2026/04/23
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相続した土地の放置は危険!過料10万円・固定資産税6倍のリスクとは

相続した土地の放置は危険!過料10万円・固定資産税6倍のリスクとは

親などから土地を相続したものの、利用予定がなく手続きを後回しにしているケースは少なくありません。しかし、その放置が深刻な金銭的・法的リスクを招く可能性があります。
特に2024年4月からは相続登記が義務化され、正当な理由なく怠ると10万円以下の過料が科されるようになりました。この記事では、相続した土地を放置する具体的な危険性や、手遅れになる前に行うべき対策について詳しく解説します。

相続した土地の放置で起こりうる4つの深刻なリスク

相続した土地をそのままにしておくと、主に4つの深刻なリスクに直面する可能性があります。
第一に、法改正による相続登記の義務化です。これを怠ると過料が科される場合があります。
第二に、税負担の増大です。管理不全な空き家が建っている場合、固定資産税が最大6倍に跳ね上がる恐れがあります。
第三に、将来的な売却や活用の困難化が挙げられます。そして最後に、所有者としての管理責任を問われ、近隣トラブルや損害賠償に発展する危険性も潜んでいます。

相続した土地の放置で起こりうる深刻なリスクについて調べる

【2024年4月から義務化】相続登記を怠ると10万円の過料も

これまで任意だった不動産の相続登記が、2024年4月1日から法律で義務化されました。
この法改正は、所有者不明の土地が増加し、公共事業や災害復旧の妨げとなっている社会問題を背景に行われたものです。相続によって不動産を取得した相続人は、定められた期間内に名義変更の手続きを行わなければならず、違反した場合には行政罰の対象となるため、すべての土地所有者にとって重要な変更点といえます。

3年以内の相続登記申請が義務に

新しい制度では、相続人が不動産の相続を知った日から3年以内に相続登記を申請することが義務付けられました。
具体的には、「自己のために相続の開始があったことを知り、かつ、当該所有権を取得したことを知った日」から3年が期限となります。また、遺産分割協議によって土地を取得する人が決まった場合も、協議が成立した日から3年以内にその内容に基づいた登記申請を行う必要があります。この期限内に手続きを完了させることが、新たな法的責任となりました。

正当な理由なく放置すると10万円以下の過料が科される

定められた期間内に相続登記を行わなかった場合、「正当な理由」がない限り、10万円以下の過料が科される可能性があります。
この「正当な理由」とは、例えば、相続人が非常に多くて戸籍謄本の収集に時間がかかるケース、遺言の有効性をめぐって訴訟になっているケース、あるいは相続人が重病であるといった事情が想定されています。単に手続きが面倒、費用がないといった理由は正当な理由とは認められにくいため、注意が必要です。

過去に相続した土地も義務化の対象となる

この相続登記の義務化は、法律が施行された2024年4月1日より前に発生した相続にも適用されます。つまり、何年も前、あるいは何十年も前に相続したものの、まだ名義変更をしていなかった土地も対象に含まれるのです。過去の相続については、法律の施行日である2024年4月1日から3年間の猶予期間が設けられており、2027年3月31日までに登記を申請する必要があります。心当たりのある場合は、速やかに手続きの準備を進めなければなりません。

放置で税金が跳ね上がる!固定資産税が最大6倍になるケースとは

相続した土地を放置することで生じる金銭的リスクの中でも、特に影響が大きいのが税金の問題です。土地や建物には毎年固定資産税が課されますが、管理を怠ることでその税額が大幅に増える可能性があります。特に、土地の上に老朽化した空き家が建っている場合は注意が必要です。自治体からの指導や勧告を無視し続けると、税金の優遇措置が受けられなくなり、経済的な負担が急激に増加する事態を招きます。

「特定空家」指定で住宅用地の特例が解除される

住宅が建っている土地には、「住宅用地の特例」が適用され、固定資産税が最大で6分の1に軽減されています。しかし、管理されずに放置された空き家が、倒壊の危険性が高い、衛生上有害であるといった状態だと判断されると、自治体によって「特定空家」または「管理不全空家」に指定されることがあります。この指定を受けると、住宅用地の特例が適用されなくなり、結果として土地の固定資産税が最大6倍にまで跳ね上がってしまうのです。

