2026/04/27
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不動産を持ち続ける節税メリットとは?相続・法人化まで地主向けに解説

不動産を持ち続ける節税メリットとは?相続・法人化まで地主向けに解説

先祖代々受け継いできた土地や不動産を所有する地主にとって、資産を売却すべきか持ち続けるべきかは非常に悩ましい問題です。
適切な選択を行うためには、それぞれの方法がもたらす税制面への影響を正確に理解しておくことが求められます。
売却時の重い税負担を回避しつつ、物件を活用して継続的に税を抑えるための制度や法人化の手法について全体像を整理します。

不動産は売却すべき?持ち続けるべき?税金面での判断ポイント

所有している不動産を手放すか、それとも保有して活用するかを検討する際、最も大きな焦点となるのが税金の負担額です。
一時的な出費である譲渡所得税と、保有期間中に継続してかかる固定資産税や所得税を比較し、トータルのコストを計算する必要があります。

売却時に課される高額な譲渡所得税の計算方法

不動産を売却して利益が出た場合、その利益に対して譲渡所得税および住民税が課せられます。
税額を計算する際は、売却価格から取得費と譲渡費用を差し引いた金額に所定の税率を掛け合わせるのが基本です。
この税率は物件の所有期間によって変動し、売却した年の1月1日時点で所有期間が5年以下なら約39%、5年超であれば約20%が適用されます。
先祖から受け継いだ土地などで取得費が不明なケースでは、売却価格の5%を取得費とみなして計算するため、利益が大きく算出されて多額の税金が発生しやすいという特徴を持っています。
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不動産を保有し続けることで受けられる税制上の優遇措置とは

高額な譲渡所得税の支払いを避けるために不動産を手元に残す場合、建物を建てて貸し出すことで様々な税務上の恩恵を受けられます。
例えば、賃貸アパートを建築すれば、土地にかかる固定資産税を大きく引き下げることが可能です。
さらに、毎年の家賃収入から減価償却費などの経費を差し引けるため、計算上の利益を圧縮できます。
一時的な売却益にかかる税負担と、長期保有による税制優優遇を活用した場合の手元に残る資金を総合的にシミュレーションし、有利な出口戦略を選ぶことが重要と言えます。

【所得税・住民税】アパート経営などで不動産を持ち続ける節税効果

不動産を更地のまま維持するのではなく、賃貸物件を建築して経営を行うことで、毎年納める所得税や住民税を抑える効果が期待できます。
具体的な経費計上の仕組みや、土地の評価に対する特例の内容を確認していく必要があります。

家賃収入の赤字を給与所得と相殺できる「損益通算」の仕組み

アパートなどの賃貸経営を行っていると、建物の購入費用を数年に分けて経費化する減価償却費が大きく計上され、不動産所得が赤字として算出されるケースが出てきます。
この不動産所得の赤字は、給与所得や事業所得など他の所得から差し引くことが認められています。
この仕組みを損益通算と呼び、全体の課税対象額を小さくすることで、結果的に支払う所得税や住民税の額を減らすことが可能です。
実際に現金が出ていくわけではない減価償却費を活用し、帳簿上の赤字を作り出して税負担を軽減する手法として広く知られています。

賃貸住宅を建てると固定資産税・都市計画税が大幅に軽減される特例

土地の上に住宅用の建物が存在していると、「住宅用地の特例」が適用されて固定資産税と都市計画税が大幅に引き下げられます。
1戸あたり200平方メートル以下の部分を小規模住宅用地と呼び、この部分にかかる固定資産税の課税標準額は本来の6分の1にまで減少します。
都市計画税に関しても3分の1に減額されるため、税負担の圧縮効果は非常に強力です。
駐車場や空き地として放置している土地にアパートやマンションを建設することで、毎年発生する高額な維持コストを劇的に下げられるという利点を備えています。

【相続税】将来の相続対策に直結する不動産評価額の圧縮効果

不動産を保有し続けることは、次世代へ資産を引き継ぐ際の相続税を抑える上でも強力な手段となります。
現金を不動産という形に変え、さらに他人に貸し出すことで評価額を大きく引き下げる制度の仕組みを見ていきます。

