2025/11/25
相続対策

不動産相続の税金はいくら?計算方法と税金対策をわかりやすく解説

不動産相続の税金はいくら?計算方法と税金対策をわかりやすく解説

不動産の相続では、高額になりがちな不動産の相続税について正しく理解しておくことがとても重要です。「不動産を相続したら税金はいくらかかるのか?」という疑問を解消するには、まず相続税の計算方法を押さえる必要があります。相続税は、不動産を含むすべての遺産の総額から基礎控除額を差し引いた金額に対して課税される仕組みです。この記事では、相続税の基本的な計算手順から、不動産の評価額の出し方、利用できる特例や控除、さらに生前から行える節税対策まで、
順を追って具体的に解説します。

1. 不動産を相続したときにかかる税金は2種類

不動産を相続した場合、主に「相続税」と「登録免許税」という2種類の税金が関わってきます。相続税は、遺産総額が基礎控除額を超えたときに課される国税です。
一方、登録免許税は、不動産の名義を被相続人から相続人へ変更する「相続登記」を行う際に必要になる税金です。なお、一般に不動産を取得したときに課税される不動産取得税は、相続による取得であれば原則としてかかりません。ただし、相続後にその不動産を所有し続ける限り、毎年固定資産税・都市計画税(住民税)がかかる点には注意が必要です。

1-1. 相続財産全体にかかる「相続税」

相続税は、個々の財産ごとに直接かかる税金ではなく、被相続人が残した遺産の総額に対して課税される国税です。遺産には、不動産や預貯金、有価証券といったプラスの財産はもちろん、借入金や未払いの税金などのマイナスの財産も含まれます。これらすべてを金額に換算し、プラスの財産からマイナスの財産や葬式費用を差し引いたものが、相続税の計算の土台となる課税価格の基礎です。この遺産総額が、法律で定められた基礎控除額を超える場合にのみ、相続税の申告と納税義務が発生します。
遺贈によって財産を取得した場合も、相続税の対象となります。相続税の計算方法については「相続税の計算方法と基礎控除」で詳しく紹介しています。

1-2. 不動産の名義変更に必要な「登録免許税」

登録免許税は、不動産の所有権を公的に証明するための登記手続きを行う際にかかる税金です。不動産を相続した場合、被相続人から相続人へ所有権を移す「相続登記」を法務局で行う必要があり、このときに登録免許税を納付します。税額は、不動産の固定資産税評価額×0.4%で算出されます。
たとえば固定資産税評価額が3,000万円の不動産であれば、登録免許税は12万円となります。相続登記の申請は法務局で行い、税金は収入印紙で納付するのが一般的です。

2. 相続税がかからないケースとは?基礎控除額の計算式

相続税は、すべての相続で必ず発生するわけではありません。遺産総額が法律で定められた「基礎控除額」を下回る場合には、相続税はかからず、税務署への申告も不要です。基礎控除額は、次の計算式で求めます。3,000万円+(600万円×法定相続人の数)たとえば、法定相続人が配偶者と子ども2人の合計3人の場合、基礎控除額は
3,000万円+(600万円×3人)=4,800万円となります。このケースでは、相続財産の総額が4,800万円以下であれば、相続税は一切かからず、申告も必要ありません。

3. 7ステップでわかる!不動産相続税の計算方法

不動産の相続税の計算は、一見すると複雑に感じられますが、手順に沿って一つずつ進めていけば全体の流れをつかむことができます。相続税の計算は、まず相続人を確定し、次にすべての相続財産を評価して総額を算出することから始まります。そのうえで基礎控除額を差し引き、法定相続分で仮の税額を計算し、実際の取得割合で按分し、
最後に控除を適用して納税額を確定させます。不動産相続税の計算方法については「不動産相続評価の計算方法」で詳しく紹介しています。

