不動産の生前贈与とは?手続きの流れ・必要書類・税金・特例制度まで徹底解説
不動産を生前贈与する手続きと相続税の計算方法|メリットも解説
不動産の生前贈与は、所有者が生きているうちに特定の相手へ不動産を譲り渡す手続きです。
将来の相続税対策や、自身の意思で財産を確実に引き継がせたい場合に、税負担は評価額や税制により変動するため、慎重な検討が必要ですが、状況によっては有効な選択肢となる場合があります。
しかし、贈与税などの税金の計算や複雑な手続きが伴うため、正しい知識を持って計画的に進める必要があります。
この記事では、不動産の生前贈与におけるメリットや注意点、具体的な手続きの流れ、そして相続税との関連や税金の計算方法について網羅的に解説します。
- 不動産を生前贈与する3つのメリット
- 自分の意思で特定の相手に財産を渡せる
- 将来の相続税負担を軽減できる可能性がある
- 収益物件の家賃収入を早めに引き継げる
- 不動産の生前贈与で注意すべき4つのポイント
- 相続税より贈与税のほうが高額になるケースがある
- 贈与税以外にも不動産取得税や登録免許税が発生する
- 亡くなる直前の贈与は相続税の対象になる可能性がある
- 「租税特別措置法第69条の4」に基づく小規模宅地等の特例が適用できなくなる
- 不動産の生前贈与で発生する税金と費用の種類
- 贈与税:財産を受け取った人にかかる税金
- 不動産取得税:不動産を取得したときにかかる税金
- 登録免許税:不動産の名義変更(登記)にかかる税金
- 司法書士など専門家への依頼費用
- 贈与税の負担を軽減できる2つの特例制度
- 相続時精算課税制度を活用して最大2,500万円まで非課税にする
- 夫婦間の贈与で利用できる配偶者控除(おしどり贈与)
- 不動産を生前贈与する手続きの6ステップ
- ステップ1:誰にどの不動産を贈与するか決める
- ステップ2:贈与契約書を作成して当事者間で合意する
- ステップ3:法務局に提出する登記関連の書類を準備する
- ステップ4:法務局で所有権移転登記を申請する
- ステップ5:都道府県税事務所へ不動産取得を申告する
- ステップ6:税務署で贈与税の申告と納税を行う
- 相続より不動産の生前贈与が向いているケースとは
- 将来的に価値が上がると予想される不動産を贈与する場合
- アパートやマンションなど収益を生む不動産を贈与する場合
- 遺言書だけでは不安で、確実に特定の人へ渡したい場合
- まとめ
不動産を生前贈与する3つのメリット
不動産の生前贈与には、将来の相続を見据えた際にいくつかのメリットが存在します。
贈与する側の意思を明確に反映できる点や、税制や評価時期によっては、結果として税負担が抑えられる可能性があります。
また、収益物件を贈与することで、その収益を早期に次世代へ移転させることも可能です。
ここでは、不動産を生前贈与することで得られる主な3つのメリットについて具体的に解説します。
自分の意思で特定の相手に財産を渡せる
生前贈与の大きな利点は、贈与者が自分の意思で、特定の相手を選んで財産を確実に渡せることです。
相続の場合、遺言書がなければ法定相続人が法律で定められた割合で財産を分けることになり、必ずしも所有者の希望通りになるとは限りません。
例えば、家業を継ぐ特定の子どもに事業用の土地・建物を引き継がせたい場合や、特に世話になった親族に自宅を譲りたい場合など、親子間や特定の親族間での贈与が有効な手段となります。
遺言でも意思を示すことは可能ですが、贈与は生前に所有権を移転できるため、相続後のトラブルを一定程度防げ、より確実に財産を承継させることができます。
将来の相続税負担を軽減できる可能性がある
生前贈与は、評価時期や税制の適用条件などが一定の条件を満たす場合に限り、結果として相続した場合より税負担を抑えられる場合があります。
不動産の価値が将来的に上昇すると見込まれる場合、価値が低い時点で贈与しておけば、相続発生時の高い評価額で計算される相続税を回避できます。
また、毎年110万円の基礎控除が利用できる暦年贈与の仕組みを活用し、少しずつ財産を移転していく方法も考えられます。
