2024/08/11
お役立ちコラム

家賃の値上げに上限は存在する?トラブルを避ける値上げのポイント

物価の上昇や住宅需要の高まりなどにより、大家さんが家賃の値上げを検討するケースがあります。この場合、家賃の値上げ額に上限はあるのでしょうか。また、入居者との間で家賃値上げに関するトラブルを避けるには、どのようなポイントを押さえておくと良いのでしょうか。今回は、トラブルを避けて家賃を値上げするポイントを解説します。

【結論】家賃の値上げに上限は存在しない

結論からいうと、家賃の値上げに法律上の上限は存在しません。しかし、家賃を上げるためには以下の正当な理由が必要であると、借地借家法で設定されています。

・周辺物件よりも家賃が極端に安い
・経済状況の変動により、土地や建物の価格が上がった
・固定資産税などの税金が上がった

やみくもに家賃を上げてしまうと、入居者だけでなく大家さん側も不利益を被る可能性が高まります。具体的にどのような不利益があるのかについては、次章で詳しく解説します。

家賃の値上げによって発生する可能性のあるトラブル

家賃を値上げすると、以下のトラブルが発生すると想定されます。

・入居者の退去
・入居者からの値上げの拒否
・最悪の場合入居者から訴えられるケースも

本章では、各トラブルの詳細について解説します。

入居者の退去

家賃を値上げすると、入居者はより家賃の安い物件への引越しを考えるようになり、退去が増えるリスクが高まります。1戸あたりの家賃が値上げできても、入居者が減ると物件全体の家賃収入も減るため、大家さんにとって大きなデメリットとなるのです。

入居者からの値上げの拒否

入居者には、家賃の値上げを拒否する権利があるため、入居者の合意がないと値上げは実現できません。入居者が値上げを拒否しても、大家さんが強制退去を命じることはできないのです。

入居者がどうしても値上げに納得しないと、調停や裁判にいたる可能性もあり、トラブルはさらに大きくなってしまうでしょう。

最悪の場合入居者から訴えられるケースも

借地借家法では、オーナーに対する家賃の値上げの権利と併せて、入居者に対する家賃の減額請求を認めています。家賃の値上げ交渉が決裂した場合、入居者が訴訟を起こすことも可能です。訴訟には時間やお金がかかり、家賃収入以上の出費となってしまうリスクがあるため、入居者と慎重に値上げ交渉をしなくてはいけません。

無理のない家賃値上げのポイント

オーナーと入居者の双方が納得し、無理なく家賃を値上げするには、以下のポイントが重要です。

・周辺の家賃相場を踏まえたうえでの常識的な値上げ幅に留める
・入居者にとってもメリットのある条件を提示する
・空き部屋から値上げを開始する

各ポイントについて詳しく解説します。

周辺の家賃相場を踏まえたうえでの常識的な値上げ幅に留める

物件周辺の家賃相場を調べたうえで、常識的な値上げ幅を提示することが大切です。例えば、家賃が急に月1万円上がると聞いて、納得する入居者はほとんどいないでしょう。一方で、月に1,000円から2,000円程度の値上げであれば、誠意を持って丁寧に説明すれば入居者も納得してもらえる可能性が高いです。

入居者にとってもメリットのある条件を提示する

家賃の値上げに合わせて、入居者にメリットがある条件を提示すると、入居者が納得しやすくなります。主な条件として、以下の条件を提案すると効果が見込めます。

・更新料を無料とする
・宅配ボックスや防犯カメラなどを導入する
・無料Wi-Fiを導入する

家賃を値上げした分、他の費用負担を軽減できれば、入居者にとって生活費の総額を抑えられるメリットがあるのです。

空き部屋から値上げを開始する

入居者の反応を確かめるには、空き部屋から値上げすると判断しやすくなります。空き部屋を値上げし、入居募集者が多く集まった場合は、値上げした家賃が妥当であると判断できます。一方で、応募が全くないと入居者が高い家賃を敬遠しているといえるため、家賃の値上げを再検討した方が良いでしょう。

まとめ

家賃の値上げに関する法律上の規定はないものの、常識的な範囲を超える値上げ額は入居者とのトラブルにつながります。トラブルを避けるには、周辺物件の相場を把握したうえで適切な値上げ額を設定し、入居者に丁寧に説明するよう心がけましょう。

参考サイト
https://www.investor-k.com/media/borrow/a282
https://nexus-agent.com/ierpicks/rent-increase-price/
https://rent.landnet.co.jp/topics/3554/