2026/04/23
お役立ちコラム

空き家の固定資産税が6倍になる条件とは?いつから上がるか・回避策を解説

空き家の固定資産税が6倍になる条件とは?いつから上がるか・回避策を解説

空き家の固定資産税は、自治体から「管理不全空家」または「特定空家」として指定され、「勧告」を受けると、その翌年度から最大6倍に上がります。この税金の増額は、住宅用地の特例措置が解除されることで発生します。
固定資産税が上がる条件は、建物の倒壊リスクや衛生環境の悪化などであり、増税を回避するためには、適切な管理や売却、活用といった対策を早めに検討することが重要です。

空き家の固定資産税が最大6倍に跳ね上がる仕組み

空き家の固定資産税が最大6倍になるのは、新たな税金が課されるのではなく、本来適用されていた税金の軽減措置が解除されるためです。
なぜこのように税額が跳ね上がるのか、その仕組みは「住宅用地の特例」という制度が関係しています。この特例が適用されなくなることで、本来の税額を支払う必要が生じ、結果として増税という形になります。空き家の状態が悪化し、行政から特定の指定を受けることが、この6倍増税の引き金となります。

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あなたの空き家は大丈夫?固定資産税が上がる空き家の基準

所有する空き家が特定の基準に該当すると、固定資産税が上がる可能性があります。
2023年の法改正により、その対象が拡大されたため、より一層の注意が必要です。
空き家の固定資産税が上がる主な基準は「特定空家」と、新たに追加された「管理不全空家」の2つです。これらの基準は、建物の物理的な状態だけでなく、周辺環境への影響も考慮して判断されるため、所有者は自身の物件の状態を正確に把握しておくことが求められます。

固定資産税の上昇はいつから?指定から勧告までの行政手続きの流れ

空き家の固定資産税が増額されるまでには、行政による段階的な手続きが存在します。
所有者に対しては、いきなり税金が上がるのではなく、状況を改善するための機会が与えられます。
このプロセスは、まず現地調査から始まり、問題が確認されると「助言・指導」、それでも改善されない場合に「勧告」へと進みます。この行政手続きの流れを理解することで、どの段階で対応すべきか、また、いつまでに対応が必要かを把握できます。

本来は「住宅用地の特例」で固定資産税が減額されている

住宅やアパートなど、人が住むための建物が建っている土地(宅地)には、「住宅用地の特例」が適用され、固定資産税が大幅に減額されます。具体的には、敷地面積200㎡以下の部分(小規模住宅用地)については課税標準額が6分の1に、200㎡を超える部分(一般住宅用地)については3分の1に軽減されます。
空き家であっても、建物が存在する限りはこの特例の対象となるため、更地と比較して税負担が軽い状態が維持されています。

「特定空家」や「管理不全空家」の指定で減税特例が解除される

長年放置され、倒壊の危険や衛生上の問題がある空き家は、行政によって「特定空家」に認定されることがあります。
さらに2023年12月に施行された改正空家等対策特別措置法により、特定空家になる手前の段階である「管理不全空家」という区分が新設されました。これらのいずれかに指定され、自治体からの改善勧告を受けると、住宅用地の特例措置の対象から除外されます。
その結果、土地の固定資産税の減額が適用されなくなり、税額が実質的に最大6倍に増加します。

【シミュレーション】固定資産税は実際にいくら高くなるのか

例えば、土地(200㎡以下)の課税評価額が1,800万円、建物の課税評価額が600万円の空き家があるとします。
通常は住宅用地の特例により、土地の固定資産税は1,800万円×1/6×1.4%=4.2万円です。
しかし、勧告を受けると特例が解除され、1,800万円×1.4%=25.2万円となり、6倍に跳ね上がります。

建物の固定資産税600万円×1.4%=8.4万円と合わせると、年間の合計税額は8.4万円+25.2万円で33.6万円となり、特例適用時(12.6万円)の約2.7倍になります。

倒壊などの危険性が高い「特定空家」

「特定空家」とは、放置することが不適切であると判断された空き家のことです。
具体的には、そのまま放置すれば倒壊など著しく保安上危険となるおそれのある状態や、著しく衛生上有害となるおそれのある状態、適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態などが挙げられます。
また、周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態も含まれ、これらのいずれかに該当すると自治体によって認定されます。

放置すれば特定空家になる恐れがある「管理不全空家」【2023年法改正】

2023年12月の空家等対策特別措置法の改正で新たに導入されたのが「管理不全空家」です。
これは、放置すれば将来的に「特定空家」になるおそれがある空き家を指します。例えば、窓ガラスが割れていたり、雑草が繁茂していたりするなど、管理が不十分な状態がこれに該当します。
この段階で自治体から指導を受け、改善が見られない場合は勧告の対象となり、特定空家と同様に固定資産税の減税特例が解除されることになりました。

