田舎の土地活用方法7選|成功させるポイントと具体的な相談先
田舎の土地を有効に活用することは、地域の活性化に繋がり得る重要な取り組みです。田舎の土地を上手く活用できれば、収入を得られるだけでなく、地域経済に新たな息吹を吹き込むことができます。一方で、田舎の土地活用には、地方特有の課題も存在します。
そこで今回は、地方の土地活用の際に直面する可能性のある課題、具体的な活用アイデア、土地活用を成功させるためのポイントを詳しく解説します。
【目次】
1.田舎の土地活用をした方がよい理由
2.田舎の土地活用が難しいといわれる背景
3.田舎の土地活用アイデア7選
4.田舎の土地活用方法を成功させるポイント
5.田舎の土地活用の相談先
田舎の土地活用をした方がよい理由
土地を所有している限り、所有者は固定資産税を支払わなければなりません。土地活用により収入を得ることができれば、固定資産税の支払いにいくらかあてられるため、税負担を軽減できます。
また、田舎の土地活用により、地域へ貢献できるのもメリットです。例えば、新たな事業や施設の誘致により、地域経済の活性化につながるかもしれません。また、適切に管理することで、美しい景観を守れます。
このように、田舎の土地活用は個人の利益だけでなく、地域社会全体にも良い影響を与える可能性があります。経済的利益、社会的貢献、環境保護など、多面的なメリットが期待できるのです。
田舎の土地活用が難しいといわれる背景
メリットの多い田舎の土地活用ですが、地方特有の課題があるのも事実です。田舎の土地活用が難しいといわれる理由として、以下の3点が挙げられます。
●人口や経済活動が少なく需要が低い
●地形・地盤が悪く活用しづらい
●「都市計画法」と「農地法」の制約がある
人口や経済活動が少なく需要が低い
田舎の土地活用が難しい理由の一つに、人口や経済活動の少なさが挙げられます。田舎は都市部と比べ、若年層の流出が進んでいたり、産業の衰退により雇用機会が減少していたりします。
これらの要因により、土地の需要が低くなりがちです。具体的には、不動産価格の低下傾向、賃貸需要の減少、商業施設の集客困難などの影響が出ています。このような状況下では、都市部で成功している土地活用方法をそのまま適用しても、十分な収益を上げられない可能性が高いでしょう。
地形・地盤が悪く活用しづらい
田舎の土地は、都市部と比べて地形や地盤の条件が悪くなりがちです。具体的には、傾斜地や不整形な土地が多かったり、道路付けが悪かったりする傾向にあります。
地形や地盤の悪い土地を活用するときは、平坦な土地を作るための造成工事や、地盤改良工事を行う必要があります。道路付けが悪い場合は、建物自体を建てられないかもしれません。
これらの追加工事や改善は、土地活用の初期投資を増大させ、事業の採算性を悪化させる原因となります。
「都市計画法」と「農地法」の制約がある
「都市計画法」と「農地法」は、田舎における土地活用を計画する際に注意を要する重要な法律です。
都市計画法とは
都市計画法は、都市の健全な発展と秩序ある整備を目的とした法律です。田舎の土地活用を考えるときに注意したいのが「市街化調整区域」です。
市街化調整区域は都市化が進む地域と自然環境が残る地域の中間に位置することが多く、無秩序な開発を防ぐための規制が設けられている区域です。該当区域では、新たな建築や大規模な開発が原則禁止されています。
市街化調整区域かどうかは、地元の都市計画課に問い合わせるか、Webで「市区町村名 + 市街地調整区域」と検索することで調べられます。
農地法とは
農地法とは、農地を守り、適切に利用することを目的とした法律です。農地の減少を防ぐため、地目が「農地」である土地を売却・転用する際には、農業委員会からの許可を得なければなりません。
農業委員会への申請から許可が下りるまでには、2~3ヵ月ほどかかります。そのため、農地を別の方法で活用したい場合には早めに動き始めることが大切です。また、「農業振興地域」に指定されている地域は、原則として農地転用できないため注意しましょう。
田舎の土地活用のアイデア
田舎の土地を効果的に活用するためのアイデアをいくつかご紹介します。
1.賃貸住宅
2.駐車場・コインパーキング
3.倉庫・トランクルーム
4.地域ブランド店舗
5.市民農園
6.太陽光発電
7.土地活用以外の選択肢(売却・寄付)
賃貸住宅
田舎の土地活用のアイデアとして、賃貸住宅の経営が挙げられます。アパートやマンションのような集合住宅のほか、一戸建て住宅を貸し出す手もあります。
賃貸経営は、長期的な安定収入が見込める点がメリットです。一方、人口減少の進む田舎では、地域の賃貸ニーズを調査したり、建築・維持管理費を慎重に検討したりして、需要と供給のバランスを慎重に見極めることが大切です。
