その土地、10年後に“負債”になります|動かない地主が見落とす3つの損失

その土地、10年後に“負債”になります|動かない地主が見落とす3つの損失
土地を持っているだけで、資産が増え続ける時代ではなくなりました。
特に地方では、「とりあえず置いておく」が最も危険な選択になるケースが増えています。
固定資産税を払い続け、空き家は老朽化し、相続では家族の負担になる。しかも、人口減少によって“売れない土地”も珍しくありません。最近では「不動産」ではなく、“負動産”という言葉を耳にする機会も増えました。
もちろん、すべての土地活用が正解ではありません。無理にアパートを建てれば良いわけでもない。
しかし、何もしないまま時間だけが過ぎると、資産価値だけでなく、選択肢そのものが減っていきます。
この記事では、地主が見落としがちな「3つの損失」を整理しながら、なぜ今のうちに動く必要があるのかを解説します。
土地を放置するほど、固定費は静かに積み上がる
土地は所有しているだけで維持費がかかります。
収益を生まない状態でも、税金や管理コストは止まりません。
特に地方では、「親から引き継いだ土地をそのまま保有している」というケースが多く、気づかないうちに“持っているだけで赤字”になっていることがあります。
ここでは、放置によって発生する代表的なコストを整理します。
固定資産税は使っていなくても発生する
当然ですが、土地は使っていなくても固定資産税がかかります。
しかも、収益化されていない土地は、税金の支払い原資がありません。
毎年の負担額は小さく見えても、10年単位で考えると大きな差になります。
例えば年間20万円の固定資産税でも、10年で200万円。
さらに草刈り、修繕、境界管理などを含めれば、実際の支出はもっと増えます。
「今すぐ困っていないから」という理由で放置されるケースは多いですが、実際には、少しずつ資産が削られている状態です。
空き家は“維持費”が重くなる
空き家は、人が住まなくなると一気に劣化します。
換気不足による湿気、雨漏り、小動物被害、雑草の繁殖。誰も住んでいない家ほど傷みやすいのは、現場でもよく知られています。
さらに、空き家は管理コストもかかります。
・草刈り
・郵便物確認
・通水
・防犯対策
・清掃
・修繕
これらを放置すると、近隣クレームにつながることも珍しくありません。
国土交通省も、空き家の放置による防災・防犯・衛生リスクについて注意喚起しています。 (国土交通省)
「解体するか、そのままか」で悩み続ける
古い家ほど、「壊した方がいいのは分かるが、固定資産税が上がるから解体できない」という状況に陥ります。
実際、住宅が建っている土地には固定資産税の軽減措置があります。
そのため、老朽化した空き家でも残され続けるケースが多いです。
ただし近年は、管理不全空き家への対応強化が進んでいます。
適切に管理されていない空き家は、税制上の優遇措置が外れる可能性も出ています。 (国土交通省)
つまり、「壊さない方が得」とは言い切れない時代になっています。
“持っているだけ”が一番コスト効率が悪い
地主の中には、「土地があるだけマシ」という感覚を持つ人もいます。
もちろん、それ自体は間違いではありません。
しかし、問題は“活かせていない土地”です。
・収益を生まない。
・売却もしない。
・活用もしない。
この状態が続くと、土地は資産ではなく、固定費発生装置になります。
特に人口減少エリアでは、時間が経つほど需要が下がる可能性が高い。
つまり、「あとで考える」が通用しにくくなっているのです。
相続時、“資産”ではなく“揉める原因”になる
地主にとって、本当に大きな問題は相続です。土地は現金と違い、きれいに分けられません。
しかも、収益を生まない土地ほど、相続人から敬遠されやすい傾向があります。
「誰が管理するのか」
「固定資産税は誰が払うのか」
「売るのか残すのか」
こうした話し合いがまとまらず、家族関係が悪化するケースも少なくありません。
“誰も住まない実家”が増えている
少子高齢化により、相続後に空き家になる住宅が急増しています。
子ども世代は都市部で生活しており、地元に戻る予定がない。
そのため、実家を相続しても「使い道がない」という状況が起きています。
実際、全国の空き家数は増加傾向にあり、2023年時点では約900万戸に達しています。
つまり、「相続すれば何とかなる」という時代ではなくなっているのです。
分けにくい土地はトラブルになりやすい
土地は現金のように均等分割しにくい資産です。
例えば、
・長男が土地を相続
・他の兄弟には現金がない
・売却意見が割れる
こうした状況になると、一気に話がこじれます。
特に収益性の低い土地ほど、「欲しくないけど、放棄もできない」という状態になりやすい。
結果として、相続後に放置され、さらに価値が下がる悪循環に入ります。
相続登記義務化で“放置”しづらくなった
2024年から相続登記が義務化されました。 (国土交通省)
以前のように、「とりあえずそのまま」は通用しにくくなっています。
これは、所有者不明土地問題への対策の一環ですが、地主側からすると、“対応を後回しにできない時代”になったとも言えます。
相続人が複数いる場合、手続きが複雑になるケースもあります。
だからこそ、元気なうちに方向性を決めておく重要性が増しています。
“負動産”になる前に整理する発想が必要
