固定資産税とは?計算方法・仕組み・軽減措置を図解でわかりやすく解説【2025年最新版】
固定資産税とは?計算方法を具体例つきでわかりやすく解説
固定資産税は、土地や家などの不動産を所有しているすべての人に関わる税金です。
これから不動産を取得する方や、初めて納税する方にとって、その仕組みは複雑に感じられるかもしれません。
この記事では、固定資産税とは何かという基本から、具体的な税額の計算方法、支払いスケジュール、さらには税負担を軽減するための特例措置まで、具体例を交えながらわかりやすく解説します。
不動産所有者として知っておくべき知識の理解を、ここからスタートさせましょう。
- 固定資産税とはどんな税金?基本を解説
- 固定資産税の課税対象になる資産の種類
- 毎年1月1日時点の所有者が納税義務者になる
- 固定資産税と都市計画税は何が違うのか
- 固定資産税の計算方法を3ステップで解説
- ステップ1:税額の基礎になる固定資産税評価額の調べ方
- ステップ2:特例を適用して課税標準額を算出する
- ステップ3:課税標準額に標準税率1.4%をかけて税額を確定
- 固定資産税の納付スケジュールと支払い方法
- 納税通知書はいつ届く?納付期限も解説
- 固定資産税の主な支払い方法一覧
- もし納付期限を過ぎてしまった場合の注意点
- 知らないと損!固定資産税の負担を軽くする軽減措置
- 土地(住宅用地)に適用される特例措置
- 新築住宅に適用される税額の減額措置
- リフォームで受けられる減額措置
- まとめ
固定資産税とはどんな税金?基本を解説
固定資産税とは、毎年1月1日時点で土地や家屋などの固定資産を所有している人に対して、その資産が所在する市町村(東京23区の場合は都)が課税する地方税です。
この税収は、道路や公園の整備、教育、福祉、ごみ収集といった、私たちが利用する身近な行政サービスを維持するための重要な財源として活用されます。
そのため、地域社会を支える上でその必要性は非常に高いものです。
ここでは、課税対象となる資産の種類や納税義務者、都市計画税との違いといった、固定資産税の基本的な仕組みについて解説します。
固定資産税の課税対象になる資産の種類
固定資産税の課税対象は、土地、家屋、償却資産の3つに分類されます。
個人の不動産所有者が主に関わるのは土地と家屋です。
土地には宅地や田畑、山林などがあり、家屋には住宅のほか、店舗や倉庫なども含まれます。
一方で、国や地方公共団体が所有する道路や公園、墓地などの公共性の高い資産は、原則として非課税となります。
また、宗教法人が宗教活動に直接使用する境内地や建物なども、特定の要件を満たせば課税対象から外れる場合があります。
このように、全ての土地や家屋に課税されるわけではなく、その用途や所有者によって例外が定められています。
毎年1月1日時点の所有者が納税義務者になる
固定資産税を納める義務があるのは、毎年1月1日(賦課期日)の時点で、不動産の登記簿や固定資産課税台帳に所有者として登録されている人です。
たとえ1月2日に不動産を売却したとしても、その年度の納税義務は1月1日時点の所有者が負うことになります。
そのため、不動産売買の実務においては、売主と買主との間で、所有権が移転した日を基準に固定資産税額を日割り計算し、買主が売主に相当額を支払う形で負担を調整することが一般的です。
ただし、これはあくまで当事者間の私的な取り決めであり、市町村に対する納税義務者そのものが変更されるわけではありません。
固定資産税と都市計画税は何が違うのか
固定資産税と都市計画税は、どちらも不動産に課される税金で、一緒に納税通知書が送られてくるため混同されやすいですが、その目的と課税対象が異なります。
固定資産税は、資産を所有していること自体に対して課される普通税であり、その税収は教育や福祉など一般的な行政サービス全般に充てられます。
一方、都市計画税は、都市計画事業(道路・公園・下水道など)の費用に充てることを目的とした目的税であり、地方税法第702条の3および第702条の4に基づき税率は0.3%を上限(制限税率)として条例で定められています。
このため、課税対象は原則として市街化区域内に所在する土地と家屋に限られます。
固定資産税がほぼ全ての不動産所有者に課されるのに対し、都市計画税は課税されるエリアが限定されている点が大きな違いです。
固定資産税の計算方法を3ステップで解説
固定資産税は、納税者自身が税額を計算して申告するのではなく、市町村が税額を算定して通知する「賦課課税方式」がとられています。
しかし、その計算プロセスを理解しておくことは、納税通知書の内容を確認し、自身の税負担が適正であるかを把握するために重要です。
固定資産税の計算は、大きく分けて3つのステップで進められます。
この手順に沿って確認することで、一見複雑に思える税額の算出方法を分かりやすく理解できます。