更地より「貸家建付地」にすることで土地の相続税評価額を下げる方法

自分が使うためだけの土地(自用地)に賃貸アパートやマンションを建てて他人に貸し出すと、その土地は「貸家建付地」として扱われます。
貸家建付地になると、借地権割合と借家権割合、そして実際の賃貸割合を掛け合わせた分だけ、土地の相続税評価額から差し引かれるというルールが適用されます。
地域によって割合は異なりますが、おおむね2割前後の評価額を圧縮できるケースが多いです。
現金で持っているよりも大幅に低い評価で資産を遺すことができるため、資産防衛の有効な選択肢として活用されています。

条件を満たせば土地の評価額が最大80%減額される「小規模宅地等の特例」

被相続人が事業や居住の目的で使っていた土地を相続する場合、一定の面積まで評価額を大きく減らすことができる「小規模宅地等の特例」という制度が存在します。
例えば、アパートなどの貸付事業用として使われていた土地であれば、200平方メートルを上限として評価額を50%減額できます。
さらに、亡くなった方の自宅の敷地や事業用の敷地といった要件をクリアできれば、評価額を最大80%まで下げることも可能です。
適用条件は複雑ですが、相続税額を劇的に抑えられる強力な特例となっています。
相続税額を劇的に抑えられる強力な特例について調べる

より高い節税効果を目指す「法人化(資産管理会社)」という選択肢

個人で不動産を複数所有して賃貸収入が増えてくると、累進課税による高い所得税率に直面することになります。
そこで、法人(資産管理会社)を設立して不動産を所有・管理させることで、税負担を適正化するスキームが注目されています。

家族へ役員報酬を支払い所得を分散させる節税スキーム

個人で不動産を所有していると家賃収入がオーナー一人に集中し、所得税率が跳ね上がってしまいます。
これを防ぐために法人を設立し、家族を役員に就任させて役員報酬という形で利益を分配する手法が効果的です。
所得を複数人に分散させることで、一人あたりに適用される税率を低い段階に留めることができます。
また、受け取る側も給与所得控除を利用できるため、一族全体で支払う税金の総額を大きく抑える効果を発揮します。

個人事業主よりも経費として認められる範囲が広がるメリット

個人による不動産賃貸業に比べて、法人化することで経費として認められる項目の幅が大きく広がります。
例えば、経営者の生命保険料の一部や退職金、さらには出張時の日当などを法人の経費として落とすことが可能になります。
これらを活用して法人の利益を適切にコントロールし、法人税の額を抑えられる点が大きな魅力です。
事業運営にかかるあらゆる支出を適法な範囲で経費化しやすくなるため、効率的な資産運用を進める上で有利な仕組みとなっています。

赤字を最大10年間繰り越して将来の利益と相殺できる繰越控除

不動産経営では、大規模な修繕工事などによって一時的に大きな赤字を計上する年が発生することがあります。
個人の青色申告では、この赤字を繰り越せる期間は最大3年間に限定されています。
しかし、法人の場合は「欠損金の繰越控除」という制度を利用でき、発生した赤字を最大10年間にわたって繰り越すことが認められています。
将来の黒字と長期的に相殺できるため、税負担の平準化を図りやすく、より安定した資金計画を立てられるという強みを持っています。

不動産を法人として持ち続ける前に知っておきたい注意点

法人化には多くの税制上の利点がある一方で、個人の時には発生しなかった新たな負担や制約も生じます。
設立に踏み切る前に、維持にかかるコストや資金の取り扱いに関するルールの違いを把握しておく必要があります。

会社設立にかかる初期費用と年間の維持コスト

法人を立ち上げる際には、定款の認証費用や登録免許税といった初期費用がかかり、株式会社であれば20万円以上、合同会社でも10万円弱の出費を要します。
さらに、法人は存在するだけで赤字であっても毎年約7万円の法人住民税の均等割を納める義務が生じます。
加えて、決算書の作成や税務申告を税理士に依頼する費用も個人事業主時代より高額になる傾向が強いです。
これらのランニングコストを上回るだけの節税効果が得られるかを、事前に慎重に見極めることが求められます。

