:事業内容に合わせて内装や設備を自由に変更できる

賃貸オフィスでは、契約上の制約から内装の変更や大規模な設備の導入が難しい場合があります。
しかし、自社ビルであれば、所有者として自由にレイアウト変更やリノベーションを行えます。
企業のブランドイメージを反映した独創的なエントランスを設計したり、従業員の生産性向上に繋がる最新のIT設備を導入したりと、事業戦略に合わせたオフィス環境を構築可能です。
土地から購入して自社ビルを建てる場合は、建設の初期段階から理想とするオフィスを形にできます。

1-5. メリット5:契約更新や立ち退きのリスクがなくなる

賃貸オフィスでは、契約期間満了時の更新手続きが必要であり、その際に貸主から賃料の値上げを要求される可能性があります。
また、建物の老朽化や再開発などを理由に、貸主の都合で立ち退きを求められるリスクもゼロではありません。
移転には多大なコストと手間がかかり、事業運営に大きな影響を及ぼすこともあります。
自社ビルはこれらのリスクを持たないため、長期にわたって安定した事業拠点を確保し、経営に専念できる環境が手に入ります。

2. 自社ビル購入前に知っておきたい5つのデメリット

自社ビルの購入はメリットばかりではありません。
多額の初期費用や継続的な維持管理コスト、税金の負担など、資金計画に大きな影響を与えるデメリットが存在します。
また、事業規模の変化に対応しにくい点や、不動産市況によっては売却が困難になる可能性も考慮しなくてはなりません。
購入後に後悔しないためには、これらのリスクを正しく理解し、対策を講じることが重要です。
火災保険や地震保険への加入など、万が一の事態に備える費用も必要になります。

2-1. デメリット1:購入時に多額の初期費用(頭金)が必要になる

自社ビルの購入には、物件価格の1?3割程度とされる頭金に加え、不動産取得税、登録免許税、印紙税、司法書士への報酬、不動産仲介手数料といった様々な諸費用が発生します。
これらの初期費用は、賃貸オフィスの敷金や礼金とは比較にならないほど高額になるのが一般的です。
特に都心部では物件価格が高いため、初期費用だけで相当な自己資金を準備しなければなりません。
会社の運転資金を圧迫しないよう、余裕を持った資金計画を立てることが不可欠です。

2-2. デメリット2:定期的なメンテナンスや修繕にコストがかかる

自社ビルを所有すると、その建物の維持管理に関する全ての責任を負うことになります。
エレベーターの保守点検、空調設備の更新、外壁の塗り替え、屋上の防水工事など、建物の資産価値を維持するためには定期的なメンテナンスが欠かせません。
これらの費用は所有者が全額負担する必要があり、長期修繕計画を立てて計画的に資金を積み立てておくことが求められます。
特に中古のビルを購入する場合は、予期せぬ大規模修繕が発生するリスクも考慮しておくべきです。

2-3. デメリット3:固定資産税や都市計画税の支払いが発生する

不動産を所有すると、毎年1月1日時点の所有者に対して固定資産税が課されます。
また、物件が市街化区域内に所在する場合は、都市計画税も併せて納付しなくてはなりません。
これらの税金は、たとえ事業が赤字であっても支払い義務が生じるため、長期的なランニングコストとして資金計画に組み込んでおく必要があります。
税額は固定資産税評価額に基づいて算出されるため、購入前に納税額がどの程度になるかを確認しておくことが重要です。
税金の一覧を把握し、事前のシミュレーションを行いましょう。

2-4. デメリット4:事業規模の変化に合わせて拠点を移しにくい

事業が急成長して人員が大幅に増加した場合や、逆に事業を縮小せざるを得なくなった場合、自社ビルを所有していると簡単には拠点を移せません。
賃貸オフィスであれば、契約期間を満了すればより適切な規模の物件へ移転できますが、自社ビルの場合は売却や賃貸に出す手続きが必要となり、時間とコストがかかります。
特に東京などの大都市圏では、一度拠点を構えると代替となる物件をすぐに見つけるのが難しいケースもあります。
この柔軟性の低さが、変化の速い現代のビジネス環境においてはデメリットとなり得ます。

2-5. デメリット5:売却時にすぐに買い手が見つからない可能性がある

不動産は株式などと比べて流動性が低く、売却を希望してもすぐに買い手が見つかるとは限りません。
景気の動向や不動産市況、物件の立地や状態によっては、売却活動が長期化したり、希望する価格での売却が難しくなったりするリスクがあります。
また、売却が完了するまでの間も、固定資産税や維持管理費は継続して発生します。
資金繰りのために急いで売却しようとすると、買い手に足元を見られて安値で手放さざるを得ない状況も考えられます。
対策として、自社で使用しながら売却先を探せるリースバックという手法もあります。

3. 後悔しない自社ビル選び!購入前に確認すべき3つのポイント

自社ビルの購入は、企業の将来を左右する重要な投資です。
後悔しないためには、価格や見た目だけで判断するのではなく、多角的な視点から物件を慎重に評価しなくてはなりません。
自社の事業計画に合致しているか、従業員や取引先にとって利便性が高いか、そして将来にわたって資産価値を維持できるかという3つのポイントが特に重要です。
地域の不動産相場を十分に調査した上で、これらのポイントを総合的に検討し、最適な物件を選び出すことが成功の鍵となります。