ただし、不動産は評価額が高額になることが多いため、暦年贈与の枠だけで贈与を完了させるのは現実的ではありません。
また、贈与税は相続税に比べ累進税率構造が急であり、高額贈与では税負担が重くなる傾向があります(相続税法第21条の5および別表第一参照)。
他の特例制度の活用や、相続税と贈与税の税率を比較検討し、計画的に行うことが重要です。
収益物件の家賃収入を早めに引き継げる
アパートや賃貸マンションなどの収益物件を所有している場合、その物件を生前贈与することで、家賃収入を早期に受贈者(もらう側)へ引き継ぐことができます。
贈与者が家賃収入を受け取り続けると、その分だけ現金や預貯金が積み上がり、将来の相続財産が増加してしまいます。
早い段階で収益物件そのものを贈与してしまえば、贈与者の相続財産が増えるのを防ぎつつ、受贈者は安定した収入を得られるようになります。
これにより、受贈者の経済的基盤を早期に安定させる効果も期待できるでしょう。
不動産の生前贈与で注意すべき4つのポイント
不動産の生前贈与はメリットがある一方で、慎重に検討すべき注意点も存在します。
特に税金面では、相続で財産を渡す場合と比較して、かえって負担が大きくなるケースも少なくありません。
また、相続時に利用できるはずだった特例が適用できなくなるなど、事前に知っておくべき重要なポイントがあります。
ここでは、不動産の生前贈与を検討する際に、特に注意すべき4つの点を解説します。
相続税より贈与税のほうが高額になるケースがある
一般的に、贈与税は相続税よりも税率が高く設定されており、基礎控除額も少なくなっています。
相続税には「3,000万円+600万円×法定相続人の数」という大きな基礎控除がありますが、贈与税(暦年課税)の基礎控除は年間110万円です。
そのため、贈与する不動産の評価金額によっては、相続で財産を渡すよりも贈与税のほうが高額になる可能性があります。
生前贈与を実行する前には、贈与税額と、もし相続した場合にかかるであろう相続税額をシミュレーションし、どちらが有利になるかを慎重に比較検討することが不可欠です。
贈与税以外にも不動産取得税や登録免許税が発生する
不動産の生前贈与では、贈与税だけでなく、不動産取得税と登録免許税という2つの税金が発生します。
一つは不動産取得税で、贈与の場合は課税対象となります。
もう一つは、所有権移転登記の際に納める登録免許税です。
詳しいことは後程説明しますが、これらの税金は不動産の評価額に基づいて計算されるため、不動産の評価額に応じて数十万円〜数百万円の負担となることがあります。
贈与税と合わせて、これらの諸費用も資金計画に含めておく必要があります。
亡くなる直前の贈与は相続税の対象になる可能性がある
相続税の計算において、被相続人が亡くなる前の一定期間内に行われた贈与は、なかったものとみなされ、相続財産に加算して相続税を計算する「生前贈与加算」という制度があります。
この制度により、駆け込みでの贈与による相続税逃れが防止されていて、相続税法第19条の2に基づき、被相続人が死亡前3年以内に行った贈与は相続財産に加算されるようになっています。
令和5年度税制改正により、この加算期間は2024年(令和6年)以降段階的に7年に延長され、令和9年1月1日以降の相続から全面適用される予定です。
「租税特別措置法第69条の4」に基づく小規模宅地等の特例が適用できなくなる
相続において、被相続人の自宅や事業用の土地を特定の親族が引き継ぐ場合、「小規模宅地等の特例」を適用できる可能性があります。
「小規模宅地等の特例」(租税特別措置法第69条の4)は被相続人居住用・事業用・貸付事業用の土地を対象とした相続税評価減制度で、相続による宅地取得に限り、最大80%の評価減が認められる制度です。
生前贈与による取得は適用対象外であり、贈与後に本特例を受けることはできません。
例えば、親と同居している子が親名義の自宅を生前贈与で受け取ると、将来の相続時にこの特例を使えなくなり、結果として税負担が大きくなってしまう可能性があるため注意が必要です。
不動産の生前贈与で発生する税金と費用の種類
不動産の生前贈与を実行する際には、贈与税をはじめとする複数の税金や費用が発生します。