ステップ1:誰が相続人になるかを確認する

相続税計算の最初のステップは、誰が法的に財産を相続する権利を持つ「法定相続人」であるかを確定することです。民法では相続人になれる人の範囲と順位が決められており、被相続人の配偶者は常に相続人となります。配偶者以外の相続人には順位があり、第1順位は子、第2順位は親や祖父母などの直系尊属、第3順位は兄弟姉妹です。上位の順位の相続人がいる場合、下位の順位の人は相続人にはなれません。また、遺言書がある場合にはその内容が優先されることもあるため、まずは遺言書の有無を確認し、
戸籍謄本を取り寄せて相続人を正確に把握します。

ステップ2:相続する財産の総額を把握する

次に、被相続人が所有していたすべての財産をリストアップし、その総額を把握します。財産には、土地・建物といった不動産、預貯金、株式などの有価証券、自動車、貴金属など、
金銭的価値のあるものはすべて含まれます。これらがプラスの財産です。一方で、借入金や未払いの税金などのマイナスの財産も相続の対象となるため、これらも正確に洗い出す必要があります。また、被相続人の死亡によって支払われる生命保険金や死亡退職金は
「みなし相続財産」として遺産総額に加算されますが、それぞれに一定の非課税枠が設けられています。

ステップ3:不動産の相続税評価額を算出する

不動産の相続税評価額は、実際の売買価格(時価)ではなく、相続税法で定められた特別な評価方法を用いて算出します。
不動産が相続財産の大部分を占めることも多いため、ここでの評価が相続税額に大きく影響します。土地と建物では評価方法が異なり、それぞれルールに従って計算します。
評価の基準となる情報の一つに、毎年市区町村から送られてくる固定資産税の納税通知書があります。とくに建物の評価額を算出する際の基礎となるため、大切に保管しておきましょう。相続不動産の評価方法については「相続不動産の評価方法」で詳しく紹介しています。

土地は「路線価方式」または「倍率方式」で評価する

土地の相続税評価額は、その土地が所在する地域によって「路線価方式」または「倍率方式」のいずれかで算出します。路線価方式は、主に市街地にある土地に用いられる方法で、国税庁が道路ごとに定めた1㎡あたりの価格(路線価)に土地の面積を乗じて評価額を求めます。一方、路線価が定められていない郊外の土地などは倍率方式を用います。
これは、土地の固定資産税評価額に国税庁が地域ごとに定める倍率を乗じて評価額を算出する方法です。路線価や評価倍率は国税庁のウェブサイトで確認できます。

建物は固定資産税評価額をそのまま使用する

建物の相続税評価額は、土地と違い非常にシンプルです。毎年送付される固定資産税納税通知書に記載されている「固定資産税評価額」を、そのまま相続税評価額として使用します。そのため、建物については別途評価計算を行う必要はありません。なお、賃貸アパートや貸家の場合は、借家権割合などを考慮して評価額が減額されるケースがあります。

ステップ4:課税対象となる遺産総額を計算する

相続財産をすべて評価したら、その合計額から借入金などの債務や葬式費用を差し引きます。さらに、生命保険金や死亡退職金については非課税限度額を超える部分を加算し、課税価格の合計額を算出します。その後、基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を差し引き、課税遺産総額を求めます。この金額が0円以下であれば、相続税は発生せず、原則として申告も不要です。

ステップ5:法定相続分で仮の相続税総額を求める

課税遺産総額を法定相続分どおりに分けたものと仮定し、それぞれに相続税率を適用して税額を計算します。税率は取得金額に応じて10%から55%まで段階的に設定されており、それぞれ控除額も定められています。各相続人ごとの仮の税額を合計したものが、相続税の総額となります。

ステップ6:実際の相続割合で各人の税額を按分する

実際には、法定相続分どおりに遺産を分けるとは限りません。そのため、ステップ5で算出した相続税総額を、実際の遺産分割割合に応じて各相続人へ按分します。遺言書がある場合や、遺産分割協議で法定相続分とは異なる割合で相続する場合は、この実際の取得割合で税額を割り振ることになります。

ステップ7:各人の税額控除を適用し最終納税額を確定する

最後に、配偶者の税額軽減や未成年者控除、障害者控除、相次相続控除など、各相続人が利用できる税額控除を適用します。控除適用後の金額が、各相続人が実際に納付する相続税額となります。適用できる特例や控除によって税負担は大きく変わるため、条件を確認したうえで漏れなく活用することが重要です。

