2026/04/29
お役立ちコラム

相続税が払えない!不動産を売らずに済む延納・物納などの対処法

相続税が払えない!不動産を売らずに済む延納・物納などの対処法

不動産を多く所有していると、資産価値が高く評価される一方で手元の現金が少なく、期限までに相続税が払えない場合があります。
先祖代々の土地や建物を安易に手放す事態を避けるため、事前の資金計画や適切な手続きを知っておく必要があります。国が用意している延納や物納といった制度のほか、金融機関からの借り入れなど、不動産を売却せずに済む具体的な対策を整理します。

不動産オーナーが相続税を払えなくなる2つの主な理由

不動産オーナーの相続において、多額の現金を用意できず相続税が払えない場合は珍しくありません。
資産構成の偏りや、親族間での遺産分割手続きの停滞が主な要因として挙げられます。現金の不足による納税困難な状況が発生する背景と、そのメカニズムを解説します。

資産の大半が不動産で手元に現金がないため

地主や家主の資産構成を見ると、土地や家などの不動産が全体の8割以上を占め、現金や預貯金の割合が極端に低いケースが少なくありません。
相続税は原則として現金一括納付が求められますが、不動産の評価額に基づいて高額な税額が計算されるため、手元の資金だけでは納税額に満たない事態が生じます。換金性の低い資産ばかりを引き継いだ結果、高額な税金の支払い資金を期日までに工面できなくなるという、不動産オーナー特有の構造的な問題が潜んでいます。

遺産分割協議が難航し預金を引き出せないため

故人が十分な預貯金を残していたとしても、遺産分割協議がまとまらないと金融機関の口座が凍結された状態が続きます。
相続人全員の同意が得られなければ、口座から現金を自由に引き出すことができず、結果として期限までに相続税が払えない場合が生じるケースがあります。
特に不動産という分割しにくい資産が含まれていると、誰がどの財産を引き継ぐかの調整に時間がかかりやすい傾向を持ちます。預貯金という流動性の高い資産が目の前にあっても、法的な制約によって納税資金に充てられない状態に陥ります。

【不動産を売却せずに済む】相続税の支払い負担を軽減する国の救済制度

現金一括による納付が困難な状況を救済するため、国は例外的な納付方法を認めています。
先祖代々受け継いできた土地や建物を維持しながら納税義務を果たすための重要な対策となります。
一定の要件を満たすことで利用できる2つの公的な制度について確認します。

延納|最大20年かけて分割で支払う方法

延納は、現金による一括納付が困難な金額を限度として、分割払いを認める制度です。
不動産が占める割合によって最長20年の分割期間が設定され、手元に現金がないオーナーにとって現実的な対策となります。
利用するには、申告期限までに申請書を提出し、税務署長の許可を受ける必要があります。また、担保の提供が求められるほか、分割期間中は利子税という利息相当額の負担が追加される点に留意しなければなりません。
資金繰りの計画を長期的な視点で立てたうえでの申請が求められます。

物納|現金化が難しい不動産をそのまま国に納める方法

延納によってもなお金銭で納付することが難しい場合、相続した不動産などの財産そのものを国に納める物納が認められます。
現金化の手間や譲渡所得税の負担を回避しつつ納税を完了させる有効な対策です。ただし、どんな不動産でも物納できるわけではなく、境界が確定していない土地や抵当権が設定されている物件など、管理や処分に支障がある「管理不適格財産」は除外されます。
また、国が引き取る際の価値は相続税評価額に基づくため、実際の市場価格よりも低く見積もられる傾向にあります。

延納・物納が難しい場合の相続税の支払い対処法

延納の許可が下りない、あるいは物納の要件を満たす不動産がないという状況も想定されます。
国が用意した救済制度を利用できない場合でも、期限内の納税に向けた資金繰りの選択肢は存在します。
外部からの資金調達や資産の運用見直しによる解決策を検討します。
国の救済制度について話し合っている

金融機関から「相続税納税ローン」で資金を借り入れる

銀行などの金融機関が提供している相続税の支払いに特化したローンを利用する方法があります。
所有している不動産を担保にして融資を受けることで、現金一括納付の資金を確保する有効な対策の一つです。
国の延納制度と比較すると、担保物件の条件が柔軟であったり、手続きが迅速に進んだりする利点があります。借入後は金融機関に対する返済が始まりますが、アパートやマンションなどの収益物件を維持できれば、そこから得られる家賃収入を毎月の返済原資に充てることが可能です。

相続した不動産の一部を売却して納税資金を確保する

すべての資産を維持することが困難であれば、一部の不動産を売却して現金化するという選択も現実的です。
自宅の家や高収益の賃貸物件は手元に残し、駐車場や空き地などの利用価値が比較的低い土地を優先して手放すことで、納税資金を生み出せます。
相続税の申告期限から3年以内に売却した場合、「取得費加算の特例」が適用され、支払った相続税の一部を不動産の取得費に上乗せして譲渡所得税を軽減できます。売却には時間がかかるため、早期に査定や買い手探しを始める行動が求められます。