売却時に利用できる税金の控除が使えなくなる損失

土地を売却して利益(譲渡所得)が出た場合、所得税や住民税が課されますが、特定の条件下で税負担を軽減できる特例があります。
その一つが「取得費加算の特例」です。これは、相続した土地を相続開始の翌日から3年10ヶ月以内に売却した場合、支払った相続税の一部を土地の取得費に加算できる制度で、譲渡所得を圧縮し節税につながります。しかし、土地を長期間放置してこの期間を過ぎてしまうと、特例は利用できなくなり、より多くの税金を納めることになります。

売却時に利用できる税金の控除を届け出る

時間が経つほど深刻化する「売れない・使えない」土地問題

相続した土地の放置は、時間が経過するほどに権利関係の複雑化や資産価値の低下を招き、売却や活用が極めて困難になるという問題を引き起こします。
最初は単純だったはずの相続問題が、世代を重ねるごとに複雑化し、最終的には誰も手を出せない「負の資産」と化してしまうのです。
いざ活用しよう、売却しようと思い立ったときには、すでに手遅れになっているケースも少なくありません。

相続人がネズミ算式に増え、全員の合意形成が困難になる

相続登記をしないまま放置している間に、相続人が亡くなって次の相続(数次相続)が発生すると、土地の権利を持つ人がネズミ算式に増えていきます。
当初は数人だった相続人が、数十年後には数十人に膨れ上がることも珍しくありません。土地の売却や遺産分割協議を行うには、これら相続人全員の同意と実印、印鑑証明書が必要です。
しかし、面識のない遠い親戚まで含めた全員の合意を取り付けることは、現実的にほぼ不可能に近い作業となります。

いざ売却しようとしても買い手が見つからない資産価値の下落

管理されていない土地は、雑草が生い茂り、害虫が発生し、ゴミが不法投棄されるなどして景観が悪化します。
このような土地は周辺環境にも悪影響を与え、資産価値そのものが大きく下落してしまいます。
さらに、長年の放置によって隣地との境界が曖昧になっているケースも多く、売却しようとしても境界確定の測量に多額の費用と時間がかかります。
結果として、買い手を見つけることが非常に難しくなり、売却を諦めざるを得ない状況に陥ります。

近隣トラブルで損害賠償も!所有者として問われる管理責任

相続した土地を放置することは、単に資産を活用できないだけでなく、所有者としての管理責任を問われるリスクも伴います。
土地の管理を怠った結果、第三者に損害を与えてしまった場合、その責任は所有者が負わなければなりません。
近隣からの苦情で済めばまだ良い方で、最悪の場合、損害賠償請求の訴訟に発展する可能性も否定できません。自分は住んでいないから関係ない、という言い分は通用しないのです。

倒木や雑草の繁茂が原因で近隣から苦情が来る

管理されていない土地では、雑草が繁茂し、害虫や害獣が発生する原因となります。
これにより、近隣住民の生活環境が悪化し、自治体への通報や直接の苦情につながることがあります。
また、手入れされていない庭木や敷地内の樹木が枯れたり、台風などの自然災害で倒れたりして、隣家の建物や車を破損させてしまう事故も起こり得ます。
こうしたトラブルは、近隣との関係を悪化させるだけでなく、修繕費用を請求される原因にもなります。

不法投棄や放火など犯罪の温床になる危険性

人の出入りがなく、管理が行き届いていない土地は、外部から見ても放置されていることが明らかです。
そのため、ゴミの不法投棄のターゲットにされやすく、一度捨てられると、さらなる不法投棄を呼び込んでしまいます。投棄されたゴミの内容によっては、悪臭や有害物質が発生する可能性もあります。さらに、枯れ草やゴミが散乱している状況は放火のリスクを高め、火災が発生すれば近隣に甚大な被害を及ぼす大惨事につながる恐れもあります。

事故が発生した場合に所有者が負う損害賠償責任

土地に設置された工作物(ブロック塀や擁壁など)の管理不備が原因で他人に損害を与えた場合、土地の所有者は民法上の「土地工作物責任」に基づき、損害を賠償する責任を負います。
例えば、老朽化したブロック塀が倒壊して通行人が怪我をした、擁壁が崩れて隣家を破壊したといったケースがこれに該当します。
このような事故が発生した場合、所有者はたとえ過失がなくても責任を免れることは難しく、高額な損害賠償を請求される可能性があります。

手遅れになる前に!相続した土地を放置しないための5つの選択肢

相続した土地の放置がもたらすリスクを避けるためには、早期に行動を起こすことが重要です。
活用するにせよ、手放すにせよ、所有者として何らかの決断を下し、具体的な手続きを進める必要があります。ここでは、状況を悪化させないために検討すべき5つの具体的な選択肢を紹介します。自身の状況や土地の特性に合わせて、最適な方法を見つけるための参考にしてください。