社会保険への加入が義務化され費用負担が増える可能性

法人を設立して役員報酬を支給する場合、その法人は社会保険の強制適用事業所として扱われます。
社会保険料は法人と役員で半分ずつ負担する仕組みになっており、この金額は決して安くありません。
特に役員報酬を高額に設定すると、それに比例して社会保険料の負担も重くのしかかってきます。
所得税や法人税が下がったとしても、社会保険料の支払いで結果的に手元に残る資金が減ってしまうケースもあるため、総合的なシミュレーションが不可欠な要素となります。

会社の資金は自由に使えず役員報酬として受け取る必要がある

個人の所有であれば、得られた家賃収入から生活費やプライベートな支出を比較的自由に引き出すことができます。
しかし、法人化した場合は会社と個人の財布が明確に分離されるため、会社の口座にある現金を勝手に使うことは許されません。
生活費を得るためには、あらかじめ定めた役員報酬という形で毎月一定額を受け取る手続きが必要になります。
資金移動の自由度が大きく制限され、役員報酬を期中で安易に変更できないというルールを遵守する体制を整えなければなりません。

不動産の法人化を検討すべきタイミングの目安

どのタイミングで個人から法人へと切り替えるかは、収入の規模や将来の事業承継を見据えた計画によって変わってきます。
具体的な検討を始めるべき指標となる所得のラインや、相続対策の観点の検討のポイントを整理します。

課税所得が900万円を超えたら法人化の検討を始める

個人に対する所得税は、所得が増えるほど税率が高くなる超過累進課税という制度が採用されています。
課税される所得額が900万円を超えると所得税率が33%に跳ね上がり、住民税の10%と合わせると税負担は43%に達します。
一方で、法人の実効税率は規模によりますがおおむね20%から30%台前半で推移するため、この所得水準付近で個人と法人の税率が逆転する傾向にあります。
そのため、課税所得が900万円に近づいた段階で、資産管理会社の設立を視野に入れたシミュレーションを開始するのが一つの基準とされています。

相続を見据えて資産のスムーズな移転準備をしたいとき

不動産を個人の名義で所有し続けると、相続発生時に遺産分割協議が難航し、共有名義になってトラブルに発展するリスクを伴います。
法人化して不動産を会社所有とし、家族にその法人の株式を持たせる形にすれば、株式の生前贈与を通じて少しずつ資産を移転させていくことが可能です。
また、不動産そのものを細分化することなく、経営権や財産権を株式という単位で均等に分けやすくなります。
将来の相続を見据え、一族の資産を分割させずに守り抜く体制を構築したいと考えた時が、法人化に踏み切る適期と言えます。

不動産保有の節税に関するよくある質問

不動産の保有や活用、そして法人化に関する疑問は多く寄せられます。
ここでは、地主や不動産オーナーが直面しやすい代表的な質問とその回答を簡潔に紹介します。
仕組みの理解を深めるための参考にしてください。

なぜ地主は自分の土地に法人名義で建物を建てると節税になるのですか?

個人にかかる高い累進課税を避け、法人税の低い税率を適用できるからです。
家賃収入を家族への役員報酬として分配することで所得が分散され、一族全体の所得税・住民税を大幅に抑える効果を生み出します。

個人で不動産を持つ場合と法人で持つ場合の一番の違いは何ですか?

適用される税率の仕組みと資金の自由度です。
個人は所得が増えるほど税率が上がる累進課税で資金は自由に扱えますが、法人は税率が一定で経費の幅が広い反面、会社の資金は役員報酬としてしか受け取れない制限が生じます。

更地のまま土地を持ち続けると税金面で不利になるのは本当ですか?

本当です。
建物のない更地は「住宅用地の特例」が適用されず、アパートなどが建っている土地と比較して固定資産税が最大6倍になります。
また、相続時の評価額を下げる特例も使えないため税負担が非常に重くなります。

まとめ

不動産を売却せずに持ち続ける選択は、適切な活用法や制度を用いることで、固定資産税の軽減や将来の相続税の圧縮といった大きな税務上の利点をもたらします。
アパート経営による損益通算や貸家建付地としての評価減を利用する手法は、資産防衛の基本となります。
さらに、課税所得が一定のラインを超えた段階で資産管理会社を設立し、所得の分散や経費計上の枠を広げる法人化スキームを導入することで、より高度な税負担のコントロールが実現可能です。
目先の税金だけでなく、長期的な運用益や次世代への資産承継を見据え、自身の状況に合わせた最適な保有戦略を構築することが求められます。

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