賃貸住宅を成功させるための施策として、田舎ならではの魅力を活かした賃貸住宅が考えられます。例えば、自然豊かな環境を生かしたエコ住宅や、農業体験ができる菜園付き住宅などが人気を集めています。
地域の特性を活かした付加価値を提供することで、都市部からの移住者を呼び込む可能性も広がるでしょう。
駐車場・コインパーキング
駐車場やコインパーキングは、田舎の土地活用において有効な選択肢の一つです。特に、観光地や商業施設の近くや駅周辺、住宅密集地で高い需要が見込めます。
駐車場経営は初期投資が比較的少なく、維持管理が容易で24時間営業が可能な点がメリットです。一方で、競合が多く、収益が不安定だったり、景観を損なう可能性があったりするデメリットもあります。
駐車場・コインパーク経営を始める際は、周辺の駐車場の状況や潜在的な利用者数を把握する需要調査や、ほかの駐車場・コインパーキングの料金相場を確認する競合調査をおこなうことが大切です。
倉庫・トランクルーム
田舎の土地を活用する方法として、倉庫やトランクルームの建設・経営が注目されています。倉庫・トランクルームの経営は、維持管理が比較的容易だったり、初期投資を抑えられたりする点がメリットです。一方で、リターンはそれほど大きくありません。
なお、近年のeコマースの発展に伴い、物流倉庫の需要が高まっています。田舎の土地を活用して物流倉庫を建設することで、地域の雇用創出にも貢献できる可能性があります。
地域ブランド店舗
地域ブランド店舗の出店も、田舎の土地活用アイデアの一つです。地域の特産品や伝統工芸品を販売する店舗を設けることで、観光客の誘致や地域の魅力発信に寄与します。これにより、地域の活性化につながります。
具体的な店舗の例としては、以下のようなものが挙げられます。
●アンテナショップ
●道の駅
●伝統工芸品ショップ
●カフェ・レストラン
地域の自然や歴史を活かした観光資源との連携により、さらに魅力的な店舗づくりが可能になります。例えば、農業体験や自然体験ができる施設と併設したり、地域の歴史や文化を紹介する小規模なミュージアムや工房を併設したりすることで、訪問者を効果的に呼び込めるでしょう。
市民農園
市民農園とは、地域住民が小区画の農地を借りて野菜や花を栽培する農園のことです。市民農園は、田舎に「農地」を持つ人の土地活用の選択肢として、非常に魅力的です。
農地を所有している場合、市民農園や貸し農地を始める際の初期投資はほとんど必要ありません。基本的には借り主が農地を管理するため、管理の手間が少ないところもメリットでしょう。また、遊休農地の固定資産税増税を回避できたり、将来の土地転用も比較的容易だったりする点もメリットです。
ただし、収益性は他の土地活用方法に比べて低めで、農地全体の定期的な管理や利用者対応が必要です。さらに、規模や営業形式によっては、地域の農業委員会や自治体への届出が必要である点も覚えておきましょう。
太陽光発電
太陽光発電は、田舎の土地活用の有力な選択肢です。広い面積を確保しやすく、遮蔽物が少ない田舎の土地は、太陽光発電に適しています。また、集客を必要とせず、人口減少の影響を受けにくい点も魅力です。
さらに、固定価格買取制度により、一定期間(10~20年)電気の買取価格が固定されます。これにより、安定した収入を見込むことができます。
一方で、天候依存の発電量であること、初期費用が高額であること、メンテナンスに手間とコストがかかることには留意する必要があるでしょう。
土地活用以外の選択肢
田舎の土地活用が難しいと思ったときは、土地活用以外の選択肢も視野に入れてみましょう。具体的には、売却、寄付、国への返還が考えられます。
売却 | 土地を売却することで、維持管理の負担から解放されるとともに、資金を得ることができます。不動産業者への依頼や個人間売買、オークションなどの方法があります |
寄付 | 土地を公共のために役立てたい場合、寄付という選択肢があります。地方自治体や公益法人、教育機関、NPO法人などが寄付先として考えられます |
国への返還 (相続土地国庫帰属制度) |
2023年4月27日から運用される相続土地国庫帰属制度は、相続した土地を国に引き取ってもらえる制度です。遠方の土地を相続しても有効利用できない場合などに検討する価値があります |
これらの選択肢は、土地の状況や所有者の事情によって適切かどうかが変わります。自身で判断するのが難しいときは、専門家のアドバイスを受けながら慎重に検討しましょう。
田舎の土地活用方法を成功させるポイント
田舎の土地活用を成功させるには、適切な活用方法を選ぶことが肝心です。以下に、土地活用を成功させるためのポイントを紹介します。