これらのコストを事前に把握しておくことは、計画を立てる上で非常に重要です。
具体的には、財産を受け取った側にかかる贈与税、不動産を取得したことに対して課される不動産取得税、そして名義変更手続きに必要な登録免許税が主な税金です。
さらに、手続きを専門家に依頼する場合には、その報酬も費用として考慮する必要があります。
贈与税:財産を受け取った人にかかる税金
贈与税は、個人から不動産などの財産を無償で受け取ったとき、受け取った側(受贈者)に課される国税です。
贈与税の計算方法には「暦年課税」と「相続時精算課税」の2種類があり、原則として暦年課税が適用されます。
暦年課税では、1年間(1月1日から12月31日まで)に受けた贈与の合計額から基礎控除110万円を差し引き、残りの金額に対して超過累進税率を適用して税額を計算します。
贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までに税務署へ申告し、納税する必要があります。
{DATA}不動産取得税:不動産を取得したときにかかる税金
不動産取得税は、地方税法第73条の7に基づき土地や家屋の購入、贈与、建築などで不動産を取得した際に、取得した人に対して都道府県が課税する地方税です。
相続による取得の場合は非課税ですが、生前贈与の場合は課税対象となります。
税額を算定するための税率は地方税法第73条の7に基づいており、土地・住宅用家屋が3%、非住宅用家屋が4%で課税されますが、宅地については評価額を2分の1にする軽減措置があります。
税率は土地・住宅用家屋が3%、非住宅用家屋が4%ですが、宅地については評価額を2分の1にする軽減措置があります。
不動産を取得してから一定期間内に、都道府県税事務所への申告が必要です。
登録免許税:不動産の名義変更(登記)にかかる税金
登録免許税は、不動産の所有権が移転した際に、その権利関係を公に示すための名義変更(所有権移転登記)手続きに対して課される国税です。
この手続きは、不動産の所在地を管轄する法務局で行い、申請時に登録免許税を納付します。
税額を算定するための税率は登録免許税法第9条に基づいており、 相続、法人の合併または共有物の分割の場合は0.4%であるのに対し、贈与・売買・交換等の登記の場合は2%と5倍の税率が適用されるため、相続に比べて税負担が大きくなる点に注意が必要です。
司法書士など専門家への依頼費用
不動産の生前贈与に伴う所有権移転登記は、法律の専門知識や複雑な書類作成が求められるため、一般的には司法書士に手続きを依頼します。
その際に、司法書士へ支払う報酬(手数料)が発生します。
報酬額は司法書士事務所によって異なりますが、一般的には不動産の評価額や物件数、手続きの難易度などに応じて変動します。
登記手続き自体の手数料のほか、贈与契約書の作成を依頼した場合などにも別途費用がかかることがあります。
事前に見積もりを取り、総額でどの程度の費用がかかるのかを把握しておくとよいでしょう。
贈与税の負担を軽減できる2つの特例制度
不動産のような高額な財産を贈与する場合、贈与税の負担が大きくなることが懸念されます。
しかし、国の政策的な配慮から、一定の要件を満たすことで贈与税が非課税になったり、大きな控除を受けられたりする特例制度が設けられています。
これらの制度をうまく活用することで、税負担を大幅に軽減できる可能性があります。
ここでは、不動産の生前贈与で利用を検討したい代表的な2つの特例制度について解説します。
相続時精算課税制度を活用して最大2,500万円まで非課税にする
相続時精算課税制度は、原則として60歳以上の親または祖父母から18歳以上の子または孫へ贈与を行う際に選択できる制度です。
この制度を選択すると、複数年にわたる贈与額の合計が2,500万円に達するまで贈与税が非課税となります。
2,500万円を超えた部分については、一律20%の税率で課税されます。
この制度で贈与した財産は、贈与者が亡くなった際に相続財産に加算して相続税を計算する仕組みです。
2024年1月からは、この特別控除枠とは別に、年間110万円の基礎控除が新設され、より利用しやすくなりました。
