2024/10/31
お役立ちコラム

遊休地を有効活用するには?具体的な活用方法や放置するリスクを解説

山間部や海沿いといった、人が少なく生活に不便な土地をお持ちの人はいらっしゃるのではないでしょうか。これらは放置していても、住宅と同様に固定資産税や都市計画税、光熱費などのランニングコストが発生します。また、長い間放置すると、固定資産税が最大6倍になるといったリスクも存在するのです。
本記事では、使われていない土地である「遊休地」の具体的な有効活用方法や、放置するリスクについて解説します。

【目次】
1.遊休地とは?
2.遊休地を活用するメリット
3.遊休地を放置するリスク
4.遊休地の具体的な活用方法
5.遊休地の活用ができない場合はどうする?
6.おわりに

遊休地とは?

放置している土地

遊休地とは、所有者が明確であるにも関わらず、現在は使用されていない・放置されている土地を指します。
かつては住宅や農地、工業地として活用されていても、現在はその土地で生活や生産活動を行っていない土地が対象となります。遊休地と同義として扱われる言葉のなかには、「遊休土地」という言葉が挙げられます。遊休土地は国土交通省によって、下記のように定義されている言葉です。
●一定規模以上の一団の土地であること

市街化区域 都市計画区域 都市計画区域外
規制区域 1,000平方メートル 3,000平方メートル 5,000平方メートル
監視区域 都道府県(指定都市)が規制で定める面積
※ただし、その面積が規制区域欄に示す面積未満である場合は規制区域欄の面積
その他 2,000平方メートル 5,000平方メートル 10,000平方メートル

●取得後2年を経過
●低・未利用な状態
●周辺状況から利用を特に促進する必要性
参考ページ:国土交通省ホームページ「遊休土地制度」
https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/totikensangyo_tk2_000022.html

遊休地の定義

遊休地には明確な定義はありませんが、先述の通り遊休土地は国土交通省によって明確に定義されています。しかし、先述の通り遊休土地は遊休地と同義として取り扱われるため、遊休土地の定義をそのまま使われることが多いです。

遊休地の種類

遊休地には、下記のような種類が含まれています。

宅地

宅地とは、住所や店舗、事務所などの建物を建てられる土地であり、戸建てやマンション、アパート、お店などが含まれます。建てられるものについては地域の条例や都市計画法などによって決められています。

農地

米や穀物などを耕すために利用されていた農地も、先述の条件に則る形で放置されている場合、遊休地となります。宅地や後述する商業用地に変更するためには、管轄となる自治体に許可を得なければなりません。

商業用地

商業用地とは、工場や倉庫、事務所などが建てられている土地を指すもので、住宅が建てられないのが特徴です。商業用地では騒音や大気汚染などの問題が起きやすいため、建物の配置には十分に注意しなければなりません。

遊休地を活用するメリット

遊休地を土地活用するこちらでは、遊休地を活用するメリットをご紹介します。

収益源の確保

遊休地はかつて活用されていたものの、現在なんの用途にも活用されておらず、放置されている土地です。そのような土地にマンションやビジネスビル、店舗などを建て、利用してもらうことで収益を確保できます。
たとえば、マンションを建てて自身がオーナーになり、入居者の賃料を得る手段を「不動産投資」といいます。まとまったお金が欲しい場合は、所有している土地やマンションを売却して売却益を得ることができます。
このように、遊休地を活用することで収益源を確保できる点はメリットといえるでしょう。

不動産価値の向上

遊休地は生産性がない土地であることから、売却時に期待しているような価値が付かないことがあります。
場合によっては不動産として無価値な「負動産」と認識されることで、処分時に費用を支払わなければならないこともあるのです。不動産の価値を高めるためにはリフォームやリノベーション、建て替えなどにより利便性を向上させることが有効です。
多くの人が「利用したい」と思えるような不動産にすることで、金融機関などからの評価を高めることができます。古い建物を取り壊し、新しい建物に建て替えることで、新たな価値を付与できることがあります。

環境への配慮と地域貢献

遊休地を活用することで、土地の所有者だけではなく地域社会に対しての貢献も可能となります。
かつて遊休地だった土地を有効活用することで収益が発生し、同時に税金も発生するため、自治体の収益を向上させられます。また、遊休地を放置しつづけると、景観の悪化や不法投棄をはじめとした、犯罪の温床となってしまう可能性が高いです。有効活用することでこれらを未然に防げるため、地域社会の犯罪を抑制する手段となります。
このように、遊休地を有効活用することで、金銭だけではなく周辺の環境も改善できる点はメリットといえます。