地域の特性とニーズに合わせたプロジェクトの選定
田舎の土地活用を成功させるには、その地域の特性とニーズを十分に理解し、適切なプロジェクトを選定することが重要です。地域の人口動態、経済状況、観光資源の有無、インフラの整備状況、地域の課題などを総合的に分析しましょう。
例えば、高齢化が進む地域では介護施設の需要が高く、観光資源が豊富な地域では宿泊施設や体験型観光施設が適しているかもしれません。また、子育て世代が多い地域では、保育施設や教育関連施設のニーズが高いと考えられます。
地域の特性を活かし、ニーズに応えるプロジェクトを選ぶことで、持続可能な土地活用を実現できます。地域の未来を見据えた長期的な視点を持ちつつ、柔軟に対応できるプロジェクトを選定することが成功への鍵となります。
地域住民のニーズや希望を把握
土地活用を成功させるためには、地域住人のニーズや希望を具体的に把握する必要があります。アンケート調査や住民説明会の開催、地域のキーパーソンへのヒアリング、SNSやwebサイトでの意見募集など複数の方法を組み合わせて情報収集すると効果的です。
地域の課題や要望を具体的に聞き取り、活用案に対する直接の意見を収集します。また、地域の歴史や文化的背景も考慮しながら、若い世代の意見も積極的に取り入れることが大切です。
得られた情報を丁寧に分析することで、地域に寄り添った最適な土地活用方法を見出せるようになります。このようなアプローチは、プロジェクトの長期的な成功につながる重要な要素です。
経済的な持続可能性の考慮
田舎の土地活用では、長期的な経済的持続可能性を十分に考慮する必要があります。以下の点に注意しましょう。
初期投資と運営コストの計算 | ・土地の整備費用 ・建築 ・設備投資 ・維持管理費用 |
収益予測の精査 | ・地域の需要と市場調査 ・類似事例の収益性分析 ・経営悪化を想定した収支計画 |
資金調達方法の検討 | ・自己資金の活用 ・金融機関からの借入 ・補助金や助成金の活用可能性 |
リスク管理 | ・需要変動への対応策 ・災害リスクへの備え ・法規制の変更に対する対応 |
これらの要素を総合的に評価し、プロジェクトの採算性と持続可能性を慎重に判断することが重要です。また、定期的な見直しと柔軟な対応も必要となります。経済的に持続可能な土地活用は、長期的な価値を生み出す可能性があります。
法律や規制に対する遵守
田舎の土地活用を行う際には、関連する法律や規制を遵守することが不可欠です。例えば、都市計画法や農地法のほか、建築基準法、宅地建物取引業法、借地借家法などがあります。また、地域によっては独自の条例や規制が設けられていることもあります。
これらの法律や規制を無視すると、後々大きな問題に発展したり、損をしたりする恐れがあります。土地活用を検討する際には、不動産会社や税理士などの専門家へ相談・確認することが大切です。
田舎の土地活用の相談先
田舎の土地活用を検討する際は、専門家への相談が成功への近道です。まず、不動産会社に相談し、土地の状況や活用可能性を評価してもらいましょう。大手不動産会社、総合ハウスメーカー、地域密着型の工務店など、目的に応じて適切な相談先を選びます。
資金面については、ファイナンシャル・プランナーや金融機関、税理士に相談し、資金計画や税務面でのアドバイスを得ましょう。法的な問題は、弁護士や司法書士に相談するのが賢明です。
さらに、具体的な活用方法に応じて、各分野の専門家にアドバイスを求めると効果的です。
<相談先の例>
賃貸経営 | ハウスメーカー、工務店、建設会社 |
駐車場・コインパーキング経営 | 不動産会社 |
店舗・テナント | 工務店やハウスメーカー、建設会社 |
太陽光発電・トランクルーム | 不動産会社、専門業者 |
市民農園 | 地方公共団体、農業協同組合 |
今回のまとめ
田舎の土地活用は適切なアプローチと計画をもって行うことで、多大なポテンシャルを引き出せます。重要なのは地域の特性を理解し、地域住民と密接に協力しながら法的制約を遵守することです。
愛知県で土地活用をお考えの方は、ぜひHATASにご相談ください。特に、西三河エリア、尾張エリア、東三河エリアでは豊富な実績があります。
新たに土地活用をしようと考えている方はもちろん、「すでに土地活用をしているが、なかなか成果が出ない…」とお悩みの方もぜひお問い合わせください。建物の建て替えやリノベーションなど、収益を上げる提案も積極的に行っています。
費用対効果が高い活用方法をシミュレーションしてお伝えすることも可能ですので、具体的な活用方法が決まっていない方もどうぞご安心ください。お客様の土地の有効活用をお手伝いできれば幸いです。