夫婦間の贈与で利用できる配偶者控除(おしどり贈与)
「おしどり贈与」とも呼ばれるこの制度は、婚姻期間が20年以上の夫婦間で、居住用の不動産またはその取得資金の贈与が行われた場合に利用できる配偶者控除です。
この特例を使うと、贈与税の基礎控除110万円とは別に、最高2,000万円までを贈与額から控除できます。
つまり、最大で2,110万円までの贈与であれば贈与税がかかりません。
対象となるのは、贈与を受けた配偶者が実際に居住するための不動産に限られ、贈与を受けた年の翌年3月15日までにその不動産に居住し、その後も住み続ける見込みがあることなどの要件を満たす必要があります。
不動産を生前贈与する手続きの6ステップ
不動産の生前贈与を実際に行うには、どのような流れで進めればよいのでしょうか。
手続きには、当事者間の合意形成から、法的な書類の作成、法務局での登記申請、そして税務署への申告まで、いくつかの段階を踏む必要があります。
ここでは、不動産の生前贈与の手続きにおける具体的なやり方を、6つのステップに分けて解説します。
各ステップで何をすべきかを理解し、計画的に進めることが重要です。
ステップ1:誰にどの不動産を贈与するか決める
最初に行うべきことは、贈与者と受贈者の間で、どの不動産を贈与するのかを明確に決定することです。
贈与する不動産を特定し、その目的を再確認します。
この段階で、対象となる不動産の固定資産税評価証明書などを取得し、おおよその評価額を把握しておくと、後の税金計算や計画が立てやすくなります。
不動産を贈与する意思と、それを受け取る意思を当事者双方でしっかりと確認することが全ての始まりです。
ステップ2:贈与契約書を作成して当事者間で合意する
贈与の合意が固まったら、その内容を証明するために贈与契約書を作成します。
法律上、口約束でも贈与は成立しますが、不動産の場合は所有権移転登記の申請に契約書が必要となるほか、後々のトラブルを防ぐためにも書面で残すことが不可欠です。
契約書には、「誰が」「誰に」「いつ」「どの不動産を」贈与したかを正確に記載し、当事者双方が署名し、実印で捺印します。
不動産の表示は、登記事項証明書(登記簿謄本)の記載通りに正確に記述する必要があります。
但し、不動産自体の所有権の移転は不動産の登記移転手続きが必要で、贈与契約後、登記を行って初めて第三者に対抗できるようになる点に注意が必要です(民法第176条)。
ステップ3:法務局に提出する登記関連の書類を準備する
所有権移転登記を申請するために、法務局へ提出する必要書類を準備します。
主に必要となるのは、贈与者側が用意する登記済権利証(または登記識別情報通知書)、発行から3ヶ月以内の印鑑証明書、固定資産評価証明書です。
一方、受贈者側は住民票を用意します。
加えて、登記申請書や、ステップ2で作成した贈与契約書(登記原因証明情報)なども必要です。
これらの書類に不備があると手続きが滞るため、法務局のウェブサイトで確認したり、司法書士に相談したりしながら、漏れなく揃えることが重要です。
ステップ4:法務局で所有権移転登記を申請する
必要書類がすべて揃ったら、対象不動産の所在地を管轄する法務局へ所有権移転登記の申請を行います。
登記申請書に必要書類を添付して窓口に提出するか、郵送またはオンラインでの申請も可能です。
この申請が受理され、登記が完了すると、不動産の所有権が正式に贈与者から受贈者へ移転したことが登記簿に記録されます。
本人による登記申請も可能ですが、専門知識が必要なため司法書士依頼が一般的になっています。
手続きは司法書士に依頼するのが一般的ですが、自分で行うこともできます。
ステップ5:都道府県税事務所へ不動産取得を申告する
不動産の贈与を受けて所有権移転登記が完了したら、受贈者は不動産の所在地を管轄する都道府県税事務所に対して不動産取得申告書を提出する必要があります。
この申告に基づいて、後日、不動産取得税の納税通知書が送付されてきます。
申告の期限は都道府県によって異なりますが、不動産を取得した日から30日や60日以内と定められていることが多いです。