最近では、地方不動産を「負動産」と呼ぶケースも増えました。
・売れない
・貸せない
・維持費がかかる
こうなると、相続人にとっては資産ではなく負担です。
実際、インターネット上でも「住む予定のない土地を相続したくない」という声は少なくありません。
もちろん、すべての土地がそうなるわけではありません。
しかし、“今後も需要がある土地なのか”を見極める視点は必要です。
地方でも“埋まる物件”と“空室になる物件”の差は広がっている
「地方は人口減少だからアパート経営は危険」という意見もあります。
確かに、立地を無視した土地活用はリスクがあります。
ただ一方で、地方でも安定稼働している物件は存在します。
問題は、“建てるかどうか”ではなく、“何を、どう建てるか”です。
今は、どんな物件でも埋まる時代ではありません。
供給過多のエリアでは「普通の物件」が弱い
以前は、「新築なら入る」という時代もありました。
しかし現在は、似たような間取り、似たような外観の物件が大量にあります。
その結果、比較される時代になりました。
・デザイン
・駐車場計画
・導線
・収納
・設備
・共用部
こうした細かい差が、入居率に直結します。
特に地方は車社会のため、駐車場設計が悪いだけで敬遠されるケースもあります。
“家賃を下げるしかない物件”は厳しい
競争力が弱い物件は、最終的に家賃勝負になります。
しかし、家賃を下げ続ける運営には限界があります。
・修繕費は上がる
・税金は下がらない
・空室リスクは増える
つまり、「安く貸せばいい」は長期的に成立しません。
むしろ最近は、“多少高くても選ばれる物件”の方が強い傾向があります。
入居者視点で設計された物件は強い
長期的に稼働する物件は、地主目線ではなく、入居者目線で作られています。例えば、
・日当たり
・収納量
・駐車しやすさ
・宅配ボックス
・防音
・外観デザイン
こうした要素が積み重なることで、「ここに住みたい」という気持ちが生まれます。
逆に、利回り計算だけで設計された物件は、数年後に競争力を失うケースが少なくありません。
“建てること”ではなく“残ること”が重要
土地活用で重要なのは、建築時の収支だけではありません。
10年後、20年後も競争力があるか。ここが本質です。
短期的な建築コストだけで判断すると、将来的に空室率や修繕費で苦しむ可能性があります。
だからこそ、今の地主に必要なのは、
・建てるか
・建てないか
ではなく、
・どう残る物件を作るか
という視点です。
「まだ大丈夫」が、一番危険なタイミング
地主の相談で多いのが、「今すぐ困っていないから様子を見る」という判断です。
もちろん、焦って動く必要はありません。
ただ、不動産は“問題が表面化してから”だと選択肢が減ります。
空き家が老朽化してから。
相続発生後。
入居率が落ちてから。
この段階になると、対応コストは一気に上がります。
土地活用は“早い人ほど選択肢が多い”
余裕がある段階なら、
・売却
・建替え
・賃貸活用
・等価交換
・駐車場化
など、複数の選択肢を比較できます。しかし、老朽化が進むと、
・解体費が増える
・買い手が減る
・融資条件が悪化する
といった問題が出てきます。つまり、動けるうちに動いた人の方が、有利に判断しやすいのです。
“相談だけ”でも早い方がいい
土地活用というと、「建てる前提」のイメージを持つ人もいます。ですが、本来は違います。
まず必要なのは、
・その土地に需要があるか
・何が適しているか
・そもそも活用すべきか
を整理することです。実際、相談した結果、「今は動かない方がいい」という結論になるケースもあります。重要なのは、“知らないまま放置しない”ことです。
地主の悩みは、昔より複雑になっている
以前は、「土地を持っていれば安心」という時代でした。しかし現在は、
・人口減少
・空き家問題
・相続問題
・建築費高騰
・金利変動
など、考えるべき要素が増えています。そのため、“昔の成功体験”だけでは判断しにくくなっています。
今必要なのは、“資産を守る視点”
土地活用というと、「儲ける話」だと思われがちです。しかし、これからの時代は少し違います。むしろ重要なのは、
・資産価値を維持する
・相続トラブルを防ぐ
・将来の負担を減らす
という視点です。その結果として、安定した収益につながる。
この順番で考えた方が、長期的には失敗しにくいでしょう。
まとめ|土地は、放置しても解決しない
土地を持っているだけで価値が上がり続けた時代は終わりつつあります。これからは、
・どう活かすか
・どう残すか
・誰に引き継ぐか
まで含めて考える必要があります。特に、空き家や低利用地は、時間が経つほど選択肢が減る傾向があります。
もちろん、すぐに建築する必要はありません。ただ、“何もしないまま10年過ぎる”ことが最も危険です。まずは、
・その土地に需要があるのか
・将来どんなリスクがあるのか
・相続時にどうなるのか
を整理するところから始めてみてください。
動く地主と、動かない地主。
10年後、その差は想像以上に大きくなります。
参考情報:
国土交通省では、空き家対策や管理不全空家への対応強化を進めています。 (国土交通省)
空き家と相続 空き家を相続することになったら?放置するリスクや税金など知っておくべき情報まとめ
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