【まずやるべきこと】相続登記を済ませて所有者を明確にする

どのような選択をするにしても、最初に行うべきことは相続登記を完了させることです。
相続登記によって、その土地の法的な所有者が誰であるかが公的に証明されます。
所有権が確定していなければ、土地の売却、活用、あるいは国への帰属といった、あらゆる手続きを進めることができません。
2024年4月から義務化されたこの手続きは、すべての対策のスタートラインであり、放置によるリスクを回避するための第一歩となります。

不動産会社に相談して土地の売却を検討する

土地を今後利用する予定がない場合、最も現実的な選択肢は売却です。
まずは不動産会社に査定を依頼し、その土地にどれくらいの価値があるのかを把握することから始めましょう。
複数の会社に相談することで、より正確な市場価値を知ることができ、信頼できるパートナーを見つけやすくなります。
売却によってまとまった現金を得られるだけでなく、将来にわたる固定資産税の支払いや管理の手間といった負担から解放されるという大きなメリットがあります。

駐車場経営などで土地活用して収益化を図る

土地の立地条件が良い場合は、売却せずに活用して収益を得るという選択肢もあります。
代表的な活用方法としては、初期投資を比較的抑えられる駐車場経営やコインランドリー経営が挙げられます。
また、アパートやマンションを建設して賃貸経営を行ったり、事業者に土地を貸して収益を得る借地事業、郊外であれば太陽光発電用地として活用したりする方法も考えられます。
専門家と相談し、その土地の特性に合った最適な活用法を検討しましょう。

相続土地国庫帰属制度を利用して国に引き取ってもらう

売却や活用が難しく、所有し続けることが負担でしかない土地については、国に引き取ってもらう「相続土地国庫帰属制度」の利用を検討できます。
この制度は2023年4月に始まり、一定の要件を満たす更地であれば、審査手数料と10年分の土地管理費相当額の負担金を納付することで、土地の所有権を国に移すことが可能です。
ただし、建物がある土地や境界が不明確な土地などは対象外となるため、誰でも利用できるわけではない点に注意が必要です。

相続開始から3ヶ月以内なら相続放棄も選択肢に

相続そのものが始まった直後であれば、「相続放棄」という選択肢も考えられます。
相続放棄とは、土地や預貯金といったプラスの財産だけでなく、借金などのマイナスの財産も含めて、すべての遺産を相続する権利を放棄する手続きです。
これは、相続の開始を知った時から3ヶ月以内に家庭裁判所に申し立てる必要があります。ただし、一度相続放棄をすると撤回はできず、土地だけを選んで放棄することもできないため、慎重な判断が求められます。

相続した土地の放置に関するよくある質問

ここでは、相続した土地の放置に関して、多くの方が抱える疑問について回答します。

Q1. 相続登記の義務化、手続きの期限はいつまでですか?

原則として、自身が相続人となり土地の所有権を取得したことを知った日から3年以内です。
2024年4月1日より前に相続が開始していた土地については、2027年3月31日までに登記を行う必要があります。
遺産分割協議で取得者が決まった場合は、その成立日から3年以内の登記が必要です。

Q2. 土地の価値がほとんどない場合でも、何か対策は必要ですか?

はい、対策は必要です。
土地の資産価値の有無にかかわらず、2024年4月から始まった相続登記の義務や、所有者としての管理責任は発生します。
放置すれば過料や、倒木などによる損害賠償リスクを負う可能性があります。売却が困難な場合は、相続土地国庫帰属制度の利用などを検討しましょう。

Q3. 土地のことで困っていますが、誰に相談すれば良いのでしょうか?

相談内容に応じて専門家が異なります。
相続登記の手続きは司法書士、土地の売却や活用については不動産会社、相続税などの税金問題は税理士、相続人間でのトラブルや法的な紛争は弁護士が専門です。
まずは状況を整理し、何に困っているのかを明確にしてから適切な窓口に相談してください。

まとめ

相続した土地を放置することは、2024年4月からの相続登記義務化により、10万円以下の過料という直接的な罰則のリスクを生じさせます。
それに加え、管理不全による固定資産税の増大、権利関係の複雑化による売却困難、近隣トラブルによる損害賠償責任など、金銭的・法的な負担は計り知れません。
リスクを回避するためには、速やかに相続登記を済ませ、売却、活用、国庫帰属制度の利用など、自身の状況に合った具体的な対策を検討し、行動に移すことが不可欠です。

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