ここでは、その3ステップを順に解説します。
ステップ1:税額の基礎になる固定資産税評価額の調べ方
固定資産税の計算における最初のステップは、税額の基礎となる「固定資産税評価額」を確認することです。
この評価額は、総務大臣が定めた固定資産評価基準に基づき、各市町村が個別の不動産ごとに決定する公的な価格です。
一般的に、土地の評価額は総務省が定める固定資産評価基準により算出され、一般に地価公示価格の約7割を目安に、家屋は同じものを新築した場合にかかる費用(再建築価格)から経年による価値の減少分を差し引いて算出されます。
“固定資産評価額は3年ごとに見直され、これを「評価替え」と呼びます。
最新の評価替えは令和6年度(2024年)に実施され、次回は令和9年度(2027年)に予定されています。”
自身の不動産の評価額を知る最も簡単な方法は、毎年市町村から送られてくる納税通知書に添付された課税明細書を確認することです。
その他、役所で固定資産課税台帳を閲覧する方法もあります。
ステップ2:特例を適用して課税標準額を算出する
固定資産税評価額がわかったら、次に税率を掛けるための「課税標準額」を算出します。
多くの場合、固定資産税評価額がそのまま課税標準額になるわけではありません。
特に、人々が住むための住宅が建っている土地(住宅用地)については、税負担を軽減するための特例措置(地方税法第349条の3の規定に基づく)が設けられており、これを適用した後の金額が課税標準額となります。
例えば、住宅用地の特例では、土地の面積に応じて固定資産税評価額が大幅に減額されます。
こうした特例が適用されることで、課税標準額は評価額よりも低い金額になります。
納税通知書に同封される課税明細書には、評価額と特例適用後の課税標準額の両方が記載されているため、どのような軽減措置が適用されているかを確認できます。
ステップ3:課税標準額に標準税率1.4%をかけて税額を確定
課税標準額が確定したら、最後のステップとして税率を掛けて最終的な固定資産税額を算出します。
固定資産税の税率は、地方税法により「1.4%」が標準税率として定められています。
これは、市町村が税率を定める際の基準となるものです。
ただし、市町村はそれぞれの財政状況などに応じて、条例によってこの標準税率とは異なる税率を定めることが認められています。
そのため、所有する不動産の所在地によっては1.5%や1.6%など、1.4%ではない税率が適用されることもあります。
具体的な税額は「課税標準額×税率」の式で計算されます。
正確な税率については、納税通知書や市町村のウェブサイトで詳しく確認することが必要です。
固定資産税の納付スケジュールと支払い方法
固定資産税は、市町村から送られてくる納税通知書に基づき、定められた期限までに納付する必要があります。
納付は年税額を一括で支払う方法のほかに、通常は年4回の納期に4回に分けて支払う分割納付が選択できます。
多くの自治体では、納期を4月、7月、12月、翌年2月に設定していますが、これは統一されているわけではなく、自治体ごとに異なります。
ここでは、納税通知書がいつ頃届くのか、納付期限はいつなのか、そしてどのような支払い方法があるのかといった、納付に関する具体的なスケジュールと方法を解説します。
納税通知書はいつ届く?納付期限も解説
固定資産税の納税通知書については、地方税法で通知時期の統一はないものの多くの自治体では毎年4月から6月頃に、その年の1月1日時点の所有者宛てに市町村から郵送されます。
この通知書には、納めるべき税額や納付期限、そして税額の算出根拠となる課税明細書が同封されています。
納付期限は、年4回に分割して納める場合、第1期が4月末、第2期が7月末、第3期が12月末、第4期が翌年2月末に設定されているのが一般的です。
ただし、この期日は市町村によって異なるため、必ず届いた納税通知書で正確な日付を確認してください。
もし通知書が届かない、または内容にわからない点がある場合は、そのままにせず、資産が所在する市町村の税務担当部署へ速やかに問い合わせることが重要です。
固定資産税の主な支払い方法一覧
固定資産税の支払い方法は、近年多様化しており、納税者のライフスタイルに合わせて選べるようになっています。
最も基本的な方法は、納税通知書を金融機関や郵便局、市町村役場の窓口、コンビニエンスストアに持参して現金で支払う方法です。
また、事前に手続きをすれば、指定した預金口座から自動的に引き落とされる口座振替も利用でき、納付忘れを防ぐのに便利です。
さらに、多くの自治体では、eLTAXによる電子申告・スマホ納付対応のほかインターネットを利用したクレジットカード払いや、スマートフォンの決済アプリ(PayPayやLINEPayなど)を使ったキャッシュレス決済にも対応しています。