3-1. ポイント1:事業計画に適したビルの「規模」を検討する

自社ビルを選ぶ際は、現在の従業員数や事業内容だけでなく、5年後、10年後といった将来の事業展開を見据えた規模を検討することが重要です。
人員増加の計画があるならば、手狭にならないよう余裕のある面積を確保する必要があります。
一方で、過度に広すぎるビルは、光熱費やメンテナンス費用といったランニングコストの増大に繋がります。
自社の長期的な事業計画と照らし合わせ、将来の拡張性も考慮しつつ、無駄のない適切な規模の自社ビルを選定することが求められます。

3-2. ポイント2:通勤や取引先の利便性を考慮した「立地」を選ぶ

ビルの立地は従業員の満足度や生産性、さらには人材採用にも大きく影響します。
複数の路線が利用できる、最寄り駅から徒歩圏内であるなど、従業員が通勤しやすい場所を選ぶことは基本的な条件です。
また、主要な取引先へのアクセスが良い立地であれば、営業活動の効率化にも繋がります。
特に東京のような都市部では、どのエリアに本社を構えるかが企業のブランドイメージにも関わってきます。
周辺環境や交通の便を総合的に評価し、事業にとって最適な立地を選定するべきです。

3-3. ポイント3:将来の資産価値に関わる「建物のグレード」を見極める

自社ビルは事業拠点であると同時に、会社の重要な資産でもあります。
そのため、将来にわたって資産価値が維持、向上する可能性のある物件を選ぶ視点が不可欠です。
新耐震基準を満たしているか、設備の仕様は時代遅れでないか、外観のデザインは陳腐化しにくいかなど、建物のグレードを細かくチェックしましょう。
購入価格がその資産価値に見合っているかを客観的に判断することも大切です。
将来的な売却や担保としての活用も視野に入れ、専門家の意見も参考にしながら慎重に見極める必要があります。

4. 自社ビル購入の資金調達!融資を成功させる4つのコツ

自社ビル購入の資金調達!融資を成功させる4つのコツ

自社ビルの購入には多額の資金が必要となるため、多くの企業は金融機関からの融資を活用します。
事業用不動産ローンは、住宅ローンに比べて審査が厳しい傾向にあり、融資を成功させるためには周到な準備が欠かせません。
自己資金の準備状況や事業計画の具体性、企業の財務内容、そして購入物件の担保価値といった要素が総合的に評価されます。
これらのポイントをしっかり押さえ、金融機関に対して返済能力と事業の将来性をアピールすることが、希望額の融資を引き出すための鍵となります。

4-1. コツ1:物件価格の2?3割を目安に自己資金を準備する

金融機関から融資を受ける際、自己資金をどれだけ準備できるかは審査における重要な評価項目です。
一般的に、物件価格の2?3割程度の自己資金を用意できると、融資審査が通りやすくなるとされています。
自己資金が潤沢であることは、企業の財務的な体力と計画性を示す証拠となり、金融機関に安心感を与えます。
また、頭金を多く入れることで借入額を抑えられ、月々の返済負担や総支払利息を軽減する効果もあります。
諸費用も現金で支払う必要があるため、余裕を持った資金計画が不可欠です。

4-2. コツ2:金融機関が納得する具体的な事業計画書を作成する

融資審査では、提出された事業計画書をもとに、企業の返済能力や将来性が厳しく審査されます。
なぜ自社ビルが必要なのか、購入によって企業の業績がどのように向上するのかといった点を、具体的な数値目標を交えて論理的に説明しなくてはなりません。
購入後の収支シミュレーションや、ローンの詳細な返済計画も明記します。
金融機関の担当者が納得し、融資を前向きに検討したくなるような、説得力と実現可能性の高い事業計画書を作成することが、企業にとって極めて重要です。

4-3. コツ3:日頃から良好な財務状況を維持しておく

金融機関は、融資審査において過去数期分の決算書を精査し、会社の収益性や安定性を評価します。
継続して黒字経営を維持していることや、自己資本比率が高いことは、返済能力の高さを示す上で非常に有利な材料となります。逆に、債務超過に陥っていたり、税金の滞納があったりすると、信用度が著しく低下し、融資を受けることは困難になります。自社ビル購入という大きな目標を見据え、日頃から健全な会社経営を心がけ、良好な財務状況を保つ努力が求められます。

4-4. コツ4:担保評価の高い資産価値のある物件を選ぶ

事業用不動産ローンでは、購入する物件そのものが融資の担保となるため、金融機関はその物件の担保価値を厳しく評価します。一般的に、駅からの距離が近い、周辺環境が良好である、建物の状態が良いといった物件は資産価値が下がりにくく、高い担保評価を得やすい傾向にあります。
周辺の不動産売買事例や賃料相場を調査し、将来にわたって価値が維持されやすい物件を選ぶことが、融資を有利に進める上で重要なポイントとなります。
担保価値の高い物件は、万が一返済が困難になった場合のリスクヘッジとしても機能します。

5. まとめ

自社ビルの購入は、賃料支払いの削減や資産形成、社会的信用の向上といった大きなメリットをもたらす一方で、多額の初期費用や維持管理コスト、固定資産税などの負担が伴います。
事業規模の変化に対応しにくいといったデメリットも存在するため、購入の決断は慎重に行う必要があります。
成功の鍵は、自社の事業計画に合致した物件を、将来の資産価値も見据えて選ぶことです。
また、金融機関からの融資を円滑に進めるためには、十分な自己資金の準備と、説得力のある事業計画が不可欠です。

自社ビルの購入は、賃料支払いの削減や資産形成、社会的信用の向上といった大きなメリットをもたらす一方で、多額の初期費用や維持管理コスト、固定資産税などの負担が伴います。
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