ステップ1:状況改善を求める「助言・指導」

自治体は、管理が不十分な空き家を発見すると、まず所有者に対して状況を改善するよう「助言」や「指導」を行います。
この段階は、行政からの注意喚起であり、法的な強制力はありません。
しかし、この時点で適切に対応することが非常に重要です。例えば、庭の草刈りや軽微な修繕など、具体的な改善策が示されることが一般的です。この指導に従い、問題を解消すれば、それ以降の手続きに進むことはありません。

ステップ2:減税特例が解除される「勧告」

助言や指導に従わず、空き家の状態が改善されない場合、自治体は次のステップとして「勧告」を行います。
この勧告が出されると、住宅用地の特例から除外されることが決定します。
つまり、固定資産税の減額措置が受けられなくなるということです。勧告は、助言・指導よりも重い行政措置であり、税負担の増加が目前に迫っていることを示す最終警告と位置づけられています。この段階に至る前に対応することが、経済的負担を避ける上で不可欠です。

ステップ3:罰則や強制解体につながる「命令・代執行」

勧告を受けてもなお状況が改善されない場合、自治体は所有者に対して改善を「命令」します。
この命令は法的拘束力を持ち、違反した場合は50万円以下の過料が科される可能性があります。さらに、命令にも従わないでいると、最終手段として行政が所有者に代わって建物の解体などを行う「行政代執行」が行われることがあります。その際にかかった費用は、すべて所有者に請求されるため、金銭的な負担は非常に大きくなります。

税額が上がるタイミングは「勧告」を受けた翌年度から

固定資産税の額が実際に変更されるのは、自治体から「勧告」を受けた日の属する年の、翌年度からです。
固定資産税は毎年1月1日時点の土地や建物の状況に基づいて課税額が決定します。
したがって、例えば2024年の8月に勧告を受けた場合、2025年1月1日時点では特例が解除された状態となるため、2025年度から固定資産税が増額されることになります。勧告を受けたからといって、すぐに税額が上がるわけではありません。

固定資産税の増税を回避するための具体的な3つの方法

空き家の固定資産税増税に対する回避策は、大きく分けて3つ考えられます。
所有している空き家の状況や立地、そして自身の意向に合わせて最適な方法を選択することが重要です。具体的には、物件を維持管理して増税の対象とならないようにする方法、売却して所有者としての責任を手放す方法、そして物件を有効活用して収益を生み出す方法があります。それぞれの方法にはメリットとデメリットがあるため、総合的に判断する必要があります。

方法①:定期的な清掃や修繕で適切に管理する

最も基本的な回避策は、空き家を適切に管理し、「管理不全空家」や「特定空家」に指定されないようにすることです。
具体的には、定期的に訪れて窓を開けて換気を行い、庭の雑草を刈り、建物の劣化が進まないよう必要な修繕を施します。遠方に住んでいるなど、自身での管理が難しい場合は、月額数千円から1万円程度で利用できる空き家管理サービスに委託する方法もあります。
これにより、資産価値の維持にもつながります。

方法③:賃貸や駐車場経営などで収益化を図る

立地条件が良い空き家であれば、賃貸物件として貸し出したり、建物を解体して駐車場やコインランドリーとして活用したりすることで、収益化を図る方法もあります。
リフォームや解体には初期費用がかかりますが、固定資産税を上回る収益が期待できる場合もあります。また、人が住んだり利用したりすることで建物の劣化を防ぎ、管理の手間も省けるメリットがあります。ただし、事業として成立するかどうか、事前の十分な市場調査が必要です。

空き家を解体して更地にする際の注意点

空き家の管理に手間がかかる場合や、売却を有利に進めるために建物を解体して更地にすることが検討される場合があります。
空き家を更地にすることで、土地の活用方法が広がるなどのメリットがある一方で、税金面や費用面で考慮すべき重要な注意点が存在します。これらの点を理解しないまま解体を進めてしまうと、かえって経済的な負担が増加する可能性があるため、慎重な判断が求められます。事前に専門家へ相談することも有効です。

更地にすると住宅用地の特例が適用されなくなる

空き家を解体して更地にすると、その土地は住宅用地とは見なされなくなり、「住宅用地の特例」の適用対象から外れます。
その結果、土地の固定資産税の減額措置がなくなり、税額が最大で6倍に上がることがあります。
これは、「特定空家」に指定されて特例が解除されるのと同じ状況です。そのため、解体後の土地活用や売却の計画が明確に決まっていない段階で安易に解体すると、税負担だけが増加するリスクがあるため注意が必要です。