4. 【具体例】不動産相続税のシミュレーション

ここでは、具体例を使って相続税の計算イメージを確認します。たとえば、法定相続人が配偶者と子ども2人の合計3人、相続財産が土地3,000万円、建物1,000万円、預貯金2,000万円の合計6,000万円だったとします。この場合、基礎控除額は4,800万円(3,000万円+600万円×3人)となるため、課税遺産総額は1,200万円です。この1,200万円を法定相続分で分けて税率を適用し、さらに各種控除を差し引くことで最終的な納税額が決まります。実際には土地評価や各種特例の適用によって税額はさらに変動します。

5. 不動産相続の税負担を軽くする6つの特例・控除

相続税には、一定の条件を満たすことで税負担を大きく軽減できる特例や控除制度が設けられています。特に不動産相続では、土地評価額を大幅に下げられる制度や、配偶者が利用できる非課税制度など、節税効果の高い制度が多く存在します。ここでは代表的な6つの特例・控除について解説します。

5-1. 自宅の土地評価額が最大80%減額される「小規模宅地等の特例」

小規模宅地等の特例は、被相続人が居住していた自宅の土地や事業用の土地について、一定面積まで相続税評価額を最大80%減額できる制度です。たとえば330㎡までの居住用宅地であれば、評価額を80%減額できます。この特例を適用できれば、相続税額を大きく抑えられるため、不動産相続では非常に重要な制度です。適用には、相続人が引き続き居住するなど一定の要件があります。

5-2. 配偶者なら最低1億6,000万円まで非課税になる「配偶者の税額軽減」

配偶者が相続する財産については、「1億6,000万円」または「法定相続分相当額」のいずれか多い金額まで相続税がかかりません。この制度を配偶者の税額軽減といいます。そのため、多くの場合、配偶者には相続税が発生しません。ただし、この制度を利用するためには、相続税が0円となる場合でも期限内に相続税申告を行う必要があります。

5-3. 18歳未満の相続人が使える「未成年者控除」

18歳未満の相続人には未成年者控除が適用されます。控除額は「(18歳-相続開始時の年齢)×10万円」で計算します。たとえば10歳の子どもであれば、(18歳-10歳)×10万円=80万円が相続税額から控除されます。控除しきれない場合には、扶養義務者の税額から差し引けるケースもあります。

5-4. 障害を持つ相続人が対象の「障害者控除」

障害者控除は、85歳未満の障害者が相続人となる場合に適用されます。一般障害者は「(85歳-年齢)×10万円」、特別障害者は「(85歳-年齢)×20万円」が控除額となります。障害者本人の税額から控除しきれない場合は、扶養義務者の税額から控除することも可能です。

5-5. 10年以内に続けて相続が発生した場合の「相次相続控除」

前回の相続から10年以内に再び相続が発生した場合には、相次相続控除を利用できます。前回の相続で支払った相続税の一部を今回の相続税から控除できる制度で、短期間に相続が重なった場合の税負担を軽減する目的があります。

5-6. 生前に贈与を受けていた場合に適用される「贈与税額控除」

相続開始前一定期間内に贈与を受けた財産について相続税の課税対象となる場合、すでに納めた贈与税があるときは、その贈与税額を相続税から差し引くことができます。これを贈与税額控除といい、二重課税を防ぐための制度です。

6. 生前にできる不動産の相続税対策

相続税は、相続が発生してから対策することはほとんどできません。そのため、生前から計画的に相続税対策を行うことが重要です。代表的な方法として、生前贈与や養子縁組、不動産の活用による評価額の引き下げなどがあります。それぞれの特徴を理解し、自身の状況に合った方法を選ぶことが大切です。

6-1. 生前贈与で相続財産を減らす

生前に財産を贈与することで、将来相続の対象となる財産を減らすことができます。暦年贈与や相続時精算課税制度などを活用することで、計画的な財産移転が可能になります。ただし、相続開始前一定期間内の贈与については相続税の課税対象となる場合もあるため、制度の内容を十分理解したうえで活用することが重要です。