賃貸物件の家賃収入や未利用地活用で納税資金を生み出す

納税のための資金繰りを、所有物件からのキャッシュフローでまかなうアプローチも考えられます。
既存の賃貸マンションやアパートの稼働率を改善し、毎月の家賃収入を最大化することで、金融機関からの借入金の返済能力を高めることができます。
また、更地などの未利用地に初期投資の少ないコインパーキングやトランクルームを整備して新たな収益源を作る方法もあります。短期間でまとまった現金を確保するのは難しいものの、中長期的な資金繰りの安定化に寄与する堅実な手法です。

相続税の納付期限(10ヶ月)を過ぎるとどうなる?

相続税の申告および納付期限は、被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10ヶ月以内と定められています。
この期限までに相続税が払えない場合は、税務署から各種のペナルティが課され、経済的な負担がさらに増大します。
どのような法的措置や追加徴税が発生するのかを確認します。

ペナルティとして課される「延滞税」や「無申告加算税」

納付期限を一日でも過ぎて相続税が払えない場合、本来の税額に対して「延滞税」が日割りで発生します。
延滞税の税率は納付期限からの経過日数に応じて高くなるため、放置するほど雪だるま式に支払い額が膨れ上がります。さらに、期限内に申告自体を行わなかったケースでは「無申告加算税」が課されます。
意図的に財産を隠すなどの悪質な行為とみなされた場合は、さらに重い「重加算税」の対象となり、当初の納税額を大幅に上回る負担を強いられる事態に陥ります。

最悪の場合、財産が差し押さえられるリスク

期限を過ぎても相続税が払えない場合、税務署から督促状が送付されます。
督促状が発送されてから10日を経過しても完納されないと、国税徴収法に基づき滞納者の財産調査が開始されます。
そして最終的には、預貯金や給与、さらには所有している不動産などの財産が差し押さえられるという厳しい措置が取られます。差し押さえられた不動産は公売にかけられ、市場価格よりも著しく低い金額で強制的に売却されて未納税金に充当されるため、大きな経済的損失を被ることになります。

遺産分割が進まない場合の納税資金の作り方

相続人間での話し合いが長引き、期限内に誰がどの財産を取得するか決まらない「未分割」の状態でも、納税の義務は待ってくれません。
未分割のまま各相続人が法定相続分に応じて一旦納税するための資金を確保する対策を紹介します。

「預貯金の仮払い制度」で故人の預金から一部を引き出す

遺産分割協議が成立する前であっても、各相続人が単独で故人の口座から一定額の預貯金を引き出せる「預貯金の仮払い制度」が設けられています。
引き出し限度額は、一つの金融機関につき「死亡時の預貯金残高×法定相続分×1/3」または150万円のいずれか低い金額と定められています。複数の銀行に口座があれば、それぞれから資金を引き出すことが可能です。
この制度を活用することで、一時的な納税資金や葬儀費用などを確保し、手元の現金不足を補う対策として機能します。

相続税が払えない場合の対処法に関するよくある質問

不動産オーナーやその親族から多く寄せられる疑問をまとめました。
相続税が払えない場合に直面する法的制約や、選択すべき制度の判断基準について回答します。
税金を支払っている女性

相続税を払わずに放置すると、最終的にどうなりますか?

結論として、最終的には財産が差し押さえられ公売にかけられます。
相続税が払えない場合は延滞税が日々加算され続け、税務署からの督促を無視すると預貯金や不動産が強制的に処分されて未納税金に充てられます。

「延納」と銀行の「納税ローン」はどちらを利用すべきですか?

結論から言うと、金利の低さと審査スピードのどちらを重視するかで決定します。
金利負担を抑えたい場合は国の延納が有利ですが、手続きの迅速さや担保の柔軟性を求めるなら銀行の納税ローンが有効な対策となります。

相続税を払いたくない場合、相続放棄は有効な手段ですか?

結論として、相続税の支払い義務は消滅し無税になりますが、すべての財産を手放すことになります。
マイナス財産が多い場合には有効ですが、先祖代々の土地や価値ある不動産も引き継げなくなる点に注意が必要です。

まとめ

資産の多くを不動産が占める状況において、高額な現金を用意することは容易ではありません。
相続税が払えない場合は、国の延納や物納制度、金融機関のローンの活用など、早期に具体的な対策を講じることが急務となります。期限切れによるペナルティや財産の差し押さえを防ぐためにも、現状の資産価値と必要な納税額を正確に把握し、無理のない資金計画を立てて行動に移す必要があります。

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