遊休地を放置するリスク

遊休地を放置するリスク一方、遊休地を放置することで、下記のリスクが発生します。

維持費用と管理負担

遊休地といっても不動産に変わりはないため、所有する限りは固定資産税や都市計画税、光熱費などが発生します。
固定資産税については減額措置の対象外となる「管理不全空き家」や「特定空き家」となってしまうと、最大6倍になります。
また、近隣住民の安全性を確保するために、必要となれば大規模な剪定や掃除などを行わなければなりません。自分で行うと多くの時間と労力を要しますが、外注となると多額の費用が発生します。このように、遊休地を放置することで、維持費や管理費といったさまざまな費用を負担しなければならないのです。

近隣トラブルのリスク

遊休地を放置し続けると、草木が生えっぱなしになり、建物が建てられている場合は老朽化により倒壊のリスクがあります。このような状態で近隣住民に被害が及んでしまうと、所有者に責任が問われてしまいます。また、不法投棄の温床になってしまい、元の所有者が分からない場合、その土地のオーナーが処分しなければなりません。
不審者の侵入や犯罪者が住み込んでしまうと、近隣の治安悪化につながるリスクもあります。
このように、遊休地の放置は自信だけではなく、近隣住民に対しても大きな被害を与える要因となるのです。

地価の下落リスク

先述の通り、遊休地を放置し続けると景観の悪化や不法投棄、不法侵入の温床になってしまう可能性があります。このようなトラブルを招く土地は不動産の価値を現す地価が下落してしまい、買い手が付かなくなるのです。買い手が付かない不動産はランニングコストばかりが発生する「負動産」となってしまい、処分時に費用が発生します。
また、新たに有効活用するために、金融機関に融資を依頼しようとしても、地価が下落しているため受けられない可能性もあります。地価の下落を抑えるためにも、継続した管理は不可欠といえるでしょう。

遊休地の具体的な活用方法

遊休地の活用下記は、遊休地の具体的な活用方法になります。

コストを抑えた初期投資型

何かを始める際に、いきなり大きなリスクを抱えるのに抵抗を持つ人は多いと思います。そのような人に対しては、下記のようにコストを抑えた初期投資型がおすすめです。

借地、定期借地

借地とは、土地の借主が土地の上に建物を建てるために、土地を貸し出すことを指します。
借主は土地の上に居住用や事業用の施設を立て、借主に対して賃料を支払います。土地を借地にすると、「借地借家法」という法律が適用されます。借地借家法では、借主を守るための法律ともいえるもので、貸主は借主に対して、正当な理由がない限り中途解約ができません。半永久的に貸主に土地が戻ってこない可能性があるため、一般的には「定期借地契約」を利用することが一般的です。

トランクルーム

トランクルームとは、コンテナや鉄骨造の倉庫などを用意し、そのなかに利用者が荷物を保管するための設備です。いわゆる個人向けの貸倉庫ともいえるもので、遊休地を活用したビジネスのひとつとして近年注目が高まっています。
後述するコインパーキングと比べると初期費用は高くなりがちですが、1室あたりの面積が小さいため、土地を有効活用できます。24時間無人で運営できるため人件費を抑えられるほか、利用者は中~長期的にトランクルームを利用する傾向にあります。
そのため、安定収入につながりやすいメリットがありますが、防犯対策や火災対策などは必要です。

コインパーキング

「使っていない土地の有効活用」と聞くと、コインパーキングを思い浮かべる人は多いのではないでしょうか。住宅地や工業地帯をはじめとした、交通量や人が多い場所の場合、コインパーキングの運用がおすすめです。また、長期間利用される可能性が高い場所の場合、コインパーキングではなく月極駐車場のほうが安定収入を得られます。
舗装せずに砂利道のまま運用するなど、工夫をすれば初期費用を抑えて運用できる点も魅力です。

貸し倉庫

倉庫や工場は頑強さに対して、住宅と比べるとシンプルな構造のため、建設コストが低くなる傾向にあります。「倉庫」と聞くと広い面積が必要に思われがちですが、実は比較的小規模な面積から建設ができるのです。利用者は長期間利用する可能性が高く、毎月安定した賃料・利用料を受け取れるでしょう。
一方、貸倉庫は立地による需要の差が大きいため、交通量や市場のニーズなどの調査が必要です。

簡単に始められる低リスク型

また、遊休地の利用用途のなかには初期費用を抑えられるなど、始めやすい運用方法があります。

貸し農園

貸し農園は田舎、および都市部の遊休地を活用した、経営難易度が低い運用方法のひとつです。
もともと土壌や水路などが整備されている農地だった場所が多いため、初期費用を抑えやすいです。作物を育てたり、定期的に手入れをしたりすることによって、地域貢献や社会貢献の一環としても取り組めます。
一方、貸し農園は面積あたりの利用者が限られているため、倉庫貸しやトランクルームなどよりも収益が低くなる可能性があります。

