2026/04/27
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土地活用で相続税はいくら下がる?節税の仕組みと計算方法を解説

土地活用で相続税はいくら下がる?節税の仕組みと計算方法を解説

土地を更地のまま相続すると高額な相続税が発生するリスクがあります。
しかし、アパートやマンションを建築するなどの土地活用を行うことで、相続税の負担を大幅に減らすことが可能です。
本記事では、土地活用によって税金が安くなる仕組みや具体的な計算手順、シミュレーション結果を分かりやすく解説します。

【シミュレーション】1億円の土地活用で相続税はいくら節税できる?

実際に土地活用を行った場合、どれほどの節税効果があるのかを具体的な数字で確認します。
ここでは「1億円の更地」と「1億円の現金」を所有し、相続人が子ども1人のケースを想定して計算します。
更地のまま相続した場合と、現金1億円を使ってアパートを建築した場合の相続税額を比較してみましょう。

更地のまま相続した場合の相続税額

更地のままで相続が発生した場合、土地の評価額は原則として時価とほぼ同じ水準である路線価で評価されます。
1億円の更地と1億円の現金をそのまま引き継ぐと、遺産総額は2億円です。
相続人が子ども1人の場合、基礎控除額の3,600万円を差し引いた1億6,400万円が課税遺産総額に該当します。
この金額に対して所定の税率と控除額を当てはめて計算すると、税額は約4,860万円です。
現金や預貯金は額面通りに評価されるため、そのまま残すことは税制上不利に働きます。

アパートを建てて相続した場合の相続税額

現金1億円を使ってアパートを建築した場合、資産の評価額は大きく下がります。
土地は「貸家建付地」として扱われ、評価額が約8,000万円まで低下する計算です。
また、建物は固定資産税評価額をもとに計算され、さらに人に貸し出すことで「借家権」の割合が差し引かれるため、評価額は約4,200万円に落ち着きます。
これらを合算した遺産総額は1億2,200万円まで圧縮され、基礎控除を差し引いた課税遺産総額8,600万円で計算し直すと、相続税額は約1,880万円となります。

土地活用による具体的な節税額の比較

更地のまま相続した場合の税額約4,860万円に対し、アパートを建築した場合の税額は約1,880万円です。
この2つを比較すると、約2,980万円もの節税効果が得られた計算になります。
さらに一定の条件を満たして「小規模宅地等の特例」を適用できれば、土地の評価額を最大50%減額できるため、納税額を数百万単位で圧縮することも可能です。
現金を不動産という形に変えて他人に貸し出す仕組みを利用するだけで、手元に残る資産の価値を最大化させながら税負担を大幅に減らせます。

土地活用で相続税が安くなる3つの仕組み

土地活用によってこれほどまでに税金が安くなる背景には、国税庁が定める評価ルールが存在します。
ここでは、相続税評価額を引き下げるための3つの基本的な仕組みについて詳しく解説します。

仕組み1:現金を不動産に変えることによる資産評価額の圧縮

現預金は額面そのものが評価額として100%課税対象になります。
一方で、現金を不動産に変えると評価基準が変わり、建物の場合は固定資産税評価額として建築費用の50%〜70%程度で算出されます。
つまり、1億円の現金で1億円の建物を建てた時点で、計算上の資産価値は5,000万円〜7,000万円に減少するということです。
借入金で建物を建てた場合も同様で、建築費という負債は100%マイナス計上できるのに対し、手に入れた建物の評価額は低く算定されるため、遺産総額全体を大きく目減りさせる効果を持ちます。

仕組み2:土地を貸家建付地にすることによる評価額の軽減

更地をそのまま所有している状態は「自用地」と呼ばれ、最も評価額が高い状態です。
そこに賃貸住宅を建てて第三者に貸し出すと、入居者の権利である借地権や借家権が生じます。
土地の所有者であっても自由な売却や立ち退き要求が制限されるため、その制限される権利分だけ土地の評価額が減額される仕組みです。
これを「貸家建付地」と呼びます。
地域に設定された借地権割合や満室度合いにもよりますが、一般的に自用地と比較して約15%〜20%ほど評価額を下げられます。

仕組み3:小規模宅地等の特例適用による最大80%の評価額減額

小規模宅地等の特例は、一定の要件を満たす土地の評価額を劇的に引き下げる制度です。
アパート経営などの賃貸事業を行っている土地は「貸付事業用宅地等」に該当し、200平方メートルまでの部分について評価額を50%減額できます。
被相続人の自宅の敷地である「特定居住用宅地等」であれば、330平方メートルまで80%も抑えられます。
ただし、賃貸経営の場合は相続開始前3年以内に新たに始めた事業だと適用が制限されるなど要件が厳格化されているため、早めに事業を開始して実績を作っておく必要があります。
自分でできる相続税の計算方法を調べる

自分でできる!相続税の計算方法を4ステップで解説

相続税の計算は複雑に見えますが、順を追って整理すればおおよその金額を把握できます。
ここでは、国税庁のルールに基づいた税額の基本的な算出方法を4つのステップに分けて解説します。

STEP1:相続する財産の総額を算出する

まずは被相続人が残したすべてのプラス財産とマイナス財産を洗い出し、正味の遺産総額を求めます。
土地や建物、現預金、有価証券といったプラス財産の評価額を合計します。
生命保険金や死亡退職金などは一定額まで非課税となるため、非課税枠を超えた分だけが加算されるルールです。
そこから、借入金などの未払金や葬儀費用といったマイナス財産を差し引きます。
土地の評価額は、都市部であれば道路ごとに定められた「路線価方式」を、郊外であれば固定資産税評価額に一定の倍率を掛ける「倍率方式」を用いて算出します。