6-2. 養子縁組で法定相続人の数を増やす

養子縁組を行うことで法定相続人の数が増えれば、基礎控除額や生命保険金・死亡退職金の非課税限度額も増加します。その結果、相続税額を抑えられる可能性があります。ただし、相続税対策のみを目的とした不自然な養子縁組は認められない場合もあるため、慎重な判断が必要です。

6-3. 賃貸物件として活用し不動産の評価額を下げる

更地のまま保有するよりも、賃貸アパートや賃貸マンションなどを建築して貸し出すことで、土地や建物の相続税評価額を引き下げられる場合があります。貸家建付地や貸家として評価されることで、相続税評価額が減額されるためです。ただし、空室リスクや建築費用なども考慮し、収益性も含めて検討することが重要です。

7. 不動産相続で知っておきたい3つの注意点

不動産相続では、税金だけでなく手続き上の期限や共有名義など、事前に知っておくべき注意点があります。相続後に慌てないためにも、代表的なポイントを確認しておきましょう。

7-1. 相続税の申告と納税は10ヶ月以内に行う

相続税の申告・納税期限は、相続開始を知った日の翌日から10ヶ月以内です。この期限を過ぎると、延滞税や加算税が発生する可能性があります。また、各種特例の適用にも期限内申告が必要となるため、早めの準備が重要です。

7-2. 不動産の名義変更(相続登記)は3年以内に申請が必要

2024年4月1日から相続登記が義務化され、不動産を相続したことを知った日から3年以内に登記申請を行わなければなりません。正当な理由なく期限を過ぎた場合は、過料の対象となる可能性があります。

7-3. トラブルを避けるため不動産の共有名義は慎重に検討する

相続人同士で不動産を共有名義にすると、将来的な売却や建て替え、賃貸活用などの際に全員の同意が必要となり、トラブルの原因になることがあります。不動産はできるだけ単独所有とし、必要に応じて代償金などを活用する方法も検討しましょう。

8. 相続税が払えないときの対処法

相続税は原則として現金一括納付です。しかし、不動産が相続財産の大半を占めている場合など、納税資金を準備できないケースもあります。そのような場合には、一定の条件のもとで利用できる制度があります。状況に応じて適切な方法を選択することが重要です。

8-1. 税務署に分割払いを相談する「延納」

相続税を一括で納付することが困難な場合には、税務署へ申請し、延納制度を利用できる場合があります。延納とは、一定期間にわたって分割払いで納税する制度です。ただし、担保の提供や利子税の負担が必要になるケースもあります。

8-2. 不動産そのもので納税する「物納」

延納によっても納税が困難な場合には、不動産などの財産そのものを納税に充てる「物納」が認められる場合があります。ただし、物納には厳しい要件があり、物納できる財産の順位も法律で定められています。まずは延納を検討し、それでも難しい場合の最終的な手段として利用されます。

8-3. 相続した不動産を売却して納税資金を確保する

相続した不動産を売却し、その売却代金を納税資金に充てる方法もあります。売却には一定の時間がかかるため、相続税の納付期限を見据えて早めに準備を進めることが重要です。不動産会社へ査定を依頼し、市場価格を把握したうえで売却計画を立てると安心です。

8-4. 金融機関から融資を受けて納税する

納税期限までに不動産の売却が間に合わない場合などは、金融機関の相続税納税資金向け融資を利用する方法もあります。相続した不動産を担保として融資を受け、売却後に返済するケースもあります。資金繰りを考慮しながら、自身に適した方法を検討しましょう。

9. まとめ

不動産相続では、相続税だけでなく登録免許税や固定資産税など、さまざまな税金や手続きが関係します。相続税は基礎控除額を超えた場合にのみ課税されますが、不動産の評価方法や各種特例・控除によって税額は大きく変わります。相続税の申告期限は10ヶ月以内、相続登記は3年以内と期限も定められているため、早めの準備が重要です。相続税対策は生前から計画的に進めることで、将来の税負担を軽減できる可能性があります。制度の適用や評価方法に不安がある場合は、税理士や司法書士などの専門家へ相談しながら進めることをおすすめします。

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