これらの方法は、時間や場所を選ばずに納付でき、ポイント還元が受けられる場合もあるため、自分にとって便利な方法を選択するとよいでしょう。
もし納付期限を過ぎてしまった場合の注意点
定められた納付期限までに固定資産税を支払わないと、その翌日から延滞金が発生します。
延滞金は、滞納した税額と日数に応じて計算され、本来の税額に上乗せして納付しなければなりません。
延滞金の利率は、地方税法第365条に基づき、年7.3%(または特例基準割合+1%)など法令で定められており、決して低いものではありません。
納付が遅れ続けると、市町村から督促状が送付されます。
この督促状を無視してさらに滞納を続けると、最終的には地方税法第373条以下に基づいた預貯金や給与、不動産などの財産の差し押さえなど滞納処分が行われる場合があります。
災害や失業など、納税が困難な特別な理由がある場合は、決して放置せず、できるだけ早く市町村の窓口に相談し、分割納付や徴収の猶予といった制度が利用できないか確認することが大切です。
知らないと損!固定資産税の負担を軽くする軽減措置
固定資産税には、納税者の負担を軽減するための様々な特例や減額措置が法律で定められています。
これらの制度を正しく理解し活用することで、年間の税負担を大きく抑えることが可能です。
多くは自動的に適用されますが、リフォームに伴う減額(申告時には工事証明書などの提出が必要になります)など、中には納税者自身による申告が必要なものも存在します。
特に、住宅が建っている土地や新築住宅に対しては、税額に大きな影響を与える軽減措置が用意されています。
自身の所有する不動産がこれらの措置の対象となるかどうか、条件を確認し、適切に手続きを行うことが重要です。
土地(住宅用地)に適用される特例措置
人が住むための家屋が建っている土地(住宅用地)には、固定資産税の負担を軽減するための特例措置が適用されます。
この特例により、土地の課税標準額が大幅に引き下げられます。
具体的には、住宅1戸につき200平方メートルまでの部分(小規模住宅用地)は、課税標準額が固定資産税評価額の6分の1に減額されます。
また、200平方メートルを超える部分(一般住宅用地)については、課税標準額が評価額の3分の1に減額される仕組みです。
この措置は、住宅地の税負担を軽くすることが目的です。
そのため、例えば古い家を解体して更地にすると、この特例の適用対象から外れ、翌年度から土地の固定資産税が最大で6倍になるケースもあるため注意が必要です。
新築住宅に適用される税額の減額措置
新しく建てられた住宅については、一定の要件を満たす場合に、家屋部分にかかる固定資産税が一定期間減額される措置が設けられています。
この制度は、住宅取得者の初期負担を軽くし、質の良い住宅の供給を促進することを目的としています。
減額の内容は、一般の新築一戸建て住宅の場合、新たに課税される年度から3年間、マンションのような3階建て以上の耐火・準耐火建築物の場合は5年間にわたり、家屋の固定資産税額が2分の1に減額されます。
この措置を受けるには、居住部分の床面積が50平方メートル以上280平方メートル以下であることなどの条件を満たす必要があります。
通常は建築後の家屋調査で要件が確認され自動的に適用されますが、適用期間が終了すると本来の税額に戻ります。
リフォームで受けられる減額措置
既存の住宅に一定の改修工事を行った場合にも、固定資産税の減額措置を受けられることがあります。
対象となるリフォームは、主に耐震改修、バリアフリー改修、省エネ改修の3種類です。
例えば、1982年1月1日以前に建てられた住宅を現行の耐震基準に適合させるための耐震リフォームを行った場合、工事完了の翌年度分の家屋の固定資産税が2分の1減額されます。
また、一定のバリアフリー改修や省エネ改修を行った場合も、翌年度分の税額が3分の1減額される制度があります。
これらの減額措置を利用するためには、工事完了後3ヶ月以内に市町村への申告が必要です。
工事費用などにも要件があるため、事前に自治体のウェブサイトなどで詳細を確認することが重要です。
まとめ
固定資産税は、不動産を所有する限り毎年課税される地方税です。
税額は、市町村が決定する固定資産税評価額を基に算出された課税標準額に、標準税率1.4%(市町村により異なる場合がある)を乗じて計算されます。
納税通知書は市町村から送付されますが、納税者自身がその計算の仕組みや納付方法を理解しておくことは、納税額が適正であるかを確認する上で役立ちます。
特に、住宅用地の特例や新築住宅の減額措置といった税負担を軽減する制度は、節税の観点から非常に重要です。
これらの制度を正しく活用するために、自身の不動産が対象となるかを確認し、不明な点があれば資産の所在する市町村の担当部署に問い合わせることをお勧めします。
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