STEP2:基礎控除額を差し引き、課税遺産総額を求める

STEP1で算出した正味の遺産総額から、税金がかからない非課税枠である基礎控除額を差し引きます。
計算式は「3,000万円+(600万円×法定相続人の数)」です。
法定相続人が配偶者と子ども2人の計3人であれば、基礎控除額は4,800万円となります。
遺産総額がこの基礎控除額を下回っていれば相続税は一切発生せず、申告手続きも原則として不要です。
基礎控除額を差し引いて残った金額が、実際に課税対象となる課税遺産総額に該当します。

STEP3:法定相続分で分割し、相続税の総額を計算する

課税遺産総額が算出できたら、次にその金額を法定相続分の割合で各相続人が受け取ったと仮定して分けます。
配偶者と子ども2人の場合、配偶者が2分の1、子どもが4分の1ずつです。
それぞれ仮で分割した取得金額に対し、国税庁が定める速算表の税率を掛け、控除額を差し引いて個別の仮の税額を割り出します。
そして、算出された全員分の仮の税額を足し合わせたものが「相続税の総額」に該当します。
この段階では、実際の遺産分割割合ではなく、あくまで法定相続分で仮計算するという点が間違えやすいポイントです。

STEP4:実際の相続割合に応じて各人の納税額を確定する

最後に、STEP3で求めた相続税の総額を、実際に各相続人が財産を引き継いだ割合で割り振ります。
例えば、総額が1,000万円で、ある相続人が全財産の30%を取得した場合、その人の負担額は300万円になります。
割り振りが終わった後、各人の状況に応じた税額控除を適用して最終的な納付額を確定させます。
特に配偶者の税額軽減は効果が大きく、配偶者は法定相続分または1億6,000万円のどちらか多い金額まで非課税です。
他にも未成年者控除や障害者控除などを適用して税負担を調整します。

土地活用で相続税対策を行う際の注意点

土地活用は強力な節税手段ですが、単に建物を建てれば安心というわけではありません。
運用面でのリスクや将来のトラブルを防ぐために、事前に把握しておくべき重要な注意点について解説します。

空室が発生すると節税効果が薄まるリスクがある

アパートやマンションを建築して土地を貸家建付地として評価を下げるためには、実際に人に貸し出している状態であることが前提となります。
相続が発生した時点で空室があると、その空室部分は自用地と同じ扱いになり、評価額の減額対象から外れてしまいます。
一時的な空室であれば例外として認められるケースもありますが、基本的には入居率が100%に近いほど節税効果が高まります。
そのため、家賃設定や設備の見直しを行い、満室経営を維持するための賃貸管理体制を整えておくことが欠かせません。

建物の建築費に充てた借入金は債務控除の対象になる

土地活用としてアパートを建築する際、多くの人が金融機関からのローンを利用します。
この借入金はマイナスの財産として扱われるため、相続発生時の残債全額をプラスの遺産総額から差し引くことができ、大きな節税効果を発揮します。
ただし、過度な借金は月々の返済負担を重くし、家賃収入が減った際にキャッシュフローを悪化させる原因になります。
節税ばかりを優先して収益性の低い物件を建ててしまうと結果的に相続人が借金返済で苦しむことになるため、無理のない事業計画を立てる必要があります。

二次相続まで見据えた総合的な対策を検討する

一次相続で配偶者が財産を多く引き継ぐと配偶者の税額軽減により納税額をゼロに抑えやすいですが、その配偶者が亡くなった際に発生する二次相続では注意が必要です。
二次相続では配偶者控除が使えないうえ、法定相続人の数が減るため基礎控除額も小さくなり、子どもたちに多額の税負担がのしかかる傾向があります。
そのため、収益物件をあらかじめ子ども名義で引き継がせる、あるいは生前贈与を利用するなど、二世代先までを見据えた税務シミュレーションと遺産分割の工夫をしておくことが重要です。
二次相続まで見据えた総合的な対策を検討する

土地活用の相続税対策に関するよくある質問

土地活用を検討している方から多く寄せられる、税金対策に関する疑問についてお答えします。
疑問点を解消し、具体的な計画を立てるための参考にしてください。

土地活用をすれば、必ず相続税は安くなりますか?

必ず安くなるわけではありません。
アパートを建てても空室が多ければ節税効果は薄れ、借入金が過大だと返済に行き詰まるリスクもあります。
長期的に収益性を確保できる無理のない計画が前提となります。

アパートやマンション経営以外に節税効果の高い土地活用はありますか?

テナントビルや高齢者向け住宅、戸建て賃貸なども評価減や小規模宅地等の特例が適用されるため高い節税効果が見込めます。
一方で、建物を伴わない青空駐車場などは特例の対象外となるケースが多く効果は限定的です。

相続税対策はいつから準備を始めるのが理想的ですか?

できるだけ早く、健康なうちから準備を始めるのが理想的です。
小規模宅地等の特例には事業期間の要件があり、生前贈与の加算期間も延長されているため、直前の対策では十分な節税効果を得られない場合があります。

まとめ

土地活用による相続税対策は、現金を不動産に変えることによる評価額の圧縮や、貸家建付地としての評価減、小規模宅地等の特例の適用といった仕組みを組み合わせることで、大きな減税効果をもたらします。ただし、節税目的だけでアパートを建築すると、空室リスクや過剰な借入による返済負担など、運用面での問題に直面する可能性があります。
相続税の基礎控除や計算手順を正しく理解し、事前に正確なシミュレーションを行うことが不可欠です。
また、一次相続だけでなく二次相続まで見据えた資産分割を検討し、長期間にわたって収益を安定して生み出せる活用方法を選択することが求められます。

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