太陽光発電

太陽光発電は専用のパネルを設置し、太陽の光を電力に変換する、環境にやさしいエネルギーの生成方法です。
アパートやマンション、一軒家の屋根・屋上に設置することがありますが、土地にそのまま設置することもあります。太陽光パネルを設置する際には初期投資が必要ですが、建物を建てるよりもコストは抑えられます。
メンテナンスの観点では、アパートやマンション経営よりも労力がかかりません。

資材置き場

建設業をはじめとする大きな資材を使用する業界では、資材の保管場所が課題となります。遊休地を資材置き場として活用する際、初期費用をほとんどかけずに更地のまま貸し出すことができます。
一方、大きな収益を上げられず、継続した安定収入を得られない可能性については注意が必要です。また、騒音が発生することにより、近隣住民に迷惑をかけてしまう可能性がある点にも注意しましょう。

月極駐車場

先述したコインパーキングの場合、ロック板や生産システムなど、さまざまな設備を用意しなければなりません。
月極駐車場の場合、舗装工事や区画線、看板の設置などは必要ですが、先述した設備は不要です。利用者との契約に基づいて運営するため、手放し・無人で運営することができます。
一方、あまり車を利用しないようなエリアで月極駐車場を運営しても、期待しているような収益は得られないでしょう。

高収益を狙えるビジネスモデル

こちらでは、遊休地を利用して高収益を狙えるビジネスモデルをご紹介します。

福祉施設

近年では少子高齢化が深刻な社会問題として取り上げられており、高齢者向けの施設が多くなりました。
福祉施設経営は遊休地を活用した、高い収益性が期待できる選択肢のひとつです。
収益性については施設の種類や規模、立地などによって異なりますが、利用者は長期契約する傾向にあります。また、福祉施設には専用の設備が必要となることから、高額な初期費用が必要になる点にも注意が必要です。

商業施設

広大な遊休地を所有している場合、商業施設を建設・運営することで、高い収益が期待できます。
郊外の土地であれば、駐車場を完備した大規模な商業施設を建てられるでしょう。賃料についてはマンションやアパートよりも高額な傾向にあり、坪あたりの収益性が高くなります。
一方、大型施設になるほど高額な初期費用・建設費用が必要になり、空室リスクには常に気を付けなければなりません。

賃貸住宅

住宅地や市街地に存在する遊休地の場合、賃貸住宅を建設することで多くの利用者の集客が期待できます。
一言で賃貸住宅といってもその種類はさまざまで、アパートやマンション、戸建て住宅など多岐にわたります。室数が多くなるほど多くの利用者を集められますが、部屋が狭すぎると顧客満足度が下がってしまいます。
また、維持・管理にかかる費用はオーナーが負担しなければならないことが多いため、出費にも注意しなければなりません。

ホテル運営

近年では訪日外国人や、働く場所を選ばない「ノマドワーカー」が多くなりました。時期や土地の需要によっては、受け入れられないほど多くの旅行者が集中することがあります。
人気が高い場所に遊休地を所有している場合、ホテルを建設して運用することで、高い収益を得られるでしょう。ただし、ホテル運営には大規模な投資が必要であり、シーズンや外部要因により需要が変動する点は注意しなければなりません。

遊休地の活用ができない場合はどうする?

遊休地の土地活用方法

金融機関からローンが下りなかったり、用途地域の対象外だったりすると、遊休地を活用できません。
そのような場合は、下記を実践しましょう。
・売却する
・不動産会社に買い取ってもらう
・知人や友人など、希望者に譲渡する
・不動産処分業者に依頼して、費用を支払って処分する
結論として、遊休地を活用できない場合はランニングコストや手間の観点から、手放すことをおすすめします。手放す際には、まずは売却による現金化を優先し、見つからなかった場合は譲渡を考えましょう。
どうしても譲渡先が見つからなかった場合、不動産の処分業者に依頼をして処分をしてもらいます。
処分時には費用を支払わなければなりませんが、以降はランニングコストが発生しないため、実質お得に手放せます。

おわりに

本記事では、利用されていない遊休地について解説しました。
遊休地とは、所有者が明確であるにも関わらず、現在は使用されていない・放置されている土地を指します。有効活用することで、収益源の確保や不動産価値の向上、環境への配慮と地域貢献などが可能となります。
一方、維持費用と管理負担や近隣トラブル、地価の下落といったリスクには注意が必要です。
遊休地をお持ちの方は、まずは収益化が可能なのかを考えてみましょう。

しかし、これまで不動産を活用したことがないという方は、多くいらっしゃるのではないでしょうか。当社ハタス株式会社では、不動産投資や賃貸管理など、土地の有効活用方法を熟知しております。そのため、遊休地を持っているが活用方法が分からない、といった方に対して、最適なアドバイスができると考えています。
愛知県で土地活用や不動産投資などをご検討の方は、当社ハタスにご相談下さい。