贈与税の確定申告とは別の手続きであり、忘れずに行う必要があります。
申告書の様式は各都道府県のウェブサイトなどから入手できます。
ステップ6:税務署で贈与税の申告と納税を行う
手続きの最終ステップとして、贈与税の申告と納税を行います。
基礎控除額(110万円)を超える贈与を受けた場合、受贈者は贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までの間に、自身の住所地を管轄する税務署へ贈与税の申告書を提出し、納税を完了させる必要があります。
相続時精算課税制度や配偶者控除などの特例を利用して贈与税が0円になる場合でも、その特例の適用を受けるためには申告手続きが必須です。
期限内に申告・納税を行わないと、相続税法第27条および国税通則法第66条・第67条に基づき、期限後申告や納付遅延には無申告加算税・延滞税が課されるため注意が必要です。
相続より不動産の生前贈与が向いているケースとは
不動産の承継方法は、生前贈与と相続の二つに大別されますが、どちらが有利かは個々の状況によって異なります。
生前贈与は、相続では実現が難しい特定の目的を達成したい場合に有効な手段となり得ます。
例えば、将来の価値変動が予測される不動産や、分割が難しい不動産を扱う場合などです。
ここでは、相続ではなく、あえて生前贈与を選択することが適している具体的なケースについて解説します。
将来的に価値が上がると予想される不動産を贈与する場合
贈与税も相続税も、課税対象となる不動産の評価額に基づいて計算されます。
もし、所有している土地の周辺で再開発計画が進んでいるなど、将来的に価値が大きく上がることが予想される場合、評価額がまだ低い段階で生前贈与を実行することが有効な選択肢となります。
贈与税は贈与時点の評価額で課税されるため、将来相続が発生した際の高い評価額で相続税を計算されるよりも、トータルの税負担を抑えられる可能性があります。
ただし、贈与後短期間での売却は税務署に否認されるリスクもあるため、慎重な計画が求められます。
アパートやマンションなど収益を生む不動産を贈与する場合
アパートや賃貸マンションなどの収益物件は、所有しているだけで毎月家賃収入を生み出し、所有者の財産を増やし続けます。
これを所有し続けると、将来の相続財産が雪だるま式に増えていくことになります。
そこで、早めに子どもなどの後継者に生前贈与することで、贈与者本人の相続財産の増加を抑制できます。
同時に、受贈者は早期から安定した収益源を確保でき、経済的な自立につながるというメリットもあります。
将来の相続税対策と、次世代への収益移転を同時に実現できる有効な方法です。
遺言書だけでは不安で、確実に特定の人へ渡したい場合
遺言書で「長男に自宅を相続させる」と指定しても、他の相続人(例えば次男)には法律で保障された最低限の取り分である「遺留分」を請求する権利があります。
もし遺留分を侵害している場合、次男は長男に対して侵害額に相当する金銭の支払いを求めることができ、これが親族間の争いの火種になることも少なくありません。
一方、生前贈与であれば、生きているうちに所有権を完全に移転させてしまうため、贈与者の「この人に確実に渡したい」という意思をより強力に実現できます。
ただし、相続開始前10年以内に行われた贈与は遺留分計算の対象になる点には留意が必要です。
まとめ
不動産の生前贈与は、特定の相手に財産を確実に引き継がせたり、将来の相続税負担を軽減したりできる有効な手段です。
しかし、贈与税や不動産取得税などのコストが発生し、相続であれば利用できた特例が使えなくなるなどのデメリットも存在します。
手続きも複雑で、専門的な知識が求められる場面が少なくありません。
最適な選択は、個々の財産状況や家族構成、将来の計画によって大きく異なります。
安易な判断は避け、税理士や司法書士といった専門家に相談し、贈与と相続の両面からシミュレーションを行ったうえで、慎重に計画を進めることが重要です。
- そのお困りごと、ハタスに相談してみませんか?
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