建物の解体には高額な費用がかかる場合がある

建物の解体には、決して安くない費用が発生します。
一般的な木造住宅の場合でも、100万円から300万円程度の解体費用がかかることがあり、建物の構造や規模、立地条件によってはさらに高額になることもあります。また、解体費用のほかに、廃材の処分費用や、必要であればアスベストの調査・除去費用なども別途発生する可能性があります。自治体によっては解体費用に対する補助金制度を設けている場合もあるため、事前に確認することが望ましいです。

固定資産税だけじゃない!空き家を放置し続ける危険性

空き家を放置するリスクは、固定資産税の増額だけに留まりません。
税金の問題以上に、社会的な責任や経済的な損失を伴う様々な危険性が存在します。倒壊や火災による近隣への被害、犯罪の温床となるリスク、そして資産価値そのものの下落など、所有者が直面する可能性のある問題は多岐にわたります。
これらの危険性を認識し、問題が深刻化する前に適切な対策を講じることが、所有者の責任として求められます。

空き家の固定資産税増税に対する回避策を考える

倒壊や火災で近隣に損害を与えた場合の賠償責任

老朽化した空き家が台風や地震で倒壊したり、放火や漏電によって火災が発生したりして、隣家や通行人に被害を与えてしまった場合、その損害賠償責任は所有者が負うことになります。
民法第717条の土地工作物責任に基づき、建物の管理に不備があったと判断されれば、多額の賠償金を請求される可能性があります。たとえ火災保険に加入していても、建物の管理不備が原因とされれば保険金が支払われないケースもあるため、注意が必要です。

不法投棄や犯罪の温床になるリスク

人の出入りがない管理されていない空き家は、不法投棄のターゲットになりやすい傾向があります。
粗大ゴミや生活ゴミを捨てられると、景観を損なうだけでなく、悪臭や害虫発生の原因にもなります。
さらに、不審者の侵入や非行のたまり場になるなど、犯罪の温床となるリスクも高まります。こうした事態は近隣住民とのトラブルに発展しやすく、地域の治安悪化を招く一因ともなりかねません。

資産価値が年々下落していく

建物は適切な管理が行われないと、急速に劣化が進みます。
雨漏りやシロアリの被害などによって構造材が傷むと、修繕が困難になり、資産価値は著しく低下します。
また、空き家であるというだけで市場での評価は下がり、買い手が見つかりにくくなる傾向があります。いざ売却しようと考えたときには、ほとんど価値がなくなっているという事態も起こり得ます。
定期的な管理は、資産価値を維持するためにも不可欠です。

空き家の固定資産税に関するよくある質問

空き家の固定資産税については、制度が複雑で分かりにくい点も多く、様々な疑問が寄せられます。
特に、相続で突然所有者になった場合や、管理を外部に委託する場合の費用、行政からの通知を放置した場合の結末など、具体的なケースに関する質問が目立ちます。ここでは、そうした空き家の固定資産税に関するよくある質問について、簡潔に回答します。

相続したばかりの空き家もすぐに固定資産税が上がりますか?

いいえ、相続後すぐに税額が上がることはありません。
固定資産税の増額は、自治体による助言・指導、勧告という段階的な手続きを経て行われます。そのため、相続をきっかけに、空き家の状況を確認し、適切な管理や活用、売却の計画を立てる時間的な猶予があります。

空き家管理サービスの費用相場はどのくらいですか?

外部委託する場合、月額5,000円から1万円程度が相場です。
基本的なサービス内容は、月1回程度の巡回、建物の外観確認、庭の状態確認、ポストの整理、報告書の作成などが含まれます。
オプションで室内換気や通水、清掃などを追加することも可能です。

自治体からの「指導」や「勧告」を無視し続けたらどうなりますか?

最終的に行政代執行により、建物が強制的に解体され、その費用全額を請求される可能性があります。
また、改善命令に違反した場合は50万円以下の過料が科されることもあります。
税金の増額だけでなく、より大きな金銭的負担を負うことになるため、必ず対応してください。

まとめ

空き家の固定資産税は、「特定空家」や「管理不全空家」に指定され、自治体から「勧告」を受けることで、住宅用地の特例が解除され最大6倍に増加します。
この増税は勧告を受けた翌年度から適用されます。これを回避するためには、定期的な清掃や修繕による適切な管理、売却による所有権の放棄、あるいは賃貸や駐車場経営といった収益化が有効な対策となります。
また、空き家を放置すると、損害賠償責任や資産価値の低下といった税金以外のリスクも生じるため、早めの対応が重要です。

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